世界同時株安~想定内の調整局面

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(10月12日放送)に外交評論家の宮家邦彦が出演。世界同時株安について解説した。

世界同時株安のなか、G20が開幕

20の国と地域によるG20(財務省中央銀行総裁会議)が11日夜、インドネシアのバリ島で開幕した。アメリカの金利上昇や、アメリカと中国の貿易摩擦への懸念から世界同時株安となるなか、世界経済の現状と課題について議論した。

飯田)ニューヨークダウ平均株価、既に市場は閉まっています。前の日と比べて545ドル91セント安の、25,052ドル83セント、2%あまりマイナスとなっています。こう見ますと世界の株式市場、東京、上海、ロンドン、この辺りもみんなマイナスで回っているということです。

宮家)私は経済の専門家ではないから確信を持って言えないのは残念ですが、常識的に考えて、株が永久に上がり続けるということは有り得ないです。そして3月から、アメリカは間違いなく中国に対して厳しい態度を取り始めて、それが米中だけの問題ではなく、世界全体に必ず影響を及ぼすことをやっている。ですから、強気の相場が続いても、どこかで調整が入るはずなのです。しかも、FRBの金利の上げというのは当たり前で、アメリカの経済が良ければある程度金利を上げて離さないとインフレになるので、そうならないように独立した中央銀行がやるべき仕事をやっている。それを「頭がおかしくなった」とトランプさんは言っているけれど、そんなことはないです。
経済がこうであれば金利は上がるので、恐らく市場の人たちはそれも織り込み済みでやっています。

飯田)上がるだろうな、と思ったら、やっぱり上げたと。

宮家)当然、調整局面に来ることはあるわけですから、私のような専門家ではない人間が言ってもしょうがないけれど、ある程度、調整局面に入って当たり前だろうと思っています。ですから、あまり一喜一憂してはいけない。問題は、短期的にはそれで良いのですが、米中の問題がこのままガチンコでやればどこかで大きな状況の変化が起こるはずなので、それがいちばん心配です。

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経済に打撃を受ける中国はアメリカ国債を売ることはできない

飯田)かなり心配する向きの経済面の記事を見ると、中国が大量に持っているアメリカ国債を売りに出して「売り浴びせ」るのではないか、みたいな言われ方をしています。

宮家)それをやると、彼らの資産が物凄く減価しますよね。それをやった途端に世界経済はおかしくなりますから、日本のときにも言われたし誰もが言うのだけれど、やれるものならやってみろ、という意見もある。中国がそれをやったときに、もちろんみんな大混乱になるのだけれど、中国経済がいちばん打撃を受けるのですよ。彼らの評価が全部下がるわけですから。中国は世界に多大な迷惑をかけただけではなく、自分も落ち込んで行きます。そんなことを彼らがすると思いますか? 普通は、合理的な判断をすればしないのですよ。「やるぞ」と言うことに意味があります。

飯田)伝家の宝刀で、抜いちゃったら意味が無いわけですか。

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国際秩序のバランスの崩れ

宮家)アメリカのスーパー301はやっちゃったからね。最近みんな我慢しなくなっちゃったのです。ロシアも毒殺を世界中でやっているでしょう。サウジアラビアも反対派の記者が総領事館のなかでいなくなってしまった。昔はもっと自制が効いたのですが……。トランプさんもよくやりますよ、普通はルールがあるのだから、こんなことまでしません。ルールがないがしろにされている兆候があるから、その分だけ読みにくいのは事実です。

飯田)この流れというのは新しいルールを作るための蠢きなのか、とにかく壊せなのか、どちらでしょうか?

宮家)1945年に作られた、開かれたルールに基づく国際秩序、普遍的な価値を重んじる秩序そのものにトランプさんがチャレンジしているわけですから、当然こうなるのは見えているので、1945年のような安定した時期はこれから揺らいでいく。そのあと1945年より前の世界、すなわちナショナリズムとポピュリズムが強くなってブロック経済になるのかと。私はならないと思うけれども、1945年の反省に基づいて開かれた秩序を作りましょうという場合には、中国がそれにチャレンジして来ますから、なかなかそれが維持できないというジレンマ、恐らく何年かは漂流するのだと思います。

中国がアメリカに代わって覇権を握るとは考えられない

飯田)それこそイギリスが世界の覇権を握っていた頃からアメリカに代わるまでは、50年100年という単位で起こっていますよね。

宮家)確かにそうなのですが、イギリスの力が衰えたのは第一次世界大戦くらいからですよね。アメリカが債権国になって行って、その効果が見えて来て実体が伴っていくのが第二次大戦後です。ですから、その過渡期が何十年かあるわけです。だけどいまそうなのか、アメリカに代わる国があるのかと言うと、私はないと思います。アメリカのように資源を多く持つ国にたった3億人しか住んでいなくて、そして世界中から野心的な多くの人材が入って来て、驚くべき自由競争をやっているのですから、天才が出てくるに決まっていますよ。
日本みたいな社会とは違う意味で活力があるから、それに比べたらロシアの人口はどんどん減っているし、物は作れないし、あれは詐欺国ですから。中国も13億と言ったって、これから必ず中心国や中所得国の罠にはまるので、簡単にアメリカを抜いていくのは考えていないですね。

飯田)先に高齢化が来るのではないかと言われていますね。

宮家)もう来ていますよ。

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