米露首脳会談~核兵器の問題をはじめ日本が注目すべきこと

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(11月13日放送)にジャーナリストの有本香が出演。米露首脳会談から見る日本の立ち位置について解説した。

プーチン トランプ 米露 首脳会談 G20 ブエノスアイレス 中距離核戦力 全廃条約

第1次世界大戦の終結100周年を記念する式典に出席した米独仏首脳。前列左からトランプ大統領、メルケル首相、マクロン大統領(フランス・パリ)=2018年11月11日 写真提供:時事通信

米露首脳会談開催へ

ロシアのプーチン大統領とアメリカのトランプ大統領は11日、パリで開かれた第1次世界大戦終結100年記念式典の昼食会に出席し、今月30日から12月1日にブエノスアイレスで開かれるG20(主要20カ国首脳会議)の際に米露首脳会談を行うことで合意した。

飯田)もともとパリで予定されていましたが、ブエノスアイレスで行われることになりました。

有本)この米露首脳会談で、果たしてどういうことを両首脳が話し合って行くのか。先だってニュースにもなりましたが、まずは核兵器の問題ですね。この取り扱いについて、新しいステージを作れるかどうかというところは1つあると思います。

飯田)INF中距離核ミサイル全廃条約、これをアメリカは破棄する。

有本)それからオバマ大統領の時代に結んだ、新戦略兵器削減条約というものがあります。この延長をするのか。古い冷戦時代と違って、いまのアメリカとロシアは兵力という点においては、大きく差がある。それからアメリカにとってもロシアにとっても、中国の存在がかつてとは比べ物にならないぐらい大きな存在になっています。これを米露でどのように考えて行くのか。とは言っても、アメリカとロシアで「一緒に仲良く中国を封じ込めましょう」とはならないわけですが。そのようなところを日本としても注目する必要があるのではないかと思います。

飯田)どういうスタンスで臨むのかというところですね。

有本)それから安全保障ですけれども、マクロンさんがいて、さらにヨーロッパというくくりで行くと、ドイツの政局が大きく変化していますよね。

飯田)メルケルさんも引退をします。

有本)当面、首相は続けるのですがね。アメリカとヨーロッパとの間の、安全保障の結びつきですね。それを今後どうして行くのかも、米露首脳会談と絡めて考えた方が良いと思います。

飯田)マクロンさんは「ヨーロッパ、EUの常設軍のようなものを創設するのだ」と言っています。それに対してトランプさんは「いや何言ってんだ、NATOに金出すのが先だろう」と怒った。

ヨーロッパと米露、中国を含め東アジアと米露の関係を見極める

有本)だからプーチンさんは「欧州軍良し」みたいなね。

飯田)そっちの方が与しやすいと。

有本)与しやすいし、アメリカとヨーロッパを分断したい腹があるのです。ですから私たちは、極東の東アジア近辺での米露関係、それから太平洋というところで米露関係を見ますが、あちらはあちらでヨーロッパとも向き合っているわけです。

飯田)そうですね。

有本)その両面を見ながら、アメリカとロシアの間でどういうつば迫り合いが行われて行くのか。そこを見極めないと、世界の大きな潮流、大きな対立のなかで、日本が対立や戦争を避けるためにも、どこが本流であるのかを見失ってはいけないということです。

飯田)INF中距離核戦力の廃棄条約、あれをやるときには、当時ソ連の中距離ミサイルが日本に向く可能性もあった。だからINFを是非やってくれと、当時の中曽根政権が根回しをした。今回もこれを破棄することで、中国の中距離核を考えると、日本のやるべきことが見えて来るような気がしますね。

有本)そうですね。いま飯田さんがおっしゃった、当時の80年台中盤といちばん違うのは、中国という存在が出て来たことです。あの頃の中国とはレベルがまったく違います。米露関係に日本がどのようにコミットするかというところです。日本はロシアとの間で領土問題も抱えていますが、念頭におくべきは安全保障です。中国が大きく台頭して来た、そして北朝鮮が核を持つに至って、環境が大きく変わっている。特に戦略兵器の削減に関して、トランプさんがロシアにどのような態度を示して行くのか。ここを私たちはウォッチしなくてはいけないと思います。

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