巨人・鈴木尚広外野守備走塁コーチ 原監督が“足のスペシャリスト”に期待すること

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話題のアスリートの隠された物語を探る「スポーツアナザーストーリー」。本日はコーチとしてジャイアンツ復帰が決まった、鈴木尚広・外野守備走塁コーチにまつわるエピソードを取り上げる。

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【プロ野球巨人】ニッポン放送ショウアップナイターカンファレンスにゲストとして出演した元巨人の鈴木尚広氏=2016年12月12日 写真提供:産経新聞社

巨人は22日、原辰徳新監督復帰に伴う、来季のコーチングスタッフを発表しました。高橋監督を含め、15人が退任。投手総合コーチに宮本和知氏、内野守備兼打撃コーチに元木大介氏らが就任するなど、大幅なスタッフ入れ替えとなりますが、新任コーチのなかで目を引いたのが、外野守備走塁コーチに就任した鈴木尚広氏です。

巨人ひと筋で20年間プレーし、一昨年限りで引退した鈴木コーチ。入団から5年間はファーム暮らしが続きましたが、6年目に原監督に才能を見出され、1軍に昇格。足のスペシャリストとして活躍し、とくに試合終盤、「ここでランナーが還れば勝てる」というシーンが来ると代走で登場。神懸かった走塁を披露して、チームの危機を何度も救ってきました。

ほとんどが控えだったにもかかわらず、通算1,130試合に出場し、チーム歴代3位の228盗塁を記録。そのうち代走での盗塁は131個で、これはプロ野球記録です。30代後半まで代走として起用されたのは、8割2分9厘という驚異的な盗塁成功率にあります(10回走って、8回以上成功!)。

巨人は今シーズン、チーム盗塁数が中日と並び、リーグ最少の61。トップの広島は95で、足でも大きな差をつけられてしまいました。原新監督は、鈴木コーチが、盗塁の奥義を若手に叩き込んでくれることを期待して、チームに呼び戻したのです。

そして、原監督が期待するのは、“足”だけではありません。鈴木コーチの野球に対するひたむきな姿勢も、原監督が高く評価していることの1つです。現役時代、ホームゲームではいつも試合が始まる7時間前に球場入り。誰もいない薄暗い東京ドームのなかで、黙々とひとり準備を重ねていたのです。ちなみにダッグアウト裏には、鈴木専用の人工芝の走路が置いてあり、試合展開を見ながら、そこで調整を進めていたとか。
代走の出番はたった一瞬。いくら長時間準備を重ねても、試合展開によってはお呼びが掛からない日もあるのです。しかし、いついかなるときでも、出番に備えて入念な準備を怠らなかった鈴木コーチ。代打は3割打てば上出来ですが、代走は盗塁したら100%成功させないと「何やってるんだ!」と言われてしまいます。ファンは「鈴木が走れば成功」と思っているので、そのプレッシャーたるや、想像を絶するものがあったはず。それを乗り越えての「代走131盗塁」は、本当に価値のある記録と言えるでしょう。

22日、自身の公式インスタグラムで、ファンに復帰の挨拶をした鈴木コーチ。

「プロに大切なのは継続力を持つ人間、試合に出続けること、結果を出し続けること、練習をし続けること。そこに向かうための取り組む姿勢は、必ずプレーに表れます。後輩たちにはユニホームを着て戦うプロの重み、技術面、精神面でプラスになるものを伝えていきたいと思います」

と、熱く抱負を述べました。さらにファンに対して、こう宣言しています。

「ファンの皆様。勝ちに飢えていると思います。選手以上の覚悟を持って、逃げずに立ち向かって行きます!」。

鈴木コーチが、若手たちの意識をどう変えるか、注目です!

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