しゃベルシネマ

自殺志願者と向き合う僧侶 生きる意味を問いかけるドキュメンタリー

【しゃベルシネマ by 八雲ふみね 第477回】

さぁ、開演のベルが鳴りました。
支配人の八雲ふみねです。
シネマアナリストの八雲ふみねが、観ると誰かにしゃベリたくなるような映画たちをご紹介する「しゃベルシネマ」。

今回は、9月8日から公開の『いのちの深呼吸』を掘り起こします。


自殺志願者と向き合う僧侶のドキュメンタリー


現代の日本において、自殺はもっとも深刻な社会問題のひとつ。日本における自殺死亡率は主要先進7カ国の中でももっとも高く、統計によると、2017年の自殺者数は2万1,321人。30分に1人が自殺していると言われています。

また約4人に1人が「本気で自殺を考えたことがある」という驚きの統計結果も出ており、悲しきかな、これが“自殺大国ニッポン”の現状であることは事実です。


いじめ、リストラ、ひきこもり、貧困、介護…。自殺はいまや若者たちの死因1位となり、SNSには「死にたい」「もうダメ」といった言葉が氾濫している、私たちの国ニッポン。何故、現代人はそんなに死に急ぐのでしょうか。そんな自殺志願者たちと日々向き合い、彼らに寄り添い続けるひとりの僧侶がいます。


岐阜県関市にある大禅寺の住職で、自殺防止活動家の根本一徹さん。一般のサラリーマン家庭で育った根本さんは、24歳の時に大きなバイク事故で生死をさまよった経験や身近な人物の自殺を通し、生きる意味とは何かを考え、仏門へ。以降、自殺防止活動に取り組んでおり、多くの自殺志願者の相談役として日々動き回っています。

そんな彼の日常をエミー賞受賞監督でアメリカ人のラナ・ウィルソンが追いかけ、1本のドキュメンタリー映画が完成しました。


根本さんの元には、全国各地からインターネットや携帯を通じて、救いを求めるSOSが届きます。死の瀬戸際で喘ぐ相談者たちの“心の声”に耳を傾け、時には友人のように食事を共にし、ただ寄り添う根本さん。

決して特別なことはしないけれど、根本さんの存在に安堵した相談者たちが、まるで“いのちの深呼吸”をするかのように、少しずつ生気を取り戻していく様子が映し出されています。

そしてまた根本さん自身も、彼らとの交流を通じて“生きることの意味”を自らに問いかけている姿が浮き彫りとなっています。ラナ・ウィルソン監督はニッポンが抱える“魂の叫び”を、人間が人間らしく生きるための“希望の物語”として昇華させました。人生の意味について、いま一度じっくりと考えてみませんか?


いのちの深呼吸
2018年9月8日(土)からポレポレ東中野にて公開
登場人物:根本一徹
監督・製作:ラナ・ウィルソン
挿入曲:クリスチャン・フェネス+坂本龍一、他
推薦:厚生労働省
後援:一般社団法人日本自殺予防学会、公益財団法人 仏教伝道協会、NPO法人 自殺防止ネットワーク 風
©DRIFTING CLOUD PRODUCTIONS, LLC 2017
公式サイト http://いのちの深呼吸.com/

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