しゃベルシネマ

中国人は日本のミステリー小説がお好き?!

【しゃベルシネマ by 八雲ふみね 第469回】

さぁ、開演のベルが鳴りました。
支配人の八雲ふみねです。
シネマアナリストの八雲ふみねが、観ると誰かにしゃベリたくなるような映画たちをご紹介する「しゃベルシネマ」。

今回は、8月25日から公開の『夏、19歳の肖像』を掘り起こします。


島田荘司の名作青春ミステリーを実写化した中国映画


大学の夏休みにバイク事故を起こし、骨折してしまった19歳のカン・チャオは、退屈な入院生活を送っていたある日、病室の窓から見える邸宅の二階に佇む女性に一目惚れ。それ以来、望遠鏡で彼女の姿を観察するようになる。

そんなある日、カンは彼女が男性と口論の末、相手の男性を刃物で刺そうする姿を目撃する。事件の真相を確かめようと、カンは女性に近づくが…。


人気アイドルグループEXOの元メンバー、ファン・ズータオ主演の中国映画『夏、19歳の肖像』。このタイトルを聞いてピンときた人は、かなりのミステリー小説好きではないでしょうか。

そう、本作の原作となったのは、幅広いジャンルの作品で多くのファンを魅了し続けるミステリー界の巨匠・島田荘司による同名青春ミステリー。実はいま中国では、空前の日本のミステリー小説ブームが到来。その影響で、ミステリー小説の映画化が潮流となっています。


数年前に東野圭吾の作品が翻訳されるやいなや、日本のミステリー小説が大ブームとなった中国。その後も日本の著名な推理作家の作品が次々と翻訳され、若い世代を中心に愛読されています。なんでも、日本の推理小説には斬新な推理ロジックやトリックがふんだんに盛り込まれていて、それがとても新鮮で面白いのだとか。

中国の映画界においてもそのブームに乗って、『空海−KU-KAI−美しき王妃の謎』や『ナミヤ雑貨店の奇蹟』、『マンハント』など、日本の原作小説を次々と映画化。そのブームの先駆けとして制作されたのが、本作『夏、19歳の肖像』なのです。


本作の原作者である島田荘司氏は近年、日本のみならずアジア全体に視野を広げ、本格ミステリーにおける新人の発掘に力を入れています。日本の推理小説は台湾でも人気があり、「島田荘司推理小説賞」が開催され、その最終選考は島田氏自ら行うなど、本格推理小説の発展に尽力しています。

この映画の監督を務めたのは、台湾の俊英、チャン・ロンジー監督。アルフレッド・ヒッチコック監督の『裏窓』を彷彿させるようなテイストで、深まる謎と青年の切ない恋心を交差させる異色の青春ミステリーとして完成させました。日本発の中国映画は、これからも日本に“逆輸入”される機会が増えることでしょう。


夏、19歳の肖像
2018年8月25日(土)からシネマート新宿ほか全国順次ロードショー
監督:チャン・ロンジー
原作:島田荘司(「夏、19歳の肖像」文春文庫刊)
出演:ファン・ズータオ、ヤン・ツァイユー、リー・モン、カルビン・トゥ、チャン・グオチュウ、スタンリー・フォン、コー・シュウチン、チュウ・チーイン ほか
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