ソフトバンク・デスパイネ 気分転換に福岡に戻って行ったこと

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話題のアスリートの隠された物語を探る「スポーツアナザーストーリー」。本日は、30日の日本シリーズ第3戦で、試合を決める貴重なランを打った、福岡ソフトバンクホークスの主砲・アルフレド・デスパイネ選手にまつわるエピソードを取り上げる。

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【プロ野球日本シリーズ ソフトバンク対広島第3戦】6回、本塁打を放つソフトバンクのアルフレド・デスパイネ=2018年10月30日 ヤフオクドーム 写真提供:産経新聞社

30日、福岡ヤフオクドームで行われた、日本シリーズ第3戦。マツダスタジアムでは1分け1敗と白星を挙げられずに終わったソフトバンクにとっては、ホームに戻って何としても「シリーズ初勝利」をもぎ取りたいところでした。

実は、秋山監督時代の2011年、中日との第7戦に勝って日本一を決めて以来、ホークスは地元・福岡で、日本シリーズ9連勝中だったのです。この間、中日・阪神・ヤクルト・DeNAを相手に、4度の日本一に輝いたソフトバンク。ゲンのいい地元に戻って勝てば、シリーズの流れも変わります。

「ヤフオクドームに戻ったら、いつも通りやる」

第2戦に敗れた後、そう宣言していたのが、ソフトバンクの主砲・デスパイネでした。その言葉の裏側には「慣れ親しんだ環境でプレーすれば、オレは打てる!」という自信があったのです。

マツダスタジアムでの2試合は、指名打者制度(DH制)が使えないため、工藤監督はデスパイネをスタメンから外して代打で起用するか、それともリスク覚悟で守備につかせるかの二者択一を迫られました。

第1戦はスタメンを外しましたが、打線が湿り引き分けに終わったため、第2戦は5番・レフトでデスパイネを起用。しかし初回、広島先頭・田中の打球がいきなりデスパイネの前方に……。デスパイネは飛びつきましたが、捕球し損ねたボールが後ろに転がりツーベースに。これが先制点につながり、デスパイネは4打数1安打と不発。攻撃重視の積極策が裏目に出て、敵に先勝を許すことになりました。

「あれは捕れたのでは?」という声も上がるなか、

「初回のあれは、普通の外野手でも捕れないと思う」

とデスパイネをかばった工藤監督。いっぽうデスパイネは、

「いつも通りだった。キューバにはドームはないから、屋外のほうが慣れている」

と、一切言い訳をしませんでした。いかなる状況でも、いつも通りにプレーする。これがデスパイネのモットーなのです。

移動日の29日、福岡に戻ったデスパイネは、自宅に第3戦の先発投手・ミランダと、3番を打つグラシアルを招き、自宅でキューバ料理を作って振る舞いました。これも、みんなでリラックスして、「いつも通り」にプレーできるようにという、デスパイネ流の切り替え方なのです。

気分転換をした後、いつも通りの「5番・DH」で先発出場した第3戦。4回以降、お互い点を取り合う展開となり、4ー3とソフトバンク1点リードで迎えた6回裏、2死から3連打で1点をもぎ取り、なおも1・2塁のチャンス。そこでデスパイネに打席が回りました。

「とにかくストライクゾーンに来る、打てる球を狙っていた」

岡田の151キロのストレートを、右翼テラス席へ豪快に叩き込んだデスパイネ。8−3と、試合を決定づける1発となりました。このあと広島も、安部が満塁アーチを放つなど猛追を見せましたが、9−8でソフトバンクが勝利。お立ち台に上がったデスパイネは、ファンに向かって「いつも通り」の雄叫びをあげました。

「デスパ、いいね!」

第4戦以降も、デスパイネは「いつも通り」の豪快なバッティングを見せてくれるのか、注目です。

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