本日8月11日は伝説の“ゴーゴーガール”小山ルミの誕生日。 【大人のMusic Calendar】

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さすらいのギター

本日8月11日は、小山ルミの誕生日。ビートルズの歌ではないけど、あのゴーゴーガールも今日で64歳である。

歌手としては71年リリースされた6枚目のシングル「さすらいのギター」の大ヒットで記憶されているが、近年評価が高いのが歌手デビュー前〜歌手活動初期に至る「ビート・ガール」としての姿だ。生い立ちそのものがアイルランド人と日本人のハーフ。混血の者にカッコよさを感じるというGS時代の風潮にまさにピッタリはまった女の子だった。芸能界入りして初期、67年前後の仕事の中では、フジテレビ「ビートポップス」で洋楽の最新レコードが紹介される中、グルーヴィに踊りまくる少女達の中の一人という役割が最も知られているが、生憎当時の映像記録がほとんど残っていないため、後追いの若いファン達はその姿を妄想するしかないのである。
そんな不満を多少解消してくれるのが、GS〜アングラレコードのブームの徒花として制作された「ケメ子の唄」(松竹)や、牧伸二・なべおさみ以下当時の名コメディアンをずらっと揃えた「悪党社員遊侠伝」(同)といった映画に残された彼女の姿。さらにカルトな仕事としては、プリマハムの新商品のイメージソングとして制作されながら、その後カルト歌謡の金字塔的存在に祀りあげられた海道はじめ「スナッキーで踊ろう」のプロモーション用に結成された女子3人組、スナッキーガールズの一員があげられる。脇を固めるのは、後にアイドル女優として大ブレイクした吉沢京子、そしてもう一人は風吹ジュンという説が長年囁かれていたが(奇しくも3人共テイチク=ユニオンレーベルの所属という共通項があり、80年代廃盤ブームの頃はこの3人を抱き合わせたコンピアルバムもリリースされていた)、ジュン本人により否定され、実際は羽太幸得子というこれまたモデル修業中のローティーンガールだったことが判明している。

これらの仕事をこなした68年、まさにビートガールとして脂が乗ってきたその年の7月、ビクターから初のレコードがリリースされる。A面「はじめてのデート」は、60年代中期のフレンチポップスを彷彿させる甘酸っぱい楽曲で、当時のトレンドより相当後退した雰囲気だが、現在ではB面である「わたしの祈り」の方の評価が高い。本格的GS歌謡とは言い難いが、作曲者・曽根幸明のジャジーな側面を垣間見れるダンサブルな一曲だ。前述した「悪党社員遊侠伝」には、この曲を歌い踊る彼女のシーンが残されており、GS期ビートガールの幻を追い求めるファンにとっては感涙の一瞬となっている。

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あなたに負けたの/魔法使いのあなた

70年にはテイチク=ユニオンレーベルに移り、本格的に歌手活動をスタート。なかなかヒットに恵まれなかったが、この初期にこそルミの真骨頂が残されている。再デビュー曲「ひとりぼっちのレモンティー」は、70年特有の退廃ムードを湛えたアダルティーな楽曲ながら、「はじめてのデート」に比べると格段に進歩した歌唱力が記録されている。凄いのが続く「あなたに負けたの」だ。独裁者のポートレートを背後に従え(これは今やると炎上ものだろう)、露出度高めで挑発してみせるジャケット(ちょうどバストの辺りで半分に折られているのも思わせぶり)がまず強烈だが、針を落として突如始まるピアノのリフに導かれ、曲全体がセクシーに煽りまくるグルーヴ歌謡の逸品。最近も7インチシングルで復刻され、発売当時からは想像できない高い人気を得ている。さらに続く「グット,,がまんして!!」はコミカルな面も強調しつつ、よりダンサブルなリズムで乗れる名曲。ほぼ同時期に女子3人組・グルーパーがシングルのB面で発表した「帰ろうかな」はこの曲と異名同曲で、こちらの評価も近年高まっているが、今のところCD化されていない。

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グット,,がまんして!!/アイ・ラヴ・ユー・ラヴ

続いてクニ河内提供による「幸せすぎない幸せが好きよ」でアンニュイな面を見せ、いよいよ71年6月「さすらいのギター」が登場。元々ロシア軍の鎮魂歌として作られたメロディーをエレキインストにアレンジし、63年にヒットさせたのがフィンランドのバンド、ザ・サウンズで、その後エレキ界ではスタンダードの一つとなっている。この時期、渚ゆう子「京都の恋」のヒットにより再び歌謡界と密接な関係を築き始めたベンチャーズが録音したことに触発され、ルミのカヴァーが生まれたと思われる。更に徳間のハーベストレーベルからは入江ゆみのヴァージョンが出ているが、オリコン11位に達し大ヒットしたルミ版に比べると惨敗に終わっている。ベンチャーズ歌謡としてはさらに欧陽菲菲「雨の御堂筋」が同年9月に登場し大ヒット。さらにロシア民謡を題材にした仲雅美「ポーリュシカ・ポーレ」も8月にリリースされこれも大ヒットしており、ルミチームの選球眼はある意味鋭かったと言える。

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幸せすぎない幸せがすきよ/恋人の記念日

この後、エレキリバイバル歌謡第2弾「二つのギター」(元々は63年に同じくフィンランドのザ・フィーネイズが、ロシア民謡に題材を得て発表した曲)を発表、こちらは44位に留まっている。更に女性版尾崎紀世彦とでも形容したいダイナミックな楽曲、72年以降トレンディになったアクショングラマー路線を意識した楽曲、そして再度カバーポッブス時代の名曲のリメイクと、安定したリリースが続いたが、結局3度目以降のチャート入りは果たせず、ラストシングル「わたしはお人形」発売間もない74年に修行のため渡米、そのまま現地で結婚し、アイドル世代交代の波を遠目にあっさり芸能界を去っている。

【執筆者】丸芽志悟

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