仙台駅「厚切り真たん牛たん弁当」(1,500円)~駅弁屋さんの厨房ですよ!(vol.12「こばやし」編(2))

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【ライター望月の駅弁膝栗毛】

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E721系電車、仙山線・東照宮~仙台間

東北新幹線の高架をくぐって坂を駆け下りてくるのは、JR仙山線のE721系電車。
仙山線は、その名の通り、仙台と山形を結ぶ路線です。
仙台から途中の愛子(あやし)までは、1時間に2~3本程度の列車が運行。
愛子より先、作並、山寺、山形方面へは、毎時1本の列車が基本となります。
一部は快速運転を行う列車もあり、仙台~山形間を1時間15分ほどで結んでいます。

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株式会社「こばやし」本社

そんな仙山線の列車の音がいつも聞こえてくる駅弁屋さんが、仙台を拠点に駅弁をはじめ、各種弁当を製造している「株式会社こばやし」です。
私・望月が全国各地の駅弁屋さんの厨房を訪問して、トップの方に直接お話を伺うシリーズ「駅弁屋さんの厨房ですよ!」。
第12弾となる今回は、仙台駅弁「こばやし」をご紹介しています。

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株式会社こばやし・小林蒼生代表取締役

小林蒼生(こばやし・しげお)代表取締役
昭和18(1943)年生まれ、75歳。
父(初代)、母(2代目)を継いで、社長としては3代目。
大学卒業後、銀行勤めを経て、株式会社「こばやし」入社。
およそ30年にわたって、「こばやし」のトップを担っている。


―「こばやし」が駅弁を始めたきっかけは?

小林家は元々、水戸の出身で、「井熊総本家」という老舗のお菓子屋をやっています。
ここの三男坊だった父が、大正9(1920)年に「井熊総本家仙台支店」として出店しました。
ほぼ同時期に、仙台駅弁に参入する機会を得て、井熊総本家仙台支店の「小林弁当部」という名前で、お菓子と駅弁を両方扱うお店として始まりました。


―「こばやし」が駅弁1本になったのはいつ頃ですか?

戦後のことです。
仙台は東北本線・常磐線・仙山線・仙石線などがクロスする交通の要衝で、とても恵まれた地ということもあって、だんだんと弁当のほうがよくなってきて、駅弁1本となりました。
ちなみに小林家は長男が水戸でお菓子屋を継ぎ、二男は郡山で駅弁(福豆屋)を開いていて叔母は常磐線・我孫子駅の「弥生軒」(注)に嫁いでいます。

(注)「弥生軒」…我孫子駅の駅弁屋さん。いまは駅そばを手掛ける。「唐揚げそば」が有名。

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仙台駅(東口)

―仙台には、明治時代からの駅弁屋さんもあるんですよね?

仙台には当時、大泉さんという方がやっていた伯養軒という駅弁屋さんがあります。
コチラは旅館から始まって駅弁に入ったお店です(現在は経営が変わっている)。
ただ、伯養軒さんは東北一円に支店を出されていたので、私が入った頃には、仙台の駅弁といえば「こばやし」という方が多くなっていました。
東北、新潟などでは、国鉄時代から1駅に複数の駅弁屋を入れる体制を取っているんです。


―なぜ、東北・新潟など、東日本エリアの駅弁屋さんは、2社体制の所が多いんですか?

万が一の特別な事情があった場合に備えて、リスクヘッジをしたものと考えられています。
実際、私自身も若い頃、結構、“緊急の炊き出し”をしたことがありました。
(何十時間も列車が停まってしまうと)夜中など、時間に関係なく、炊き出しをするんです。
「こばやし」にも、昔は「泊まり番」という勤務があって、毎晩2~3人泊まっていました。
子ども心には、「泊まりなんてヤダなぁ…」なんて思っていましたが、駅のスグそばにあって、「緊急時の炊き出し」をするのも、じつは駅弁屋の大事な任務なんです。
加えて普段は2社を「競争」させることでより良いものを…といった考えもあったことでしょう。

(小林蒼生・株式会社「こばやし」代表取締役インタビュー、つづく)

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厚切り真たん牛たん弁当

日本有数の「駅弁」の競争が激しい駅として知られる仙台。
なかでも牛たんの弁当は、駅弁屋・牛たん店入り乱れて、様々な弁当が出されています。
この秋、「こばやし」がデビューさせたのは、「厚切り真たん牛たん弁当」(1,500円)。
牛たんのなかでも、僅かしか取れない希少な部位「真たん」を贅沢に盛り込んだ駅弁です。
冷めても十分やわらかいということで、「非加熱式」で出しているのも自信の表れですね。

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厚切り真たん牛たん弁当

【お品書き】
・厚切り牛たん焼き
・味噌南蛮漬け
・天着はじかみ
・七味唐辛子
・麦飯(米は宮城県産環境保全米ひとめぼれ使用)

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厚切り真たん牛たん弁当

牛たんのなかでも、特にやわらかい真ん中の部分を「真たん」と銘打った「こばやし」。
「こばやし」の牛たん駅弁のなかで最も厚い、「10ミリ」の厚さを誇ります。
冷めても柔らかい、希少な部位を比較的お得にいただくことが出来る「厚切り真たん牛たん弁当」は、現在開催中の「駅弁味の陣2018」にも“出陣”中。
まずは“冷めても美味しい厚切り牛たん”を体感してみましょう!

連載情報

ライター望月の駅弁膝栗毛

「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!

著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/

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