日本とインドの関係~親密な連携の演出は中国へ向けてのもの

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(10月29日放送)にジャーナリストの須田慎一郎が出演。インドのモディ首相と安倍総理の首脳会談について解説した。

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山中湖を背に、インドのモディ首相(左)と談笑する安倍首相=2018年10月28日午後、山梨県山中湖村 写真提供:共同通信社

安倍総理がインドのモディ首相と本日会談

インドのモディ首相が昨日来日した。安倍総理は昼間は山梨県山中湖村のホテルで昼食会を開催。夕方には同県鳴沢村の、自身の別荘に初めて外国の首脳を招き、異例のもてなしを行った。両首脳は、きょう総理官邸で正式な首脳会談を行う。

飯田)日中首脳会談から帰国後、すぐにインド首相と、しかも別荘で会う。この一連はつながっていると考えていいですか?

須田)もちろんです。安倍さんはもともとモディ首相と、野党の党首時代から付き合いがありました。モディさんが首相に就任して以来、初めて会った外国の首脳は安倍さんだったと思います。その意味では、太いパイプがあるわけです。インドのモディ首相のテーマについていちばん大きなポイントになるのは、やはり対中国問題です。それは単なる外交だけでなく、一帯一路を含む経済面と、もう1つは安全保障の分野です。インドとの親密な連携を演出することで、中国からも「日本を慎重に扱う必要がある」というところに持って行けるのだと思います。

IT産業に関して日中インドの連携を模索するべき

飯田)中国訪問で、本当は貴州省の工場視察も盛り込まれると言われていましたが、それが無くなり、帰国直後に山梨まで行って会う。いろいろな意味を感じてしまいますね。

須田)いずれ近い将来、人口の面でも、インドは中国を超える。それから、インドはIT大国ですが、一方中国のIT産業の、特にAIの分野の進捗ぶりにはかなり大きなものがあります。すると、日本としてもITやAIの分野でこれから経済成長しなければならない部分で考えると、単純にインドとだけ連携が取れていればいいわけではない。「日中インドの3カ国間で連携が取れる分野があるのではないか?」ということも考える必要があると思います。

莫大な資金が必要なインド~AIIBにも前向き

飯田)対立するだけではなく、経済面では実利も追求していかなければいけない部分もある?

須田)その意味ではモディ首相もしたたかです。AIIB(アジアインフラ投資銀行)には前向きというか、宥和姿勢を取っています。利用できるものは何でも利用して行きたい。実利を得る方向に動いています。外交や国際政治はそういうものと考えるべきだと思います。

飯田)AIIBは、中国が肝煎りで作った、インフラ開発のためと言われている銀行です。インドとしては、「とは言え、お金がほしい」という部分で、そうした資金を求めている部分がある。

須田)ただ、将来的にはADB(アジア開発銀行)との連携となります。AIIB最大のウィークポイントは、審査能力の低さです。お金はありますが、銀行としての、資金を提供するための審査の仕組みの点で脆弱なものがあります。言うがままにお金を出していては、将来的に返済不能に陥る状況もあり得る。それに関してADBはかなり長けていますから、そことの連携が必要になってくると思います。

飯田)AIIBの総裁も「ADBとの協調融資はやって行きたい」といろいろな場所で言っていますからね。

須田)「ADBが融資しているなら、自分たちも融資しよう」と乗っかってということでしょう。インドとしては、インフラ整備などを含めて莫大な資金が必要ですから、ADBや世界銀行頼みだけでは成り立たない部分もあります。

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