デビューから今なお輝き続ける『サザンオールスターズ』の魅力

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第22回 サザンオールスターズ「勝手にシンドバッド」

最近、ますます加熱するアナログ盤ブーム。そしてシングル盤が「ドーナツ盤」でリリースされていた時代=昭和の楽曲に注目する平成世代も増えています。
子供の頃から歌謡曲にどっぷり浸かって育ち、部屋がドーナツ盤で溢れている構成作家・チャッピー加藤(昭和42年生)と、昭和の歌謡曲にインスパイアされた活動で注目のアーティスト・相澤瞬(昭和62年生)が、ターンテーブルでドーナツ盤を聴きながら、昭和の歌謡曲の妖しい魅力について語り合います。

デビューから今なお輝き続ける『サザンオールスターズ』の魅力

チャ:さあ、イベントまであとわずか! 9月23日は神田へGO!……こんにちは、チャッピー加藤です。

相澤:僕もイベントに向けて、気合、入りまくってます!……こんにちは、相澤瞬です!

チャ:くどいようですが、もうワンプッシュしときますか。

デビューから今なお輝き続ける『サザンオールスターズ』の魅力
チャ:ゲストも交えたドーナツ盤トークはもちろん、瞬くん&タカハシヒョウリさんのアコースティックライブもありますんで、みんな来てねん!……あらためて瞬くんからも、ひとこと抱負をどうぞ!

相澤:この「ドーナツ盤万博」がニッポン放送さんのレギュラー番組になるか、イベントが日本武道館までいけるか、まずはこの日にかかっております!(笑) 皆さまぜひお誘い合わせの上、遊びにいらしてくださいね〜! 座席数に限りあります!

チャ:武道館とは大きく出たね!(笑) イベントの模様は、この連載でもお伝えしていきますのでお楽しみに! きょうはオレも気合を入れて、再びニッポン放送のスタジオを押さえちゃったよ!

相澤:ありがとうございます!……ついに音声版も収録ですね!?

チャ:そのつもりだったんだけど、また収録スタッフを確保できなくて、申し訳ない!

相澤:えーーーーー!……てことは、また文字だけですか!?(笑)

チャ:そうなのよ。スタジオでやる意味が全然ないんだけど、今回も「なんちゃって放送」ということで、ひとつよろしく!

相澤:そのムダが最高! 今日も気合入れていきましょう!(笑)

チャ:音声版は、イベントでね……。(さりげなく宣伝)

デビューから今なお輝き続ける『サザンオールスターズ』の魅力


■衝撃的だった「桑田唱法」

チャ:で、今回だけど、前回取り上げた『そんなヒロシに騙されて』からの流れで、このバンドです!

デビューから今なお輝き続ける『サザンオールスターズ』の魅力
チャ: 1978年6月25日発売、サザンオールスターズのデビュー曲『勝手にシンドバッド』。早いなー、もう40年か……。

相澤:チャッピーさんはこの曲、リアルタイムですよね?

チャ:そう、小学6年生だったけど、衝撃だったよー。だってナニ言ってるか聴きとれないんだもん、日本語の曲なのに(笑)。

相澤:桑田さんの歌い方って、たしかに初めて聴くと衝撃的ですよね。

チャ:そうなのよ。いまだにあの衝撃は忘れられないなー。……さっそく聴いてみよう。

(♪ターンテーブルに乗せて演奏)

チャ:オレ、冒頭の「♪ラララーラララ ラララー」のあとの、桑田さんの歌い出しが、いきなり聴き取れなくてさぁ。しかも、歌詞見ても意味わかんなくて(笑)。2重に衝撃を受けたよ。

相澤:桑田さんみたいな歌い方をする人って、当時、他にいなかったんですか?

チャ:英語っぽく日本語を歌う人はいたけど、桑田さんの歌い方ってそれとも違うんだよ。歌詞の意味を伝えることよりも、いかにして歌詞を曲のリズムと一体化させるかって、そっち重視なんだよね。だから構やしないんだよ、聴き取れなくても(笑)。

相澤:ああ、だから耳に残るんですね。

チャ:瞬くんにとって、自分が生まれる10年前から活動してるサザンはどんな存在なの?

相澤:サザンって、僕が物心ついたときから国民的バンドでしたし、いまもずっと現役で活動してますから、僕の中では「B’z・ミスチル」と同じ存在なんですよ。

チャ:あ、そうか! 後から聴いた瞬くんのなかでは、78年デビューのサザンも、88年デビューのB’zも、92年デビューのミスチルも「すでにあったもの」でぜんぶ並列なんだー。なるほど、面白いなー。

相澤:そうなんですよ。だから、「サザンのドーナツ盤」があることになんか違和感がありますね。サザンは現役バリバリのバンドであって「昭和の歌謡曲」というイメージが、そもそも僕の中にないので。「TSUNAMI」とかの世代です。

チャ: あー、そうかー。逆にオレは、サザンが普通に歌番組に出てたのを見てるから、「サザンも歌謡曲」、いや、「サザンこそ歌謡曲」なんだよね。これはどこから見るかの違いであって、どっちも正しいんだよな。

相澤:サザンが出てきたときって、世間の人たちはどういう受け取り方をしたんですか?

チャ:ドリフの『全員集合!』みたいなバラエティにも出てたし、オレも最初は「なんか騒がしいコミックバンドが出てきたなー」って思ってたんだけど、世間もデビュー当時は、明らかに色物系の扱いをしてたよね。

相澤:78年って、歌謡曲全盛時代の真っ只中ですよね?

チャ:そう。だからこの『勝手にシンドバッド』ってタイトルもね、リアルタイムで聴いてた方には蛇足だけど、ジュリーの『勝手にしやがれ』+ピンク・レディーの『渚のシンドバッド』なわけよ。どっちも当時の大ヒット曲ね。

相澤:そこから来ているんですね!

