飯田浩司が自ら体験したイスラエル・ベングリオン空港のセキュリティーチェック

先週火曜日、ベルギーの首都ブリュッセルで空港と地下鉄を狙った同時爆発テロが起こりました。
これを書いている28日の最新の情報で35人が死亡、300人以上が負傷。邦人にも負傷者が出てしまいました。

『ベルギー同時テロまとめ…市民らが犠牲者追悼』(読売新聞)

セキュリティチェックがあり、比較的安全だと言われていた空港でのテロがいとも簡単に行われたことは全世界に衝撃を与えました。
また、保安検査場の手前のフリーゾーンでのテロだったので、識者の中には手の打ちようがないといった声まであります。
しかし、対策の打ちようがないと萎縮し、航空機の利用を躊躇してしまえば、それこそテロリストの思うつぼ。
我々が考えるべきは、保安検査場の手前も含めてどう安全を確保していくのか、その方法なのではないでしょうか?

そこで参考になるのが、イスラエル。
先日、イスラエル旅行でテルアビブ空港を使いましたので、いち利用者の視点ですがどういった警備を行っているのかを紹介したいと思います。

まず、空港でひっきりなしに流れるアナウンス。
行きの飛行機が早く着いたので、街が動き出すまで空港の到着ロビーで仮眠をとっていたんですが、その際に2つのことが5分に一度はアナウンスされていました。

一つが、「空港内への武器の持ち込みは禁止されています」
そしてもう一つが、「荷物は常に自分の近くに」というものでした。
実際、掲示板を見に少し荷物を離れた人が警備員に厳しく注意されていました。
持ち主不明の荷物は爆弾テロの恐れありとみなされるということです。

事ほど左様に世界一厳しいチェックがあると言われているテルアビブ空港。
それゆえ、出発の3時間前には空港に到着することを推奨されています。
私の帰国便は朝6時過ぎに出発予定でしたから、朝の3時前には空港に到着しました。

すると、保安検査場のはるか前、空港ターミナルビルに入る自動ドアの前で早くも一つ目の関門がありました。
自動ドアの前に空港の係員が立っていて、通る人にランダムに声を掛けています。
アジア系は珍しいらしく、目があったとたんに「グッドモーニング!」と呼び止められました。
そこからパスポートを出すように言われ、矢継ぎ早に質問されます。

「この荷物は本当に君のものか?」
「いつ、どこでパッキングして、その後開けていないか?」
「どうやって空港まで来たのか?」
「誰かに運ぶことを頼まれた荷物はないか?」
「イスラエルのどこに行った?どこに滞在した?」
「イスラエル内に知り合いはいないか?」などなど…。
朝3時でも人がいるわけで、24時間体制で警備が行われているようです。

この関門を越えてようやく空港ビルの中に入ることができます。
普通の空港ならチェックインカウンターに一直線ですが、ここにも関門が。
チェックインカウンターの手前に長蛇の列が出来ていて、その先に係員が一人一人に質問しています。

ちなみに、最近はネット上でチェックインし、なおかつ預ける荷物がなければ直接保安検査場に向かうことが出来る空港が大半ですが、テルアビブ空港はそんなショートカットを許しません。
ためしにウェブチェックインをしてみたんですが、最後に航空券を印刷する画面に行くと「イスラエル線は航空券を印刷できません。チェックインカウンターへお越しください」という案内画面へと遷移しました。

さて、チェックインカウンター前の関門ですが、ここでもパスポートを見せ、荷物についても自動ドア前と同じ質問が繰り返されます。
「この荷物は本当に君のものか?」
「いつ、どこでパッキングして、その後開けていないか?」
「どうやって空港まで来たのか?」
「誰かに運ぶことを頼まれた荷物はないか?」
「イスラエルのどこに行った?」「どこに滞在した?」
「イスラエル内に知り合いはいないか?」
そうして質問をしながら、パラパラパラパラとパスポートの査証欄をずっとめくっています。
たまたま私は更新直後でまっさらなパスポートだったのでさして質問されずに済んだんですが、たとえばイスラム圏のスタンプがあるといろいろと聞かれるようです。

そして、ようやくチェックインカウンターへ。
日本も含め普通の空港では直接行けるチェックインカウンターまで、すでに2つのチェックポイントがあるわけです。
ここまでですでに1時間弱。
それも、朝3時台ですからまだ比較的客の数が少ない時間帯でもこれですから、ラッシュではもっと時間がかかるでしょう。
3時間前に空港に着くことが推奨されるのもわかるというものです。

さて、チェックインカウンターでも軽くいくつかの質問をこなしてようやく航空券が発券されるんですが、ここからが本番。
保安検査場では手荷物に関して徹底的に検査されます。
電子機器はすべて荷物から出してX線検査器へ。
金属探知機はベルトや腕時計、靴のちょっとしたバックルですら反応する高感度。
さらに、ハンディの金属探知機で持ち物の一つ一つを詳細にチェックしていきます。
もちろん、ここでも「これは何だ?」「あれは何だ?」という質問付き。
答えられなければ当然怪しまれます。

そして最後にパスポートコントロール。
ここは拍子抜けというか、さすがIT大国という感じでした。
ここでも沢山の質問に答えなくてはならないと聞いていたんですが、証明写真を撮るようなカメラで顔認証をされて、入国の時と照合が出来れば通過OK。
他のチェックポイントもこれでやってよと思ったわけですが、しばらくして思い直しました。
これだけ手をかけて沢山の関門を作ることで抑止力にもなっているんですね。

都合5つの関門を乗り越えて、ようやく搭乗口にたどり着くというベングリオン空港のセキュリティチェック。
安全というものを究極的に追求するとこうなるのかと感心しました。
利用客も、こうしたチェックを当たり前のものとして受け入れているのでさしたる混乱もないように見えましたね。
日本の空港にすべてを取り入れたら大変な混乱になるでしょうが、特に保安検査場前の2つのチェックは有効なのではないでしょうか?

せめて、サミットが終わるまではこうした目に見える警戒が抑止力になると思うのです。
「特別警戒実施中」という看板だけ出して終わりのように見える現状と、どちらが安全か?
ブリュッセルのテロは利便性と安全のバランスを考える機会と捉えるべきだと思います。

イイダコウジそこまで言うか!ブログ より