しゃベルシネマ

学歴社会が学生たちをますます危険な存在にする…

【しゃベルシネマ by 八雲ふみね 第485回】

さぁ、開演のベルが鳴りました。
支配人の八雲ふみねです。
シネマアナリストの八雲ふみねが、観ると誰かにしゃベリたくなるような映画たちをご紹介する「しゃベルシネマ」。

今回は、9月22日公開の『バッド・ジーニアス 危険な天才たち』を掘り起こします。


世界16の国と地域でサプライズ大ヒット! 世界を驚愕させた“カンニング・プロジェクト”


お国が違えば制度も違う大学受験事情。日本はいわゆる、一発勝負という色合いが強く、入学試験に向けて猛勉強した方も多いことでしょう。韓国やインドも、日本と同じような受験システムとして知られています。

一方、欧米では大学に入学することよりも卒業することの方が難しかったり、その先の就職まで視野に入れて専攻を選ばないと大学に行っても徒労に終わる可能性がある…という国も。いずれにせよ、現代における大学受験事情には、国を違わずシビアな現実がつきまとっているのが実情です。


近年、タイでも多くの高校生が大学進学をするようになり、人々は学業成績や大学受験に敏感になってきているとのこと。タイ社会の傾向として、出身大学が給料や昇進に大きな影響を与え、私立大学出身者に比べて国立大学出身者の方が圧倒的に優位なのだとか。それはタイの受験制度が多大に影響しており、タイでは国立大学に合格出来なかった生徒が私立大学に進学する構造になっているからだそう。

そして富裕層の子どもたちは海外に進出する傾向があり、留学先はアメリカ、イギリスなどの英語圏に限らず、中国や日本の大学への進学を希望する生徒も大勢います。


そんなご時世も手伝ってか、タイでは大学受験をテーマにしたとある映画が大ヒットしました。

映画『バッド・ジーニアス 危険な天才たち』は、中国で実際に起きた集団不正入試事件をモチーフに、行き過ぎた受験熱に一石を投じるクライム・エンタテインメント。進学校に特待奨学生として転入した天才的頭脳を持つ女子高生リンが、友人のグレースをテスト中にカンニングで手助けしたことから、テストの回答と引き換えに報酬をもらうという危険な“ビジネス”に手を染める。

そしてそれは学校内にとどまらず、アメリカの大学に留学するために世界各国で行われている大学統一入試STICにおいても、最大のトリックを仕掛けるようになるのです。


手に汗握る展開をみせる28分間におよぶ史上最大のカンニング・シーンは、本作いちばんの見どころ。世界を股にかけたこのカンニング・プロジェクトを、『オーシャンズ』シリーズに見られるような犯罪映画のセオリーに乗せてスタイリッシュかつスリリングに描いており、ナタウット・プーンピリヤ監督の映像センスが光ります。

タイ国内のみならずアジア各地でも大ヒットを記録したその背景には、各国が抱える学歴社会という社会問題が影響していることは否めないでしょう。


バッド・ジーニアス 危険な天才たち
2018年9月22日(土)から新宿武蔵野館ほか全国ロードショー
監督:ナタウット・プーンピリヤ
出演:チュティモン・ジョンジャルーンスックジン、チャーノン・サンティナトーンクン、イッサヤー・ホースワン、ティーラドン・スパパンピンヨー、タネート・ワラークンヌクロ ほか
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公式サイト https://maxam.jp/badgenius/

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