日中首脳会談~これで日中の問題がすべて解決するわけではない

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(10月26日放送)に外交評論家の宮家邦彦が出演。安倍総理の中国訪問について解説した。

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日中平和友好条約締結40周年記念レセプションでスピーチする安倍晋三首相(壇上中央)=2018年10月25日、中国・北京 写真提供:時事通信

日中首脳会談を前に、安倍総理が意欲を語る

安倍総理大臣は25日午後、北京に入り、人民大会堂で中国の李克強首相と懇談し、その後は日中平和友好条約発効から40年を迎えたことを記念するレセプションに出席した。このなかで総理は「いまや中国は世界第2位の経済大国へと発展し、日本の対中ODAはその歴史的使命を終えた」と述べて、今年度の新規案件を以って中国に対する政府開発援助を終了する意向を表明している。また、きょう26日に行われる習近平国家主席、李克強首相それぞれとの首脳会談について「新たな時代にふさわしい新たな日中協力のあり方について、大所高所から胸襟を開いて議論したい」と述べ、改善段階にある日中関係の安定化へ意欲を示した。

飯田)国際会議などでの訪問を除くと7年ぶりの日本の総理中国公式訪問ということで、新聞などメディアは盛り上がっていますが、宮家さんはどうご覧になっていますか?

宮家)冷めていますね。誤解のないように申し上げておくと、私が北京にいたときはたまたま国交正常化30周年でした。それはもう大盛り上がりでしたよね。それに比べたら今回は盛り上がらないのですが、それはいままで中国の態度が非常に硬かったからです。安倍さんが総理になって、最初の頃は安倍さんを孤立させようという嫌な動きがありました。

飯田)修正主義者みたいなことを言われました。

宮家)それをやったのだけれど、結局孤立させられたのは中国だった。それがわかったので徐々に日中関係の改善は始まったのですが、いまの状況は政治レベルで日中関係の懸案が解決されるような方向ではないと思います。これは戦略的な問題だから。しかも中国にとってさらに状況が悪いのは、アメリカとの関係が悪くなっていること。このような状況では、日本と手を打つしかないです。だけどもちろん歴史問題を緩める気はないし、「尖閣は俺たちのものだ」と思っているから、今回の首脳会談は非常に戦術的なものです。日本企業にもっと中国経済に投資して貰いたいし、アメリカとの関係はそこそこにして貰いたい。できれば日米との間に楔を打ちたい。いろいろな思惑があって、下手に秋波を送って来てこういう形でアレンジをする。しかし、これで日中の問題がすべて解決するとは思えません。安倍さんが「胸襟を開いて議論したい」とおっしゃっているのは「政治レベルで新しいディールをしましょう」と言っているのですが、中国がそこに乗って来るかどうかはわからない。

日本経済にとっては絶好のチャンス

宮家)日本にとっては絶好のチャンスです。日中関係がごちゃごちゃしていて良いことがあるわけはないのだから、そこはちゃんとやるべきことをやって、中国に進出している人たち、旅行で行く人たちを含めた日本人の安全と、経済活動の安定的な保護が貰えるようにやらなければいけない。政治問題までちゃんとできるかというと、中国はいまアメリカとこんな状況になっているところで簡単に譲歩して来るとは思えません。しかし、40周年50周年と、どんどんやって欲しいと思います。

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