「直したいのは個人個人の技術」 女子ソフトボール宇津木監督

(宇津木監督 撮影:よこいみちひと)

8月2日から12日まで、千葉県で行われていた「第16回WBSC世界女子ソフトボール選手権大会2018千葉」。優勝が期待された日本代表でしたが、決勝戦でアメリカに延長タイブレイクの末、6対7で敗れ、準優勝に終わりました。

日本は予選グループBを1位で通過。ZOZOマリンスタジアムで行われる決勝トーナメントにグループ1位で駒を進めました。

決勝トーナメントでは、
10日(金) 準々決勝 〇日本 7 (6回コールド) 0 ●プエルトリコ

11日(土) 準決勝 ●日本 3 (延長タイブレイク) 4 〇アメリカ

12日(日)準決勝 〇日本 3×0 ●カナダ

12日(日) 決勝 ●日本 6 (延長タイブレイク) 7 〇アメリカ

決勝・アメリカ戦後、日本の宇津木監督は、悔しそうな表情で会見を行いました。

Q:決勝戦を終えての感想を

『今日の一戦は、アメリカが勝ちましたけど、(両チームの)力は同じくらいで、やり方(戦術)が違って、負けたとは思っていないんですけど...ただ、いろいろな意味で経験させてもらいました。
(監督に就任して)この2年間準備をしてきましたが、一番心配していたのは、ピッチャーでした。日本のピッチャーの層が薄い。やっぱり、(オリンピック競技から外れて)14年のブランクが大きかったんじゃないかなと思います。
この2年間、(ピッチャーを強化しようと)各チームの若いピッチャーを日本代表に呼んで、海外遠征に連れて行ったり、変化球を教えたりしてきたのですが、海外遠征で打たれたりして、まだまだ自信をつけるまでにはいかなくて、そんな中、今回のメンバーを選びました。
今日は(アメリカ)に負けてしまいましたが、これからの2年間で、ピッチャーをどうやって経験させるかなって思っています。

(撮影:よこいみちひと)

なかなか上野(投手)のような、身体能力の高いピッチャーはいないんです。もちろん、スピードボールが投げれるピッチャーがいればいいんですけど...そうなると、どうやって変化球、コントロールの良いピッチャーを育てるか。
(私も代表に入っていた)2000年のシドニー五輪の時は、まだ上野がいない中、コントロールの良いピッチャーを使って銀メダルを獲りました。これからは、そんな戦術も視野にいれてやっていかないといけないのかなと思いました。
そういった意味でも、(試合が)終わった瞬間は、再スタートしたいな、と思った瞬間です。今日の試合、選手はよく頑張ってくれました。大きな希望を持って、明日に向かっていきたいなと思っています。』

(撮影:よこいみちひと)

Q:この世界選手権大会で、得たモノ、直したい所はどこですか?

『直したいところは、選手個人個人の技術。パワーでアメリカと勝負するのはとっても難しい。パワーではなく、本当に細かい事を、選手に教えていかないといけないかなと思いました。
(今回、アメリカ代表として出場した)アボット投手(トヨタ自動車所属)や、リケッツ投手(豊田自動織機所属)など、素晴らしい選手が今、日本のチームに所属をしています。
相手チームならば、攻略する方法を考えながら試合が出来ますが、同じ(強豪)チームにいると細かい事や攻略する方法を考える事はありません。そういう(細かい)事から教えていかないといけないなと。

元々、バントやエンドラン、スラップなど細かいプレーは、日本が得意としてきたものでした。
でも、このブランクで、他の国のモノになってしまった。そんな事を、今日、特に感じました。』

(撮影:よこいみちひと)

Q:延長タイブレイクになってから、サヨナラヒットを打たれるまで、タイムをかけてマウンドに行きませんでしたが、それは上野投手に任せたということですか?

