カショギ氏殺害事件~サウジがリスクを冒してまで実行したのはなぜか

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(11月19日放送)にジャーナリストの須田慎一郎が出演。サウジアラビア総領事館での記者殺害事件のその後の進展について解説した。

ムハンマド皇太子 ジャマル・カショギ サウジ記者 サウジアラビア 総領事館 イラン トルコ

サウジアラビア人記者ジャマル・カショギ氏の葬儀で祈る知人ら=2018年11月16日、トルコ・イスタンブール(共同) 写真提供:共同通信社

CIA~カショギ氏殺害はサウジアラビア皇太子の命令と断定か

サウジアラビアの著名ジャーナリストであるジャマル・カショギ氏殺害事件について「CIA(アメリカ中央情報局)はサウジ政府の実質的最高権力者のムハンマド皇太子が殺害を指示したと結論付けた」と、ワシントンポストなどアメリカの複数のメディアが報じている。駐米大使である皇太子の弟が、事件前にカショギ氏に電話し、イスタンブールの領事館に出向くように勧めている内容をCIAが傍受していたようだが、これに対して国務省の報道官は「不正確である」と否定している。

飯田)このカショギ氏殺害事件、いろいろと動いていますね。

須田)驚いたのは、CIAが一定の証拠を示して「殺害の指示があったのではないか」と公表したことです。サウジ総領事館にはトルコ当局も盗聴器を仕掛けていました。これは音声のラインから盗聴したのではなく、それはまた担当が違っていて、NSA(アメリカ国家安全保障局)なのです。だから、CIAは別に独自の盗聴器を仕掛けていたことになります。そこから考えても、これは「サウジアラビアが何かしでかす」と、情報関係者はみんな分かっていたのだと思います。

飯田)以前から兆候は多くあったということですね。

須田)断定していないけれど、皇太子が事件に関与していたのはほぼ明らかになって来ました。すると、どこで着地点を設けて幕引きするか。それが今後の展開でいちばん大きなポイントになると思います。

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ジャマル・カショギ記者死亡事件の真相解明を求める米紙ワシントン・ポストの社告(左側)=2018年10月25日、ワシントン(共同) 写真提供:共同通信社

アメリカはサウジアラビアとの関係悪化は回避したい

飯田)そこに関してはもういろいろな予防線が張られている感じです。共同通信によると、FOXニュースがトランプ大統領にインタビューしたようです。大統領は「良好な同盟関係を堅持したい」と発言しています。つまり「そこまでサウジとの関係をこじらせたくない」ということが根底にあるのですね。

須田)ただ、そこで一定の配慮と言うか、対応をとってしまうと、もともとトランプ大統領の娘婿のクシュナー上級顧問とサウジアラビアはかなり親密な関係にあるのです。

飯田)ムハンマド皇太子とも、かなり仲がいいみたいですからね。

須田)親しいです。そこの部分にも火が付きかねないことにもなって来ますから、トランプさんとしても強権発動をして幕引きというわけにはいかない。後々禍根を残すことになると思います。

飯田)そのムハンマド皇太子とクシュナー氏の流れのなかで、非公式ですが「イスラエルとの橋渡し」みたいに言われているところがありますよね。中東全体のパズルが崩れてしまう?

須田)おっしゃるとおりです。中東全体の外交、安全保障の分野で考えると、イランの存在もあるから、ここでサウジが揺れると、アメリカの中東戦略にも大きく影を落とすことになる。だから、そこに対する配慮が必要ですが、今回は人の命が失われています。その部分での対応とバランスをどう取っていくのか、という問題になって来るでしょうね。

ムハンマド皇太子 ジャマル・カショギ サウジ記者 サウジアラビア 総領事館 イラン トルコ

ムハンマド・ビン・サルマーン – Wikipediaより

トルコとイランはこれを機に経済制裁の解除を狙っている~サウジはなぜリスクのあることをしたのか

飯田)トルコとしては「自国内で、総領事館内でそこまで無茶をされると、いくら何でも」という部分があるわけですよね。

須田)いや、そういうところより、やはりトルコとしてはアメリカの譲歩を引き出し、アメリカの制裁解除に持って行きたい。だから、殺害事件の真相はどうでもよくて、政治的駆け引きの材料に目いっぱい使っている状況だと思います。

飯田)先ほどイランの名前が出ましたが、イランは何もせずに、「向こうでモメている。いいぞ」みたいになって来ているわけですか?

須田)一方でイランもアメリカから原油の経済制裁にさらされていますから、むしろ「もっとやれ!」というところだと思います。

飯田)これでサウジから原油が出なくなったりして、弱体化すると、アメリカへの譲歩ももしかしたらできるかも、みたいな部分まで見ているのですか?

須田)その意味で、なぜサウジアラビアはこのタイミングで、こんなリスクのあることをやってしまったのか。私はそこが、今回最大の謎です。殺害現場は押さえられなくても、注目されている人物が姿を消したとなったら、疑われるのは当然ですよね。なぜそのリスクをこのタイミングで冒したのか、今回の件の最大の謎だと思います。

飯田浩司のOK! Cozy up!
FM93AM1242ニッポン放送 月-金 6:00-8:00

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