辺野古移設問題~長引くことで生じる安全保障への悪影響

By -  公開:  更新:

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(10月18日放送)に青山繫晴(自由民主党・参議院議員)が出演。米軍基地問題を巡る沖縄県と国政の争いについて解説した。

政府が辺野古で沖縄県へ対抗措置

政府はアメリカ軍の普天間飛行場の名護市辺野古への移設問題に関し、沖縄県による埋め立て承認撤回への対抗措置として、行政不服審査法に基づき、国土交通大臣に審査請求をした。

飯田)もともと沖縄県知事が出していた埋め立て承認。これを撤回したため、それを受けての措置です。まずは菅官房長官の会見の模様です。

菅官房長官)政府としては、早期に辺野古への移設と普天間飛行場の返還を実現したい。この考え方に変わりはない。これについても、知事には政府の考え方は変わりない旨は伝えております。
いずれにしても、普天間飛行場の危険除去と、辺野古移設に関する政府の考え方や沖縄の負担軽減を目に見える形で実現する。こうした政府の取り組みを丁寧に説明させていただき、新知事のこれからのご協力を得られるよう、粘り強く対応して行きたいと思っています。

仲井眞知事が埋め立てを許可~翁長県政で撤回

飯田)メディアによっては「知事と会談して5日後で、まるで騙し討ちだ」とする論調もあります。

青木)会わずにいきなり問答無用で行うのではなく、官房長官や総理大臣にも新知事はお会いになり、相互の考えをお互いに言ってからの措置ですから、「騙し討ち」とは違います。移設問題について一連の流れです。仲井眞知事の時代に、(埋め立ては)大英断だったのです。いままで保守系知事も前に進めようとしなかったものをあえて進め、埋め立てを許可しました。それを翁長県政の最終段階で撤回し、玉城新知事もそれを引き継いだ。県側も政府側も、いままでと同じです。
すると、こういうお互いの対抗措置を出し合うしか、少なくとも当面はなくなってしまうのです。正直、ため息が出ます。私は長年、辺野古に通いました。辺野古への移設はもともと反対でした。あそこにアメリカ軍の基地が元からあって、沖縄含め日本国民は誰も入れないビーチがあった。あくまで米軍の利便性を優先させていると思いました。
ただし、沖縄県民には申し訳ないけれど、「北部地方の山原に移設すべき」という考え方でしたから、沖縄主流の考え方とも違います。

沖縄 辺野古 移設 基地問題 普天間 玉城デニー 玉城 県知事 翁長 菅官房長官

沖縄県庁に初登庁し、花束を受け取る新知事の玉城デニー氏(中央)=2018年10月4日、那覇市 写真提供:時事通信

国家間合意のためにも決まったことは実行していくべき

青木)日本でタブーとなっていて語られない重大な点があります。安全保障はそもそも国の仕事であって、国はあくまで国政選挙を通じた民意で決まる。そして、国が決めて、外国と合意を形成した後に「地元の方が不満だから」と覆していると世界中が成り立ちません。沖縄の米軍基地に様々な問題があるのはその通りですが、いずれにせよ、肥大化した中国や北朝鮮の脅威に対して、シンガポールでの米朝会談後も、北朝鮮の脅威はむしろ増大しているのが現実です。そのときに単独で守れる国は基本的に存在しません。実はアメリカもそうです。日本は憲法9条の制約もあり、できないから、日米の同盟関係がどうしても必要です。
したがって、地元の動きで停滞したり覆ったりすると、どんな国家間合意もできなくなってしまう。決まったことは実行すべきです。それが現在の国会議員として、あるいは民間の専門家としての私の立場です。
そうなると、今後の道は決まってしまいます。国はあえて司法手続きを当面とらずに、国交大臣に聞く。国交大臣がそれを認めたら、県の方は、国地方係争処理委員会、つまり国と地方の間で苦情がある場合、不服を申し立てる。しかし、これは以前却下されているから、却下された場合、今度は県が司法へ。そこまで見えてしまっています。その先お互い対抗措置だけで行くのは誰も喜ばないことです。玉城知事が早速東京で総理や官房長官とお話ししたことは、大切にしたいと思います。

飯田浩司のOK! Cozy up!
FM93AM1242ニッポン放送 月-金 6:00-8:00

番組情報

飯田浩司のOK! Cozy up!

FM93/AM1242ニッポン放送 月-金 6:00-8:00

番組HP

忙しい現代人の朝に最適な情報をお送りするニュース情報番組。多彩なコメンテーターと朝から熱いディスカッション!ニュースに対するあなたのご意見(リスナーズオピニオン)をお待ちしています。

Page top