国務長官の訪朝中止~トランプ大統領の北朝鮮への態度はどう変わるのか

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ニッポン放送「須田慎一郎のOK! Cozy up!」(8月27日放送)にジャーナリストの須田慎一郎が出演。アメリカのポンペオ国務長官が訪朝中止を発表した話を題材に、今後の米朝関係の動きについて解説した。

北の非核化は進んでいないとアメリカが初めて認める

アメリカのトランプ大統領は週末、北朝鮮の非核化が進展していないことを初めて公式で認め、ポンペオ国務長官の北朝鮮訪問中止を明らかにした。今回の訪朝予定は今月23日に発表され、その翌日に中止が決まる異例の事態。これにより日米韓の外相会談も見送りとなっている。

須田)今回のポンペオ国務長官の訪問中止は、かなり重い決定だと思います。これまで米朝の交渉は、CIA長官だったポンペオさんがずっと進めていた話です。そのポンペオさんが今回、北朝鮮訪問を中止しました。これに対してトランプ大統領が指示したということは、場合によっては新たな局面を迎えつつあるのではないかと。これまでの米朝の融和的ムードから今度は局面が変わり、場合によっては相当アメリカが北朝鮮に対して強く出るような状況になりかねないということです。
そもそもで考えていくと、11月のアメリカ中間選挙です。そこを目指して何か成果を出そうということで、トランプ大統領が前のめりで今回の交渉を進めてきた経緯があります。しかし、結果的に何も成果が出てこないとなると、過去にアメリカは核交渉に関して5回北朝鮮に騙されているわけです。「6回目じゃないのか!」という状況になりつつある。国内世論がそう受け止めつつあると、トランプさんにとって中間選挙は厳しいものになる。ここは政治的判断として強行策に打って出る可能性が高いのではないかなと思います。

トランプ大統領の交渉術から推測される今後の米朝関係

須田)トランプさんの交渉術についてですが、まず、相手と最初は仲良くやるのです。「信用しているから、これから上手くやっていこう」という風に進めていきます。そして、途中でちゃぶ台返しをするのです。「私はお前に騙された!」というように。そこで激しくやり取りする方法をよくやってきた人です。ですから、私は当初から北朝鮮に対しても、そういうやり方をしてくるのではないかな、と感じていました。いよいよその局面がやってきたのだと思います。

新行)Twitterなどでは、「金正恩氏はよくやっている」というツイートもありましたが、そこまでは融和的なムードで、ここから切り替えていく感じですか?

須田)盛り上げ続け、いちばん高くしたところで、一気にちゃぶ台返しをしてストンと落ちてくるような。そういう交渉術をよく利用する人なのです。
だから、場合によっては北朝鮮に対してもそういうスタンスで望む可能性が高いのではないかと思います。

米中の貿易問題が対北の重要なカードとして関わっている

須田)ですが、「朝鮮半島の非核化」は、政治的な遺産としてはものすごく大きな物になります。そこを諦めているわけではないし、欲しくないわけではない。トランプさんとしては、そのカードとして中国を利用しています。中国に対して、いま貿易問題で相当強硬的に出ていますよね。もはや「米中貿易戦争」と呼んでも過言ではない。中国側は慌てて、自国が譲歩する形で米中首脳会談へ持ってきている。その交渉条件として、「北朝鮮に対してもっとプレッシャーをかける」という条件が出てくる可能性が、水面下ですが出ているようです。中国側から北朝鮮に対するプレッシャーというのも今後予想されると思います。

新行)訪朝中止の理由に「中国が非協力的だから」と不満を出している、という報道もありますね。

須田)その点で言うと、北朝鮮問題は米中の貿易問題と絡む可能性も高いのではないかと。ただ、これは外交交渉としては禁じ手なのです。貿易問題と北朝鮮問題は別でやっていくべきものを、まったく次元の違う話を組み合わせてくる。これは中国側にとっても相当戸惑いがある。禁じ手ではありますが、アメリカ側としては、非常に上手い方法を考えついたなとも思います。

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