中日・松坂 相次ぐ“松坂世代”の引退に思うこと

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「スポーツアナザーストーリー」は、9月13日の「阪神対中日戦」(甲子園球場)でバースデー勝利を挙げた、中日ドラゴンズ・松坂大輔投手のエピソードを取り上げる。

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【プロ野球阪神対中日】1回、登板する中日先発の松坂大輔=2018年9月13日甲子園球場 写真提供:産経新聞社

昨日、西武時代の2006年、阪神とのセ・パ交流戦で登板して以来、12年ぶりに公式戦で甲子園のマウンドに立った松坂。実はこの日が、38歳のバースデーでもありました。

2回、最初の打席が回ってきた松坂に、レフトスタンドの中日応援団とファンが粋なプレゼントを贈りました。「ハッピー・バースデー・トゥ・ユー」を演奏、全員で合唱したのです。これには、阪神ファンも一緒に拍手。割れんばかりの拍手が甲子園を包みました。

「誕生日に甲子園で投げるのは、20年ぶりです」

と言う松坂。横浜高校の3年生だった18歳のバースデーは、高校日本代表のエースとして「アジア野球選手権」の決勝に登板し、完投で日本を優勝に導きました。

思えば、「怪物・松坂伝説」が始まったのも甲子園でした。1998年、夏の甲子園でPL学園と延長17回の死闘を演じ、決勝ではノーヒットノーランで春夏連覇を達成。あれから、ちょうど20年……。

夏の甲子園2回戦で投げ合った鹿児島実業高校・杉内俊哉(巨人)、横浜高校のチームメイトとして共に戦った盟友・後藤武敏(DeNA)、そして春のセンバツで投げ合い、打席でも対決した東福岡のエース兼3番打者・村田修一(独立リーグ・栃木)……「松坂世代」と呼ばれた同学年の選手たちが、ここ数日、相次いで今季限りでユニフォームを脱ぐと表明したことは、松坂にとって寂しい出来事でした。

「彼らの分も心を込めて、『僕はもう少し頑張るよ』と、決意表明みたいなものにしたかった」

と試合後に語った松坂。春夏連覇達成時にはまだ生まれていなかった19歳年下の阪神先発・才木(19)との投げ合いになりました。

初回は3者凡退と上々の立ち上がりでしたが、4回に1点を失い、5回も連打で2アウト2、3塁のピンチを招きました。しかし、当たっている大山をスライダーで空振り三振に仕留め、マウンドでガッツポーズ、雄叫びを上げた松坂。

「いいピッチング、いいボールも見せられたと思う。甲子園が力をくれたのかな」

5回を5安打1失点で切り抜け、今シーズン6勝目、日米通算170勝目を挙げたのです。

これで中日は最下位を脱出し、5位に浮上。3位の巨人に3ゲーム差と迫り、大逆転でのCS進出も、決して夢ではなくなってきました。

「チームとしても、まだあきらめていないゲーム差。最後までCSにつなげられるようにがんばりたい」

そう語った松坂。杉内と電話で話したときに「あと5年は投げてくれ」と言われたそうで、現役続行を宣言した「怪物・松坂」の伝説は、まだまだしばらく続きそうです。

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