巨人・高橋監督 田口・畠の投手リレーに込められた思い

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話題のアスリートの隠された物語を探る「スポーツアナザーストーリー」。本日は18日のクライマックスシリーズ(CS)で、巨人・高橋由伸監督が見せた、投手起用にまつわるエピソードを取り上げる。

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【プロ野球CS2広島対巨人】巨人・高橋由伸監督=2018年10月18日 マツダスタジアム 写真提供:産経新聞社

18日に行われた、CSファイナルステージ第2戦。セ・リーグの広島−巨人戦で、初戦を落とし負けられない巨人は、先発に田口麗斗を起用しました。高橋監督就任1年目の一昨年、開幕からローテーションに定着。昨年まで2年連続で2ケタ勝利を挙げた田口。

しかし今シーズンは開幕から不振で、初勝利を挙げたのは先発4試合目。5月5日に2勝目を挙げて以降パッタリ勝てなくなり、7連敗でレギュラーシーズンが終了。最終成績は2勝8敗と、大きく期待を裏切りました。

ペナントレースでチームが苦しむなか、戦力として貢献できない歯がゆさ……ファームで走り込んで足腰を鍛え直し、シーズン終盤、再び1軍のマウンドに戻ってきた田口に、高橋監督は大事なマウンドを託したのです。

9月13日のヤクルト戦以来、およそ1カ月ぶりの1軍登板でしたが、

「シーズンがあまり良くなかったなかで、チームに合流させてもらって、この日を待っていました。目いっぱい投げて勝てばいいので、そういうピッチングをしたい」

と試合前に抱負を語った田口。強力カープ打線を向こうに回し、6回を投げ1安打無失点と、十分にその役割を果たしてマウンドを降りました。

「自分の持っている力をたくさん出せた。大事な試合で自分の思ったところに投げられたのは1つの糧になる」

将来のエース候補は、この試合で復活への手応えをつかんだようです。高橋監督も

「今シーズンいちばんいいんじゃないかというくらい。頑張ってくれたと思う」

と田口をねぎらいました。

田口が投げた球数は、わずか67球。もう少し投げさせる選択肢もありましたが、高橋監督には、試合前から想定していたプランがありました。

「リードしている展開の終盤は、(畠、山口俊の)2人に託すと決めていたので」

高橋監督は予定通り、7回から2番手で畠世周を投入。今年2年目の畠は、去年の7月に1軍デビュー。150キロを超える速球と、落差の大きいスプリットで先発として活躍。6勝を挙げました。しかし期待された今年は、キャンプ中に腰を痛め、開幕は2軍スタート。ようやく1軍に合流したのが9月11日でした。高橋監督は畠に「抑えの山口俊につなぐセットアッパー」という新たな役目を与えましたが、これが成功。終盤9試合に登板し、2勝3ホールドという好成績を残し、3位確保に貢献したのです。

CSでも畠に7・8回を任せて逃げ切ろう……というプランは、8回2死2塁から、代打・新井に同点タイムリー2塁打を浴び、もろくも崩れ去りましたが、その後も畠を続投させた高橋監督。これが裏目に出て、菊池にとどめの3ランを浴びて、降板となりました。

「最後まで行ってほしかったけど、そこまで引っ張ったのは僕ですから」

と選手を責めなかった高橋監督。「継投ミス」と言ってしまえばそれまでですが、手塩にかけて育てた田口・畠には、自分が去った後のジャイアンツを担ってもらいたい。そのためには、いまここでしか経験できない大舞台を経験させてやりたい……。田口・畠のリレーには、そんな思いが込められていたのです。

残り4試合、日本シリーズ進出のためには、負けはもちろん、引き分けも許されない厳しい状況に追い込まれた巨人ですが、第3戦の先発マウンドに立つのは、同じく高橋監督に見出された今村信貴。負ければ即、高橋監督のラストゲームになる試合。勝ってエース・菅野につなげられるかどうか、注目です。

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