全世界に知ってほしい。パキスタン人は芸術家で、テロリストではないということを。『ソング・オブ・ラホール』 しゃベルシネマ【第54回】

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さぁ、開演のベルが鳴りました。
支配人の八雲ふみねです。
シネマアナリストの八雲ふみねが、観ると誰かにしゃベリたくなるような映画たちをご紹介する「しゃベルシネマ」。

今回の「しゃベルシネマ」のテーマは、ジャズ。
…と言っても、コラボレーションするのはパキスタンの伝統音楽。
世界が大絶賛した珠玉の音楽ドキュメンタリー『ソング・オブ・ラホール』を掘り起こします。

パキスタン伝統音楽×ニューヨーク・ジャズ。異色のコラボレーションが起こした奇跡とは…。

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パキスタン・イスラム共和国の街、ラホール。
かつては芸術の都だったが1970年代後半のイスラーム化の波、さらに1990年代に台頭してきたタリバンによる歌舞音曲の破壊の影響を受け、音楽文化は衰退の一途をたどり、音楽家たちは転職を余儀なくされた。

世間から忘れ去られた熟練音楽家たちは、自分たちの音楽と聴衆を取り戻すため、畑違いのジャズに挑戦。
彼らが伝統楽器を用いてカバーし、YouTubeにアップした「デイヴ・ ブルーベック・カルテット」の名曲「テイク・ファイヴ」のプロモーション映像は、またたく間に世界を駆け巡り、100万を超えるアクセスを記録。

さらに天才トランペット奏者、ウィントン・マルサリスの目に留まった彼らは、ニューヨークに招待される。
マルサリス率いるビッグバンドと共演することになるが、リハーサルでうまく噛み合ず、本場ニューヨークの洗礼を受けることになる…。

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故郷ラホールから、ニューヨークへ。
自国で居場所を失った「サッチャル・ジャズ・アンサンブル」が世界中を魅了するまでの紆余曲折を描いたドキュメンタリー映画が、『ソング・オブ・ラホール』です。

パキスタン伝統楽器を巧みに操るベテラン音楽家たちは、究極の職人集団。
彼らの演奏する姿からは伝統音楽を誰よりも愛し、誇りを持ち、そして体全体で音楽を楽しんでいることが伝わってきます。
昔気質で職人肌のおじさんたちが、異なったフィールドでのコラボレーションに戸惑いながらも、それでも職人魂で困難を乗り越えていく。
その真剣な姿には愛しささえ覚えます。

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メガホンを取ったのは、今年二度目となるアカデミー賞短編ドキュメンタリー賞を受賞したパキスタン人女性のシャルミーン・ウベード=チナーイと、本作が初監督作となるアンディ・ ショーケン。
音楽への愛にあふれた彼らの新たな挑戦がスクリーンいっぱいに映し出されます。

サッチャル・ジャズ・アンサンブル初来日公演を応援しよう!

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本作はクラウド・ファンディングで、サッチャル・ジャズ・アンサンブルの初来日公演を応援しています。
サッチャル・ジャズ・アンサンブルは7月にニューアルバム日本盤を発売、そして9月に初来日無料公演が決定。

クラウド・ファウンディングとは、不特定多数の人がインターネット経由で財源の提供や協力などを行うこと。
このファウンディグシステムを利用して、これまでにも数多くの映画製作者が映画を制作。
中にはカンヌ国際映画祭に選出された作品も誕生しており、新たな映画文化の浸透方法として注目されています。

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現在、クラウドファンディングのプラットフォーム「MotionGallery」で来日費用の支援金を募集中。
無料公演とは別に、支援者限定のプライベートコンサートに参加出来るチャンスも…。
詳しくは、コチラ。↓↓
パキスタン伝統音楽×ジャズ!? サッチャル・ジャズ・アンサンブルの初来日公演にご支援を!

音楽の興奮と希望に満ちたドキュメンタリー映画『ソング・オブ・ラホール』は、渋谷ユーロスペースほか全国順次公開中です。

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2016年8月13日から渋谷ユーロスペースほか全国順次公開
(8月27日から角川シネマ有楽町でも公開決定)
監督・製作:シャルミーン・ウベード=チナーイ、アンディ・ショーケン
出演・音楽:サッチャル・ジャズ・アンサンブル、ジャズ・アット・リンカーンセンターwithウィントン・マルサリス ほか
©2015 Ravi Films, LLC
公式サイト http://senlis.co.jp/song-of-lahore/

連載情報

Tokyo cinema cloud X

シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画を発信。

著者:八雲ふみね
映画コメンテーター・DJ・エッセイストとして、TV・ラジオ・雑誌など各種メディアで活躍中。機転の利いた分かりやすいトークで、アーティスト、俳優、タレントまでジャンルを問わず相手の魅力を最大限に引き出す話術が好評で、絶大な信頼を得ている。初日舞台挨拶・完成披露試写会・来日プレミア・トークショーなどの映画関連イベントの他にも、企業系イベントにて司会を務めることも多数。トークと執筆の両方をこなせる映画コメンテーター・パーソナリティ。
八雲ふみね 公式サイト http://yakumox.com/

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