中国がアフリカに600億ドルの金融支援~その裏にあるただならぬ理由

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ニッポン放送「飯田浩司の OK! Cozy up!」(9月4日放送)にジャーナリストの有本香が出演。中国がアフリカに600億ドルの金融支援を行うことに関して解説した。

中国アフリカ協力フォーラム

中国の習近平国家主席は昨日、北京で開幕した中国アフリカ協力フォーラムで演説を行い、アフリカに600億ドル、日本円にしておよそ6兆6,000億円もの金融支援を行うと表明した。

飯田)この中国アフリカ協力フォーラム、中国と関係の深いアフリカとの、経済連携の拡大を目的にするというものです。日本はアフリカ諸国とTICAD(アフリカ開発会議)というのをやっています。ある意味、これに向こうを張るような形で作ったのですか?

有本)そうですね。そして今回の金額、巨額ですけれども、6兆6,000億円というのは日本がTICADで表明した額、300億ドルと比べると、額面では倍です。

飯田)額面では、というところがポイントですね。

有本)要するに中身はどうなのか。中国の場合よくある話ですが、額面はすごい額を挙げるけれども、実際にそれは履行されないとか、あるいは後ろにいろいろな条件がついているとか、そういうケースがありますよね。アフリカ諸国にしてみれば、もちろん経済援助をしてくれるのはありがたいけれど、それに伴うものを恐れるということもあるでしょう。中国側がアフリカをどう捉えているかと言いますと、2000年代に入って中国がアフリカにどんどん進出している、あるいは経済援助を梃にアフリカ側から資源を有利な形で買うというようなことを随分報道されましたが、アフリカへの中国の進出というのは1970年代からやっていることです。毛沢東時代からです。

飯田)文化革命のときからやっている。

有本)そうです。文革時代ですから、言ってみれば、自国内の国民食うや食わずだったときですよ。すごい権力闘争を繰り広げていた時代に、既にタンザン鉄道という、タンザニアとザンビアの間に銅を運ぶ鉄道を開通させたもの、あれは中国が全面的にバックアップして作ったはずです。

飯田)そうなのですか。

中国がアフリカとの関係を深める2つの理由

有本)中国がアフリカを抱き込みに行くということは、ずっとやり続けていることです。それが最近になって額が巨額になり、存在感を増している。ただしアフリカ側にしてみれば、中国から経済援助を貰うと、一緒に中国の労働者なども流入してくる、ということです。あともう1つ、どうして中国がアフリカに力を入れるかというと、政治的意義が大きくあります。近年でも、中国が大きく援助を決めたアフリカ諸国のなかで、台湾と国交のあった国が、中国と国交するから台湾とは断交する、という風にひっくり返った国が数カ国あるはずです。そしてもう1つは、日本とアメリカが進めようとしている国連改革、このカウンターとして中国側はアフリカとの連携を強めています。

飯田)1国1票ですものね。

有本)50ヵ国以上ありますからね。193ある国の内、50の国ですから大票田です。そうすると、ここを抑えるということは非常に意味があるわけですよ。資源外交という側面、それから国際政治の上でもアフリカとの連携というのを、中国は伝統的に重視してきたということです。日本も益々連携を強めていくべきだと思うし、以前この番組で、TICADを最初の頃に立ち上げたムルアカさんからも話を伺いましたが、やはり中国からの援助のいろいろな問題点についてはアフリカ側も十分わかっているようです。だからもっと日本にアフリカを理解して出てきて欲しいんだということを仰っていました。日本もアフリカのことも見ないといけないです。常に周辺諸国のことだけで目を奪われているのは、良くないですね。

飯田)外交はアメリカ、韓国、中国、ロシアだけではないということですね。

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