キラキラ系ティーン・ムービーかと思いきや…

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【しゃベルシネマ by 八雲ふみね 第468回】

さぁ、開演のベルが鳴りました。
支配人の八雲ふみねです。
シネマアナリストの八雲ふみねが、観ると誰かにしゃベリたくなるような映画たちをご紹介する「しゃベルシネマ」。

今回は、8月25日から公開の『クリミナル・タウン』を掘り起こします。


アンセル・エルゴート×クロエ・グレース・モレッツ、最旬キャストが贈るクライム・サスペンス

キラキラ系ティーン・ムービーかと思いきや…
ワシントンD.C.に暮らす高校生、ケビンが銃殺された。警察は「不良の黒人少年が麻薬を巡るギャング同士の抗争に巻き込まれただけ」と判断し、捜査は早々に打ち切られてしまう。

しかしケビンの親友であるアディソンは、優等生のケビンが麻薬に関わっていたのはあり得ないと考え、彼の名誉を取り戻すため幼なじみのフィービーとともに、事件の真相を探ることに。ところが警察はアディソンの証言には取り合わず、学校は大学への推薦状を餌に捜査をやめさせようと牽制。やがてアディソンとフィービーは、後戻り出来ないほど危険なところへと踏み込んでいく…。

キラキラ系ティーン・ムービーかと思いきや…
若い世代の洋画離れが叫ばれるようになってから、いわゆる“日本における著名なハリウッドスター”の年齢も高齢化しつつある昨今。ティーン世代に人気の若くてステキな俳優さんは多くいるにもかかわらず、洋画の低迷の影響か「日本でも大大ブレイク!」とはなかなかいかないのが、歯がゆいトコロです。

そんな中、王道をいくティーンスターの共演が話題となっている映画が公開となります。ティーンエイジャーを主役に据えたノワールとして、高い評価を受けたサム・マンソンの小説を原作に、親友が殺された事件の真相解明に挑む高校生たちの姿を描いたクライム・サスペンスです。

キラキラ系ティーン・ムービーかと思いきや…
「趣味はビデオ日記の撮影」というアナログ少年アディソン役は、『ベイビー・ドライバー』のアンセル・エルゴート。ナイーブで傷つきやすくちょっぴり冴えない高校生をチャーミングに演じています。

一方、アディソンの幼なじみ以上恋人未満フィービー役には、『キック・アス』のクロエ・グレース・モレッツ。いまや世界中のティーンが視線を注ぐ最旬コンビは、とにかく絵になる美しさ。真実を突き止めたい男と、“相棒”として彼をサポートする知性派美女の名コンビぶりは必見です。

キラキラ系ティーン・ムービーかと思いきや…
メガホンを取ったのは、『ヒッチコック』を監督したサーシャ・ガヴァシ。ティーン特有の揺れ動く心情やアンセル君とクロエちゃんのラブラブシーンを盛り込みながらも、ガヴァシ監督が鋭く切り取ったのは、華やかなイメージのあるアメリカの首都・ワシントンD.C.の“影”の部分。

ドラッグ、人種差別、凶悪犯罪といった“日常茶飯事の出来事”を高校生の視点から描くことで、より鮮烈に印象づけています。キラキラ系ティーン・ムービーかと思いきや、意外や意外、社会派な一面が光る一作です。

キラキラ系ティーン・ムービーかと思いきや…
クリミナル・タウン
2018年8月25日から新宿シネマカリテほか全国順次公開
監督・脚本:サーシャ・ガヴァシ
共同脚本:スティーヴン・ナイト
原作:サム・マンソン「クリミナル・タウン」(ハヤカワ文庫)
出演:アンセル・エルゴート、クロエ・グレース・モレッツ、デヴィッド・ストラザーン、キャサリン・キーナー ほか
©2016 November Criminals Holdings, LLC.
公式サイト http://gaga.ne.jp/criminaltown/

連載情報

Tokyo cinema cloud X

シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画を発信。

著者:八雲ふみね
映画コメンテーター・DJ・エッセイストとして、TV・ラジオ・雑誌など各種メディアで活躍中。機転の利いた分かりやすいトークで、アーティスト、俳優、タレントまでジャンルを問わず相手の魅力を最大限に引き出す話術が好評で、絶大な信頼を得ている。初日舞台挨拶・完成披露試写会・来日プレミア・トークショーなどの映画関連イベントの他にも、企業系イベントにて司会を務めることも多数。トークと執筆の両方をこなせる映画コメンテーター・パーソナリティ。
八雲ふみね 公式サイト http://yakumox.com/

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