チャ:しかも、どっちも阿久悠さんの作詞ですよ。デビュー曲でいきなり大御所を挑発(?)したとこが、なんかサザンらしいよね。

相澤:それ、怒られなかったんですか?

チャ:幸い、ピンク・レディーはサザンと同じビクター所属だったんで、レコード会社の担当ディレクターを通じて、阿久さんに仁義を切ったら「いいんじゃないか」って快諾してくれたんだって。

相澤:さすが阿久さん、ふところが広い!素晴らしいです!

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■ドメスティックに40年

チャ:あと、40年経ってみて、あらためてサザンって凄いなー、と思うのはですね……。

相澤:何でしょう?

チャ:あれだけビッグな存在になったのに、海外進出とか言わず、日本でドメスティックに活動してるとこですよ。

相澤:あ、言われてみればそうですね。世界に出て行っても全然不思議じゃないのに!

チャ:ロスで海外録音をやってみたり、出て行こうとしたことはあるんだけど「なんか違うな」と感じたんじゃないかなー。だったら、日本で自分たちの目指す音楽を、とことん追求していったほうがいい。別にメジャーリーグに行かなくても、日本のプロ野球だって、野球は究められる、ってことじゃない?

相澤:あ、それ、なんかわかります。桑田さんの書く曲って、すごく日本人の琴線に触れる曲が多いですよね。

チャ:それってね、桑田さんの音楽のベースに「歌謡曲」があるからだと思うのよ。桑田さんってあらゆる音楽を聴いてるけど、それを自分の中に落とし込むときに、そのフィルターを通すから自然と「歌謡化」するんだよね。つまり、日本人好みになるわけ。

相澤:桑田さんはたぶん、そういう自分の特性も理解した上で、ドメスティックに徹したんだと思います。あと、僕がすごいなと思うのは、サザンってエンタメ性がめちゃくちゃ高いですけど、ちゃんと業界のイロハには沿ってるような気がします。

チャ:ほうほう。それは面白い見方だねー。

相澤:ちゃんとここで売り上げを確保しましょう、とか、海外に出て行かなくても、国内で売っていきましょうって、チーム内で落とし込んで、それで40年間回ってるって、すごいことだと思います。みんなが幸せになれるというか。

チャ:そうだよね、いっとき低迷もしたこともあったけれど、また盛り返して40年ずっと第一線にいるって、本当にすごいことだし、ギターの大森さんが辞めた以外は、デビューから40年間メンバーが代わってないのもすごいよなー。

相澤:やっぱりそれは、桑田さんが「このチームじゃなければ」って思ってるからですよ。

チャ:そうだねー。実は去年、ビクターでサザンの初代ディレクターだった高垣健さんにお話を伺う機会があったんだけど、サザンって、レコーディングのときは、いつも合議制なんだって。

相澤:あ、やっぱりそうなんですか。

チャ:桑田さんが曲書いてきて、「さあ、これ演奏して」じゃなくて、「こんなの書いたんだけど、どう思う?」って、必ずメンバーに意見を聞くんだって。で、それはきちんと曲に反映されるから、サザンって決してワンマンバンドじゃないんだよ。

相澤:すごく頷けます。そういうフラットなところも、長く続いてる理由ですよね。

チャ:普通、仲違いとかあるよね(笑)。でも、節目節目でバンド休養期間を設けてるし、その間、桑田さんはKUWATA BAND作ったりとか、適当にガス抜きをしてるのも続いてる理由なんだろうなー。
……ああ、時間が足らない。サザンについて、来週も語り合わない?

相澤:了解です! 僕、ぜひ聴きたい曲があるんで!

……次回は、「サザンオールスターズのシングル曲」について、二人があれこれ語ります!お楽しみに!

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▼チャッピー&瞬コンビが、イベントやります!▼
9月23日(日) 神田 音STAGE
◆チャッピー加藤×相澤瞬の
それゆけ!“リアル”ドーナツ盤万博
「ドキッ!昭和を彩った男性アイドルスペシャル
~沢田研二・郷ひろみ・光GENJI~」

OPEN 18:30 / START 19:00
前売 ¥2,500 (1D別) / 当日 ¥2,800 (1D別)
出演/
チャッピー加藤 (放送作家)
相澤瞬 (プラグラムハッチ、ニュー昭和万博)
タカハシヒョウリ (オワリカラ、科楽特奏隊)

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【チャッピー加藤/Chappy Kato】
デビューから今なお輝き続ける『サザンオールスターズ』の魅力
昭和42年(1967)生まれ。名古屋市出身。歌謡曲をこよなく愛する構成作家。好きな曲を発売当時のドーナツ盤で聴こうとコツコツ買い集めているうちに、いつの間にか部屋が中古レコード店状態に。みんなにも聴いてもらおうと、本業のかたわら、ターンテーブル片手に出張。歌謡DJ活動にも勤しむ。
好きなものは、ドラゴンズ、バカ映画、プリン、つけ麺、キジトラ猫。

【相澤瞬/Shun Aizawa】
デビューから今なお輝き続ける『サザンオールスターズ』の魅力
昭和62年(1987)生まれ。千葉県出身。懐かしさと新しさを兼ね備えた中毒性のある楽曲を、類い稀なる唄声で届けるシンガーソングライター。どこまでもポップなソロ活動、ニューウェーヴな歌謡曲を奏でる「プラグラムハッチ」、 昭和歌謡曲のカバーバンド「ニュー昭和万博」など幅広く活動。
好きなものは、昭和歌謡、特撮、温泉、うどん、ポメラニアン。

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