自民党総裁選~「石破氏善戦」はメディアによるイメージ設定によるもの

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(9月21日放送)にジャーナリスト・東海大学教授の末延吉正が出演。自民党総裁選について解説した。

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【政治 自民党総裁選】連続3選を果たし、石破茂元幹事長(左)を手をあげる安倍晋三首相=2018年9月20日午後、東京・永田町の自民党本部 写真提供:産経新聞社

自民党総裁選、党員票では石破氏が45%獲得

昨日行われた自民党総裁選では安倍総理が3選を果たしたが、敗れた石破氏は党員票、地方票で45%を獲得している。

石破)本当にありがたい戦いだったと思います。安倍さんの任期の間、私の政策に対してご理解頂いた方がこれだけおられるわけですから。そのことを反映しながらいい形で次の政権につなげるように努力したいと思っています。1強、1強と言われるなかにあって、決してそうではないということを示したことに大きな意味があったと思います。

飯田)これについてのメールも様々頂いていますが、72歳“浜のカモメよカモメ”さん、「石破さんが45%の地方票を獲った、これは予想外に多かったのではないか」というご意見と、一方でこちらは栃木県の“墓の上”さん「『地方党員票は民意に近い』と、あるテレビで評論家の方が言っていましたが、その根拠が無かったので疑問なのです。民意に近いとしたら、安倍さんは55%と半数以上ではないですか。反安倍の要素を一生懸命抽出していらっしゃるのではないか」という正反対のいろいろな指摘が来ていますが、末延さんはどうご覧になっていますか?

末延)いまのはとても良い指摘で、明日僕が東海大学でやる授業の内容なのですが、ウォルター・リップマンという『世論』を書いたアメリカのジャーナリスト、彼が言っているのが、「人間というのは物を見るときに、見てから定義するのではなく、あらかじめ定義してから見る」。つまり誰かがイメージを設定する。今回のイメージは何かというと、リベラル系の新聞やテレビ、この2年間の「モリカケ」報道。「安倍さんってずるい人なのでは?」という人物像を作り上げてきた。「何となくそうなのかな」という形で作られた空気、その不満の票が石破さんの方に行ったというので、新聞は今日こぞって「善戦、善戦」と書いていますが、国会議員票で見れば6年前に出たとき石破さんは89票取っていた。今回は73票なのです。減っているのですよ。
僕も昨日テレビに出ていて、53票くらいだと思っていたら20票増えていたので、「これは安倍さんショックでしょう」と思わず解説してしまったのだけれど、そのあと夜に取材をして家に帰って考えたら、安倍さんは全体で70%近く取っているのですよ。だから圧勝なのです。

メディアが「安倍=モリカケ」というイメージを設定した「アジェンダ・セッティング」

末延)地方はアベノミクスがあろうが無かろうが、人口減で衰退しているなかで「モリカケ」報道がずっと続いて、何となくお友達だけに親切なのでは、という空気を作ってきた。メディア論で言う「アジェンダ・セッティング」、誰がテーマを設定するのかということなのですよ。「沈黙の螺旋理論」というものがあって、人は少数意見で1人になるのは怖いのですよ。同調圧力が働いて、みんなが「ずるいよね」と毎日言うと「そうかもしれない」と気がつかない間に思っていく。そうしたもやもやが、石破さんという形で出た。新聞は「それ見ろ、石破さんは善戦だ」と。
石破さんの立場から言えば、ほとんど票が出ずに終わってしまうのではという状況に比べれば、何とか生き延びたというところでしょう。新聞やテレビの方も、自分たちがやってきた「アジェンダ・セッティング」で上手く転がったかなと。僕はそういう風に冷めて見ています。

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