安倍総理の訪中は自民党・財界親中派への顔立て

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(10月30日放送)にジャーナリストの有本香が出演。日中首脳会談の背景について解説した。

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日中平和友好条約締結40周年記念レセプションでスピーチする安倍晋三首相(壇上中央)=2018年10月25日、中国・北京 写真提供:時事通信

日中首脳会談を終え、中国外務省の報道局長が「高度な共通認識を得た」と述べる

中国外務省の陸慷報道局長は、29日の定例会見で先週の日中首脳会談に触れ、「首脳同士が、両国関係の発展のために高度な共通認識を得た」と述べた。

飯田)総理がツイッターなどで表現している3つの原則、「競争から協調へ」「パートナーでありお互いの脅威とならない」「自由で公正な貿易体制の発展」というところ。聞かれて答えたのがこの「高度な共通認識を得た」という内容です。これについての言った言わないが、日本のメディアのなかで問題になっていますが。

有本)そうですね。まあどうでもいいことじゃないですか?
メディア報道をちょっと考え直していただきたいのですが、外交において「言った言わない」は大事とは言えるけれど、今回の訪問の本質は何なのかというところをもう少し伝えていただかないとね。

飯田)はい。

有本)第2次安倍政権始まってから6年間ということを言い換えると、中国に行かなかった6年間です。総理は地球儀を俯瞰する外交と言って、76カ国を自ら訪問し、特に重要だと考えられる国に関しては複数回訪れているにも関わらず、この近い中国に行っていません。

飯田)国際会議のタイミングで行ったくらいですね。

有本)そうです、国際会議以外は行っていないわけです。ですからそれが何を意味するのか。例えばインドのモディ首相は今回別荘に招いている。それ以外にこの6年間、記憶しているところだと、モンゴルの前大統領を私邸に招いています。これは異例だったと思いますね。

中国周辺国と密に関係を持つ安倍外交~訪中は自民党と財界親中派への顔立て

飯田)ありましたね。

有本)トルコのエルドアン首相ともずいぶん密です。トルコはちょっと遠いけれども、中国の周辺国とはすごく密に関係を持っている。インドやモンゴルやトルコは、かつて世界を制覇した大国ですよね。そしてこれからその潜在力を秘めている国々、そういうところとは関係を密にしています。ASEANも主要な国には複数回訪れていますからね。そういうこともあって、結局中国を封じ込めるためにと言われて来ましたが、なかなか封じ込めるのは容易じゃないけれど、周辺国との連携を強くして来たというところです。
今回その禁を破るような形で、日中首脳会談に臨んだのはなぜかということです。これは二階幹事長をはじめとした、自民党の親中派と言われる人たちの顔を立てたのですね。財界からもずいぶん言われている部分があった。そういうことに過ぎないと思うのですよね。

飯田)タイミング的にも節目だと言われていますからね。平和友好条約40年。

有本)そうですね。1つポイントになったのは北朝鮮の問題です。去年9月、国連での安全保障理事会の制裁決議以降、北朝鮮に対して国際社会が協力して制裁を掛けてきた。これに対して中国が「どうなんだろう」というようなことを仄めかしたりしていましたから。もう1度行って確認するということですよね。そういう意味合いぐらいで、他はあんまり大した意味は無いのではないでしょうか。
一帯一路に対して協力するような姿勢を見せてしまったことはいけないと言われていますが、これも途上国側からすれば、このまま中国の1人舞台で、要するに「狩場にされてしまうのは困る」という声もあったと聞いています。ですから日本企業がそこに出て行きやすくすることによって、途上国側としては「中国の、国際ルールに乗っ取らないようなやり方が牽制されるんじゃないか」という希望もあるようです。
何よりもこの6年間、ずっと中国に行かなかった流れから考えれば、「中国行きましたよ」と。でもその翌日に帰って来たら、モディさんを別荘に招待している。もうこの流れが、安倍外交の何であるかという部分を象徴していますよね。

飯田)見せつけている感じが。

日本ウイグル友好議連の最高顧問は安倍総理

飯田)あまり報道していませんが、ウイグル人の方々の人権弾圧については、李克強さんとの会談のなかで言及したということです。

有本)そうなのですよ。あれだけ日本のメディアがついて行っているにも関わらず、全然報じることが無い。いちばん早かったのはウォール・ストリート・ジャーナルです。

飯田)ツイッターでリツイートされていました。

有本)このあたりも私は残念だなと思います。安倍総理は、ウイグル人というよりは「イスラム教徒」という言い方をしています。事実上、ほぼウイグル人の問題ですが、いま日本の永田町のなかに、日本ウイグル友好議連という議員連盟があります。これは安倍総理と非常に近い古屋圭司さんが会長をやっていますし、事務局長は衛藤晟一首相補佐官です。立ち上げのときから私も承知していますが、この日本ウイグル友好議連の最高顧問は安倍総理ですから。これは野党時代に作ったものですが、総理になっても最高顧問からは外れていません。ウイグル問題については一際思いがあるし、過去にも胡錦濤さんが日本に来たとき、当時安倍さんは総理の座を退いていましたが、その際もそれに触れたこともあった。いずれにしても今後、日中は蜜月と言うには遠くて、まさに安倍さんが言った言葉ですが、戦略的互恵関係です。戦略的に争いを大きくしないというなかで、緊張感のある関係がこれから数十年続くとみていいのではないですか。

飯田)数十年で続くと。

有本)ですからそのために、インドとの関係は非常に重要だということですね。

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