「ピンク・レディー」8月25日デビュー40周年! 歌謡曲ここがポイント!

歌謡曲 ここがポイント! チャッピー加藤(ヤンヤンハイスクール講師)

最近、ますます注目されている昭和歌謡。
この講座では、日本人として最低限覚えておきたい歌謡曲の基礎知識を、わかりやすく解説していきます。

今年も甲子園で熱い戦いが繰り広げられましたが、高校野球のブラスバンド応援で定番になっているのが、ピンク・レディーの『サウスポー』です。今の高校生たちは世代的に知らないはずなのに、振り付け込みで歌えたりするから驚きますが、それは二人が歌謡界に与えた影響がいかに大きかったかという証しです。8月25日でちょうどデビュー40周年。今回は、初期・中期・後期それぞれの「押さえておきたい曲」について見ていきましょう。

デビュー2年目の1977年、『渚のシンドバッド』『ウォンテッド』『UFO』がすべてミリオンセラーを記録し、社会現象になったピンク・レディー。まさにゴールデンイヤーになりましたが、この年、伝説の序章として重要な意味を持つ曲が、3月に発売されたデビュー第3弾『カルメン‘77』です。

カルメン'77

『オペラ座の怪人』風の挑発的なイントロから、サビまで緊張感溢れる楽曲構成はさすが都倉俊一ですが、阿久悠も「私の名前は、カルメンでっす!」と主人公がいきなり名乗るという斬新な歌詞で応戦。それはもちろんアダ名で、バラの花を口にして踊るイメージの情熱的な女。いつかあなたをトリコにしてみせる…重要なのは、この曲から阿久&都倉コンビによる「キャラクターショー」が始まったということです。聴く人に媚びるのではなく、異世界へと誘う曲作り。ミーもケイも見事に異色のキャラを演じきっています。

今聴くと、決して売れ線ではありませんし、よくこんなおどろおどろしい曲でチャート1位を獲ったよなと思うのですが、この曲は世間に対する、阿久&都倉の「宣戦布告」だったのです。

カメレオン・アーミー

そんな作り手の“悪ノリ”が頂点に達したのが、1978年暮れに発売された第10弾シングル『カメレオン・アーミー』です。これが最後のオリコン1位曲になるのですが、「カメレオンの親衛隊」って何なんだ?なんてことを考えているヒマもないほど、聴き手をグイグイ引っ張っていく曲構成。イントロが山口百恵『ひと夏の経験』(=都倉作曲)にソックリなのはご愛嬌ですが、続く「♪ズンズクズンズン、ズンズクズンズン・・・」というエモーショナルなリズムに「あ〜ッ」というセクシーウィスパー攻撃、そして絶妙なハモリ。最初から最後まで何が飛び出すか分からない、阿久&都倉コンビのポリシーが存分に発揮された、中期を代表する傑作です。ダンスも超絶ハードで、色が変わる衣裳も含め、ステージパフォーマンスはこの曲が頂点だったと言っていいでしょう。

しかし一点気になるのは、ジャケット左下の男性はカメレオン・アーミーのメンバーなのでしょうか?いったい誰??

1979年以降、ピンク・レディーは本格的に米国進出を図ります。それが国内人気の急激な低下につながったことは確かですが、よく言われる「進出失敗」という表現には異を唱えたいです。なぜなら、米国デビュー盤の『キッス・イン・ザ・ダーク』(1979年5月米国発売)は全米トップ40入り(最高37位)を果たし、これは坂本九『スキヤキ』以来の快挙。カネで順位を買った、と言う向きもありますが、さすがに実力がなければその位置までは行けません。

Kiss-In-The-Dark

サポート役となったのが、かつてフォーリーブスの米国進出を手掛けた名プロデューサー、マイク・カーブです。彼は日本での方法論は一切捨て去り、ミーとケイに当時全盛のディスコサウンドを歌わせました。ゼロからの出発によく耐えたなと思うのですが、ちゃんと対応しているのには驚きます。二人のスキルの高さが凝縮された一曲です。(ジャケットは米国盤、筆者所蔵)

マンデー・モナリザ・クラブ

日本では『キッス…』は米国より4ヵ月遅れの9月リリースになりましたが、ほぼ同時に発売された名曲が、阿久ー都倉コンビによる『マンデー・モナリザ・クラブ』です。阿久悠いわく、自分たちの敷いた路線にずっと従ってくれた二人への「ご褒美」で、「本当はこういう曲を歌いたかった!」とミーとケイも大喜びしたとか。ロスで現地ミュージシャンを使って録音されていますが、40周年を機に、改めて聴き直してほしい一枚です。彼女たちの本当の凄さが分かりますから。

ところで、これはまったくの偶然なのですが、ピンク・レディーのデビュー40周年から2日後の8月27日(土)、私が構成を担当する『八木亜希子 LOVE&MELODY』(毎週土曜朝8:30〜10:50放送)に未唯mie(ミー)さんが生出演してくれることになりました。
40年前の夏、デビュー当時の秘話を語っていただきます。今から楽しみでなりませんが、ぜひ聴いてください。

“ピンク・レディー”ここがポイント!
<押さえておきたい、隠れた名曲>

・『キャッチ・リップ』(1978)
…『モンスター』B面。雪印のアイス「宝石箱」のCMソングで人気に。

・『波乗りパイレーツ(USA吹込盤)』(1979)
…同曲のB面収録。なんと本物のビーチ・ボーイズがコーラスを担当!
・『Last Pretender』(1981)
…ラス前第21弾シングル。糸井重里作詞・高橋幸宏作曲のテクノ歌謡。

【チャッピー加藤】1967年生まれ。構成作家。
幼少時に『ブルー・ライト・ヨコハマ』を聴いて以来、歌謡曲にどっぷりハマる。
ドーナツ盤をコツコツ買い集めているうちに、気付けば約5000枚を収集。
ラジオ番組構成、コラム、DJ等を通じ、昭和歌謡の魅力を伝えるべく活動中。