横綱・白鵬 これほどある稀勢の里との“因縁の一番”

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「スポーツアナザーストーリー」は、大相撲秋場所で、初日から負けなしの12連勝を飾った横綱・白鵬と、横綱・稀勢の里との“因縁”にまつわるエピソードを取り上げる。

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白鵬(左)がすくい投げで栃ノ心を下す=2018年9月20日 両国国技館 写真提供:共同通信社

20日の取組で、大関・栃ノ心と対戦した横綱・白鵬。栃ノ心に左上手を許しましたが、その瞬間、右に開いてすくい投げ! 怪力の栃ノ心を土俵に転がし、12戦全勝で単独トップを守ると同時に、幕内通算1,000勝に「あと2」としました。

「(栃ノ心は)手足が長いね。でも上手が深かった分、すぐに対応できた。流れがよかったし、判断もよかったかな」

と上機嫌だった白鵬。一方、1敗で追っていた横綱・鶴竜は、大関・高安に敗れて優勝争いから一歩後退。全勝の白鵬を2敗の鶴竜・高安・豪栄道が追う展開になり、白鵬にとっては、昨年の九州場所以来、5場所ぶりの優勝に一歩前進しました。3度も休場した今年は、まだ1度も優勝しておらず、なんとしても賜杯を手にしたいところですが、今日13日目はいよいよ、横綱・稀勢の里と対戦。

「楽しみだね。明日は特別。頑張ります」

相撲に関してはあまり「楽しみ」ということを言わない白鵬にしては、珍しいセリフも飛び出しました。

白鵬にとって、稀勢の里はなにかと因縁の相手。2010年の九州場所、白鵬が史上2位の63連勝を飾り、双葉山の不滅の記録「69連勝」の更新に向けてひた走っていたとき、連勝を止めたのが、当時平幕の稀勢の里でした。

また、13年の九州場所では、横綱対大関として対戦。お互い闘志がほとばしるあまり、仕切りの際、仁王立ちのまま何度もにらみ合うシーンも。投げの打ち合いから、稀勢の里が上手投げで勝ち、13連勝の白鵬に土を付けましたが、このとき館内から「万歳三唱」が起こったのです。白鵬がそれだけ強かったことの証明でもありますが、悔しさのあまり

「これまで自分が、一人横綱として相撲界に貢献してきたことは何だったのか?」

と師匠の宮城野親方にこぼしたという。

さらに15年の初場所では、両者は13日目に対戦。いったん白鵬に軍配が上がりましたが、物言いが付いて取り直しとなり、白鵬が勝利。この場所は全勝で優勝を決めましたが、場所後の会見で、この稀勢の里戦の「物言い」について

「子供が見ても(白鵬が勝ちだと)わかるような相撲なんでね。なぜ取り直しになったのか?……マゲを結って土俵に上がれば日本の魂なんですよ。みんな同じ人間です」

と審判部を激しく批判。物議を醸しました。

ともかく、久々に誕生した日本人横綱・稀勢の里は、白鵬にとって何かと闘志の燃える相手であることには間違いないですが、実は稀勢の里が横綱になってからは、お互い休場が続いたこともあって対戦がなく、横綱同士としては今回が初対決になります。

前回の対戦は、昨年初場所の千秋楽。前日に初優勝と横綱昇進を決めた稀勢の里が、突き落としで白鵬を破っています。8場所連続休場した名古屋場所前の出稽古で、稀勢の里に胸を貸し「この危機を乗り越えて!」とエールを送った白鵬。この出稽古で稀勢の里は、復活への手応えをつかんだのです。いずれにせよ、稀勢の里の復帰を誰よりも待ちわびていたのが白鵬であることは間違いありません。因縁のライバル対決、注目です!

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