安倍総理が豪州新首相と会談~海洋国家として利害が一致する両国

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(11月16日放送)に外交評論家・キャノングローバル戦略研究所研究主幹の宮家邦彦が出演。今後の日本とオーストラリアの関係について解説した。

スコット・モリソンオーストラリア首相

スコット・モリソン氏は8月に就任したオーストラリアの首相。50歳。このモリソン首相と安倍総理大臣が、きょうオーストラリアで初の首脳会談を行う。安倍総理は自由で開かれたインド・太平洋構想の実現に向け、緊密な連携を確認したい考え。

飯田)スコット・モリソンさんは、前任のターンブル首相と同じ派閥だったということですが、夏に急に代わりましたね。

宮家)内紛があったみたいですね。この人は運が良いというか選球眼が良いというか、あれよあれよという間になりましたね。50歳で、まだ若いです。

飯田)答弁している様子だと、50歳なのに貫禄がありますよね。日本にとってのオーストラリアという国の位置付けはどうですか?

宮家)中学校の頃、オーストラリアから帰って来た友人がいました。あの頃は白豪主義といって、白人至上主義とは言わないけれど、なかなか移民を受け入れない国でした。イギリスの植民地だったし、ヨーロッパの方を向いていたのです。しかし、ヨーロッパがあんな体たらくだから、いまのアジアを考えると「オーストラリアもアジアの一員でなくてはいけない」という考え方が徐々に出てきました。そしていまや完全にアジア国家の1つとなっています。オーストラリアは大陸で、大きいような気がしますが、私は島国だと思っています。海洋国家なのです。イギリス連邦の一部でしたから。
私は世界第1の島国はアメリカだと思っていて、第2の島国はオーストラリアだと思っています。日本にとって湾岸へ行くシーレーンを守る観点からいくと、オーストラリアは強い味方なのです。そういう意味では、オーストラリアとこういった話し合いを続けて行くのは大事な事だと思います。少し前までは親中でした。オーストラリアは資源国家で、相当のものを中国は買ってくれています。いまでも喧嘩はできないのですが。

飯田)あのラッドさんという人がね。

これからの日豪関係~互いの共通の利益

宮家)ラッドさんも親中と言ったって限度があるのだけれど、いまは状況が大きく変わっています。そしてオーストラリアと日本の利益は非常に共通するものが多いので、これからも同盟国的な方向へ動いて行くと思います。

飯田)この自由で開かれたインド・太平洋構想、一昔前は「ダイヤモンド戦略」などという言い方もされました。

宮家)オーストラリアは、なんとなく我々の南側の方にあるような感じがするけれど、オーストラリアの西側はインド洋なのですよね。ですからインド洋ではオーストラリアは極めて重要な役割を果たす国です。日本にとっては南シナ海ももちろん大事だけれど、インド洋からアラビア湾、ペルシャ湾へ入って行って石油を取ってなんぼだから、どの海もおろそかにはできない。その意味では極めて大事な国です。

飯田)米中の角突き合わせを考えると、シーパワーとランドパワーですね。ここは宿命的にぶつかり合うものですか?

宮家)そういう古典的な見方もありますが、日本にとって大事なことは、資源がないからいかに安い原材料を買って、いかに付加価値をつけて高く売るかということです。それしか生きる道はない。そしてそれらを運ぶには航路しかない。どこに国益があるかを考えたときに、どこを守って何に投資をするのか。すると、似たようなことを考えている国があるわけです。オーストラリアだって資源はあるけれど売らないといけないし、海がちゃんと通れなければ売れない。その意味で、オーストラリアは島国なのですよ。似たような状況を持つ国はたくさんあって、アメリカもそうだし、イギリスもそうだし、フィリピンもそうです。シンガポールも小さいけれどそうだし、インドネシアもそう。それに比べて中国やロシアは大陸国家です。片手間で海に出て来られても困るし、海を埋め立ててミサイルを置かれたらたまらない。それで困る仲間の1つがオーストラリアだということです。

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