沖縄県知事選~玉城氏に大差で敗れた政権与党側の敗因は何だったのか

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(10月1日放送)ジャーナリストの須田慎一郎とラジオ沖縄の小磯誠デスクが出演。沖縄県知事選の政権与党側の敗因について解説した。

沖縄 県知事選 玉城デニー 佐喜眞淳 玉城 デニー 辺野古 移設 反対

沖縄県知事選で勝利し、万歳する玉城デニー氏(手前中央)=2018年9月30日夜、那覇市 写真提供:時事通信

沖縄県知事選~野党支持の玉城デニー氏初当選

玉城デニー氏)国にとっても、沖縄の優位性を高めていく。それが国内経済を伸ばし支えていくということであれば、国も歓迎するでしょう。ですから、そのことについては、私たちは国としっかり協議したい。
しかし、県民が認められないもの。最たるものは「辺野古の新基地建設」です。それについては、県民の思いをしっかり政府に要求していきたいと思います。

沖縄県知事選挙は昨日、アメリカ軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設に反対する、玉城デニー氏(58)が、安倍政権が支援した佐喜眞淳氏(54)らを破り、初当選した。投票率は台風接近と通過にも関わらず、前回並の63%を記録。玉城氏の得票は39万票余りで、沖縄県知事選で過去最多となった。

飯田)翁長雄志前知事の死去を受け、11月に行われると予想されていたのが早まったこの選挙。須田さんはどうご覧になりましたか?

須田)「普天間基地の辺野古移設が争点になった」という点では、2回連続なのです。2回連続で辺野古移設に関して「反対である」と、沖縄県民の民意が示されました。これを受けて国がどう向き合っていくかですね。「2回連続」がかなり大きな意味を持ってくると思います。それが今後のポイントになるでしょう。

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街頭演説で支持を訴える沖縄知事選候補者の佐喜真淳氏=2018年9月28日午後、那覇市 写真提供:時事通信

佐喜眞氏応援に大物議員の沖縄入りが過剰すぎた

飯田)現地沖縄でどのような声が挙がっていたのか。沖縄で取材を続けている、ラジオ沖縄の小磯誠デスクに話を伺います。まずは県知事選の結果について、どのような感想をお持ちですか?

小磯)玉城さんは一言で言うと「翁長知事の後継」を全面に打ち出しました。この辺りが実った感じです。
一方の佐喜眞さんについては、政権与党の支援を受けたわけですが、知名度の点でいま一歩浸透しなかったことが言えると思います。

飯田)佐喜眞さんの方には、小泉進次郎さんなど、有名な人が大勢入っての選挙戦でしたが、それでも及ばなかった。何か原因があるのですか?

小磯)逆に「入りすぎた」ということもあるかもしれません。菅官房長官や小泉進次郎さんが3回ほど沖縄入りしました。
終盤の方で、佐喜眞さん側が「携帯電話料金4割削減します」と言って、それに対して菅官房長官も確約的な発言をしました。小泉さんも、「全国と100万円ほどの所得差があるのを追いつかせる」と、お金の話を逆に出し過ぎてしまった。県民はその辺りは敏感に反応します。「また札束で釣るのか」ということを感じた。その面も大きかったのではないでしょうか。先の名護市長選挙では、政権与党側はあまり全面に出なかったのですよ。逆に玉城さんの方が、推す政党が全面に出なかった。この差もあるような気がします。

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台風24号の接近で、沖縄県知事選の期日前投票所には長い行列ができた=2018年9月27日午前、沖縄県宜野湾市役所 写真提供:共同通信社

選挙カーの上で訴えた佐喜眞氏と常に県民と同じ目線で訴え続けた玉城氏

飯田)報道で「佐喜眞さんは選挙カーに上がるけれど、玉城さんは上がらなかった」と書かれています。県民のなかに入っていくというところでは、玉城さんの方が分があったということですか?

小磯)そうですね。佐喜眞さんは自民党の大物幹部と共に、選挙カーの上に乗って手を挙げることが多かったのですが、玉城さんの方は逆に、上に乗ることはなく、常に県民と同じ目の高さで訴え続けました。こういうことも、県民に浸透していったと言えるかもしれません。

須田)川上から川下へ。そして、県民と同じ目線。小沢一郎さんの選挙戦術の特色を全面に出した感じですね。今回、小沢さんの姿は見えましたか?

小磯)沖縄入りしていますが、報道もされず、前面に出ることもなく、一緒に行動することもない。もちろん、いろいろな集会はあったかもしれませんが、その点では小沢さんに限らず野党側の幹部もまったく一緒に行動しませんでした。「候補者と共に」というのが一切無かったのです。やはり自民党は逆に多すぎたと言えるかもしれません。

須田)沖縄県民にとっては、中央というか本土の人が一緒に行動するのは、やはり違和感が出てくるのですか?

小磯)佐喜眞さん側は「対立から対話へ」をキャッチフレーズにしていました。ところが、逆にそういう姿が見えすぎると、「政権が丸抱えじゃないか?」とだんだん見えてきたように思います。

今後の課題はどのように政権と対峙するか、玉城氏が支援団体とどう組んでいけるか

飯田)今後ですが、辺野古移設の話ばかりがクローズアップされてしまいますが、ここは翁長さんの意思を玉城さんが受け継いで、政権と対峙していく形になっていくのでしょうか?

小磯)「身体を張ってでも止める」と言っていますから、国と対峙、話し合っていくようになるのだと思います。
ただし、すでに政権与党側は「辺野古移設を進める」と言っていますから、法廷闘争も含めてどのような形で対抗していくのか。それから、玉城さんをどう支援していくのか。支援体制をどう組んでいけるか。いわゆる「オール沖縄」側が1枚岩でやっていけるのかも、これから大きな課題になってくると思います。

飯田)基地だけでなく、経済などいろいろやるべきことはありますよね。玉城さんはその辺りについて何か仰っていましたか?

小磯)観光も好調ですし、そうした部分を伸ばしていく。それから、アジアを主体とした形で、大きく展開していくということで、そうしたことも全面的に打ち出しています。
現状では観光を中心に沖縄経済は好調なのです。その点でも、県民はやはり玉城さんを選んだと言えるかもしれません。

飯田)経済の好調さについて、現状維持となると、玉城さんになったわけでしょうか?

須田)あまり中央と沖縄の対立が先鋭化すると、沖縄が自主決定権を全面に打ち出しかねない。すると対立は決定的になりますから、そうした言葉が出ないような形でどう治めていくかが今後のポイントだと思います。

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