ライター望月の駅弁膝栗毛

一ノ関駅「平泉うにごはん」(1,200円)~駅弁屋さんの厨房ですよ! vol.13「斎藤松月堂」編(1)

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【ライター望月の駅弁膝栗毛】

E5系電車「やまびこ」、東北新幹線・くりこま高原~一ノ関間

東北新幹線で活躍する「はやぶさ」「はやて」「やまびこ」「なすの」の各列車。
なかでも「やまびこ」号は、昭和57(1982)年の東北新幹線開業と共に誕生した列車です。
現在も東京~盛岡間を中心に自由席のある気軽な新幹線として、宇都宮・郡山・福島・古川・一ノ関・北上など、東北新幹線主要駅へのアクセスを担っています。
この時間はE5系の「やまびこ」が、朝もやの一ノ関駅に入って来ました。

一ノ関駅

東北新幹線「やまびこ」号で、東京からおよそ2時間半。
一ノ関駅は、岩手県南部を代表する街・一関市や世界文化遺産・平泉の玄関口としてはもちろん、気仙沼、大船渡をはじめとした三陸海岸への玄関口にもなっている駅です。
「いちのせき駅」と平仮名なのは、市の名前は「一関」、駅名は「一ノ関」だからでしょうか。
いずれにしても、明治23(1890)年の開業以来、128年もの歴史ある駅です。

株式会社斎藤松月堂

鉄道開業と共に駅前に店を構え、明治時代から駅弁を提供し続けている駅弁屋さんが、「株式会社斎藤松月堂(さいとう・しょうげつどう)」です。
駅弁屋さんの製造現場に潜入、トップの方に話を伺う「駅弁屋さんの厨房ですよ!」。
伊東」「小淵沢」「水戸」「出水」「長岡」「米沢(新杵屋)」「松阪」「横浜」「姫路」「修善寺」「富山」「仙台」と回って第13弾は、一ノ関駅弁「斎藤松月堂」を訪ねました。

平泉うにごはんの製造風景

斎藤松月堂の本社は、一ノ関駅西口から歩いて1分ほど。
駅前歩いてスグという、昔ながらの駅弁屋さんの立地に何だかホッとします。
本社にお邪魔して扉を開けた瞬間から、そこはもう、うにの香りでいっぱいでした。
今回は斎藤松月堂の看板駅弁にして、首都圏でもすっかりおなじみの「平泉うにごはん」(1,200円)の製造現場を見せていただきました。

平泉うにごはんの製造風景

なかに入ると、ちょうど「平泉うにごはん」の茶飯が炊きあがったところ。
従業員の皆さんもご飯の香ばしい香りと湯気をいっぱい浴びながら、手際よく釜から茶飯を移し替えていきます。

平泉うにごはんの製造風景

平泉うにごはんの製造風景

程よく冷まされた茶飯は、四角い容器に詰められていきます。
最初にご飯の上に載ったのは、意外やうにごはんの偉大な脇役・茎わかめの佃煮。
ここに錦糸玉子と共に、醤油漬されたいくらが1つ1つ匙で盛り付けられていきます。
斎藤松月堂のいくらは、プリプリの食感が楽しめる三陸産!
「平泉うにごはん」では、このいくらの存在も、じつはカギなんですよね。

平泉うにごはんの製造風景

さあ、いよいよお待ちかね、うにの登場!
手際よく、びっちりとご飯の上に蒸しうにが敷き詰められていきます。
この一面の「うに」に、駅弁を追いかけはじめた頃の私も圧倒された記憶が甦りました。
首都圏の駅にもたくさん並ぶ「平泉うにごはん」ですが、全部こうして1つ1つ丁寧に、一ノ関駅前の本社で作られて、輸送されていると言います。

平泉うにごはんの製造風景

平泉うにごはんの製造風景

おしまいに山ごぼうを3つサッと並べたら、ふたをして輪ゴム止め。
「平泉うにごはん」と書かれた帯を巻いて、あっという間の出来上がりです。
平成4(1992)年の登場以来、掛け紙ではなく「帯」を使っているのも特徴の1つ。
斎藤松月堂によると、中味のうにを充実させたいという思いがあって、発売当初からこの「帯」のスタイルを変えていないのだそうです。

平泉うにごはん

いまでは各地の駅弁屋さんがうにを使った駅弁を出すなか、「この蒸しうにを使った『うにごはん』のレイアウトは斎藤松月堂がオリジナル」なんだそう。
斎藤松月堂によると、最近はSNSなどで“#松月堂”を付けて「平泉うにごはん」を画像と共に発信されるお客さまが多くいると言います。
発売から25年あまり、「平泉うにごはん」はすっかり一ノ関の名物駅弁となりました。

平泉うにごはん

【おしながき】
・茶飯(岩手県産ひとめぼれ)
・蒸しうに
・いくら醤油漬
・錦糸玉子
・しその実と茎わかめの佃煮
・山ごぼうの醤油漬

平泉うにごはん

磯の香りと共にこんもりと盛られた蒸しうに。
うには価格面から輸入されたものを使っているそうですが、斎藤松月堂特製の醤油ベース出汁で煮込むことで、あのどんどん箸が進む「うにごはん」が作られています。
世界遺産・平泉で目の当たりにした“黄金の輝き”の感動冷めやらぬなか、一面のうにに、新たな感動を憶えて、旅の思い出もより良きものになるというものでしょう。

701系電車・普通列車、東北本線・前沢~平泉間

斎藤松月堂によると、数年前、うにが著しく高騰したことがあったと言います。
当時、うに駅弁から撤退された駅弁屋さんも多くあったなか、斎藤松月堂は、赤字覚悟で「平泉うにごはん」だけは何とか守ったのだそうです。
そんな老舗駅弁屋さんのプライドを掲げて「斎藤松月堂」は先月1カ月間、フランス・パリのリヨン駅でも、5社共同で駅弁の販売を行いました。
次回以降、このパリの情報も交えて、「斎藤松月堂」の駅弁を深く掘り下げてまいります。

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