しゃベルシネマ

それでも僕は、お母さんが大好きです!

【しゃベルシネマ by 八雲ふみね 第515回】

さぁ、開演のベルが鳴りました。
支配人の八雲ふみねです。
シネマアナリストの八雲ふみねが、観ると誰かにしゃベリたくなるような映画たちをご紹介する「しゃベルシネマ」。

今回は、11月16日から公開となる『母さんがどんなに僕を嫌いでも』を掘り起こします。


太賀×吉田羊、壮絶な親子関係を体現した人間ドラマ


幼い頃から美しい母・光子が大好きだったタイジ。しかし家のなかにいるときの光子はいつも情緒不安定。タイジの行動に苛立ち、容赦なく手を上げるのだった。母からの愛情の欠乏、さらに壮絶な家庭環境に耐えかね、タイジは17歳で家を飛び出し、1人で生きることを選択する。

やがて子どもの頃に唯一の理解者だった工場の婆ちゃんとの再会や、友人たちとの交流から、タイジは大人になって初めて人と心を通わせる幸せを感じるようになる。そして、自分がいまも母を好きでいることに気づき、かつて自分に手を上げた母親ときちんと向き合う覚悟をする…。


「母さんがどんなに僕を嫌いでも」。こんな思いを秘めて生きることは、どんなにも辛く悲しいことでしょう。胸が張り裂けそうな言葉がタイトルとなった本作は、母親から拒絶され、友だちからも愛されることなく育った青年が、それでも母の愛を諦めることなく運命と向き合い奇跡を起こした、実話をもとにした物語。

漫画家、小説家として活躍する人気ブロガー・歌川たいじが、母親との関係を綴った同名エッセイが実写映画化されました。


タイジを演じるのは、若手俳優のなかでもその演技力の高さが光る太賀。母親からどんなに辛く当たられても無償の愛を注ぎ続ける主人公を全身全霊で演じています。そして、渾身の演技で母・光子役を演じ切った吉田羊もしかり。子どもを虐待するという、ともすれば憎まれ役にもなり得るキャラクターを多面的に演じ 、新境地をみせています。

タイジの友人役で森崎ウィン、白石隼也、秋月三佳、タイジの支えとなる婆ちゃん役で木野花らが脇を固め、作品世界を引き締めています。そして主題歌は、ゴスペラーズが本作のために書き下ろした「Seven Seas Journey」。タイジから母親へのラブレターのように、澄み切ったハーモニーで歌い上げています。


メガホンを取ったのは、御法川修監督。原作を手にしてから5年の歳月をかけて、本作を完成させました。胸をえぐられるような重いテーマでありながら、観終わった後は不思議と爽やかな気持ちに包まれる映画です。

それは御法川監督自身が目指した作品性であると同時に、生きることの痛みや辛さ、そして真の優しさを知る歌川たいじ氏の人柄が、この映画から透けて見えるからなのかもしれません。


母さんがどんなに僕を嫌いでも
2018年11月16日(金)から新宿ピカデリー、シネスイッチ銀座、イオンシネマほか全国ロードショー
監督:御法川修
脚本:大谷洋介
原作:歌川たいじ(「母さんがどんなに僕を嫌いでも」KADOKAWA刊)
主題歌:ゴスペラーズ「Seven Seas Journey」(キューンミュージック)
出演:太賀、吉田羊、森崎ウィン、白石隼也、秋月三佳、小山春朋、斉藤陽一郎、おかやまはじめ、木野花
©2018「母さんがどんなに僕を嫌いでも」製作委員会
公式サイト http://hahaboku-movie.jp/

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