『そうですね。実は、(3位決定戦)のカナダ戦の時は、上野と話しながら配球をしていたのですが、(決勝の)アメリカ戦は、完全に我妻捕手に任せようかなと思って行きませんでした。
実は日本代表は、ピッチャーの層も薄いんですが、キャッチャーの層も薄いんです。
外国籍投手が加入する時は、キャッチャーも含めたバッテリーで来ることが多いので、そうすると経験値が低くなる。そういう意味でも、我妻には経験をさせたかったのです。この世界選手権大会を戦って、一番成長して欲しいと思っていたのは我妻です。彼女の頭脳が、サイン一つで各選手を動かさないといけない。だから、(私が)タイムをかけなくても、(その状況を)我妻に経験してもらいたいなと。
何度も何度も(マウンドに)行きたかったですよ。でも「ここで行って我妻捕手の(試合の流れを考える)思考を止めてしまったらいけない」と思って、マウンドに行きたい気持ちを止めました。』

(撮影:よこいみちひと)

Q:上野投手は、今日は(準決勝・カナダ戦と決勝・アメリカ戦)連投になりましたが

『そうですね。上野投手は、まだまだ健在だな、と思いました。今日は負けましたが、彼女の能力にまだまだ底はありません。上野投手に関しては、文句なしの100点以上です。
しかし今は、日本のピッチャーの層が薄くなってきて、その薄くなった所も、上野投手が埋めてくれています。でもすべての試合に彼女を出すわけにいかないですから...。
今は、我妻捕手が上野投手の持っている能力を使えるかどうかを見ている所です。』

《女子ソフトボール日本代表の決勝トーナメント成績》

8月10日(金)
決勝トーナメント・準々決勝 日本〇7 × 0●プエルトリコ コールド勝ち
日本の先発は上野投手。1回1点、2回・主砲・山本選手の特大満塁ホームランなどで5点、6回も1点を追加 7対0のコールド勝ち。

(先発の藤田投手 撮影:よこいみちひと)

8月11日(土)
決勝トーナメント・準決勝 日本〇3 × 4●アメリカ 延長タイブレイクの末 アメリカの勝ち

11日準決勝は、世界ランク1位のアメリカと対戦。
先発は、日本が《二刀流》藤田投手、対するアメリカは、日本のトヨタ自動車に所属するエース・アボット投手。
1回、山本選手の3試合連続ホームランで2点先制。3回にも1点を追加し、アボット投手を攻略。3対0とリードしますが、3回裏、先頭打者にホームランを打たれると、エラーでも失点し3対2と1点差。さらに5回にもホームランを打たれ、3対3の同点のまま、延長タイブレイク方式へ。延長戦、アメリカは細かい投手交代で、日本打線に的を絞らせず攻撃に移ると、セカンドゴロの間にランナーを3塁に進め、最後はサヨナラヒットで4対3アメリカの勝利。アメリカは決勝へ、日本はカナダとの準決勝を戦い、勝てば決勝で再びアメリカと対戦する事になりました。

8月12日(日)
決勝トーナメント・準決勝 日本〇3 × 0●カナダ

(先発の上野投手 撮影:よこいみちひと)

日本はエース上野投手が先発。1回山崎選手のタイムリースリーベースヒットで先制すると、3回には山崎選手のランニングホームランで1点を追加。さらに渥美選手のタイムリーヒットで3対0とリード。投げては上野投手が7奪三振の完投勝利で、夜に行われる決勝に駒を進め、アメリカと再戦する事になりました。

決勝トーナメント・決勝 日本●6 (延長タイブレイク) 7〇アメリカ

(決勝戦は、多くの観客でスタンドが埋まり、大声援でSOFT JAPANを後押ししたが… 撮影:よこいみちひと)

日本の先発は、カナダ戦から連投になる上野投手。
日本は2対0とリードしますが、アメリカは3ランホームランで逆転。宿敵アメリカ相手に連敗だけはしたくない日本は、DP(打撃専門選手)で出場していた藤田が同点のホームラン。


日本は上野投手の力投で、アメリカはピッチャーの継投で相手の攻撃をかわし、3対3同点のまま、連夜の延長タイブレイクへ突入。
日本は、前日のタイブレイクで、アメリカにやられた細かい戦術を逆にやり返し、スクイズバントで4対3と勝ち越し。しかしアメリカも、負けじと4対4の同点に追いつきます。
時間は夜10時を回った10回。同点ホームランを打った藤田選手が、今度は勝ち越しの2ランホームランを放ち、日本が6対5とリード。
そしてマウンドに向かうのはやはり上野投手。球場全体も大きな声援で、上野投手、日本選手を盛り上げます。
しかしアメリカは、細かなソフトでランナーを進め、2点を返し6対6の同点とすると、最後は3塁線を抜けるヒットでランナーが帰り、7対6のサヨナラ勝ちで優勝を決めました。

(よこいみちひと)

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