「カ・イ・カ・ン」…角川映画の40年を目撃しませんか? 【ひろたみゆ紀・空を仰いで】

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ダダダダダダダダ…機関銃をぶっ放したセーラー服の女子高生が一言「カ・イ・カ・ン」…

あまりにも印象的だったこのシーン、覚えていらっしゃる方も多いのではないでしょうか?
この『セーラー服と機関銃』をはじめ、数々の話題作で日本映画界に旋風を巻き起こした角川映画。
その40年の歴史を辿る展覧会【角川映画の40年】が始まりました。

京橋にある東京国立近代美術館フィルムセンター7階の展示室には、角川映画40年分のボスターやチラシ、パンフレット、原作本など約160点が並んでいます。

映画は映画会社が作るものーーという常識を覆し、出版社が母体となった角川映画。
その始まりは1976年の『犬神家の一族』でした。

1.『犬神家の一族』(1976年、市川崑監督)ポスター(w500)

『犬神家の一族』(1976年、市川崑監督)ポスターⓒKADOKAWA

波立つ湖からニョキッと突き出た2本の足…あまりにも有名な衝撃的なポスターです。
巨匠・市川崑監督がメガホンをとった角川映画の記念すべき第1作は空前の大ヒットを記録し、ミステリー映画の金字塔を打ち建てました。
横溝正史の原作もベストセラーに押し上げます。
石坂浩二さんが演じる名探偵・金田一耕助を原作通りの着物姿で登場させた初めての映画としても知られています。

会場は撮影禁止ですが、一カ所だけ記念撮影しても良い場所があります。
それが、逆さまの2本足のオブジェ。

足のオブジェ(w500)

「読んでから見るか、見てから読むか」という懐かしのキャッチフレーズの垂れ幕も見えます。
この名コピーの通り、角川映画の神髄は、角川春樹社長のもとでとられた広報戦略。映画と原作本、さらに主題歌も含めたメディアミックス、いわゆる角川商法です。
相乗効果で映画も本も売り上げを伸ばしました。
ミステリーやハードボイルド小説を次々と映画化し、『人間の証明』(1977)、『復活の日』(1980)などヒット作を連発します。

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『人間の証明』(1977年、佐藤純彌監督)シナリオⓒKADOKAWA

1980年代に入ると角川3人娘…
薬師丸ひろ子、原田知世、渡辺典子が登場!アイドル映画の時代です。
『セーラー服と機関銃』(1981)、『探偵物語』(1983)、『時をかける少女』(1983)など、今でも愛されて続けている作品が制作されました。

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『セーラー服と機関銃 完璧版』1982年ⓒKADOKAWA

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『野獣死すべし』(1980年、村川透監督)ポスターⓒKADOKAWA

さらには『幻魔大戦』(1983)を皮切りにアニメーション映画にも進出。若い世代を映画館に呼び寄せました。
そして1990年代中期からは新たに角川歴彦社長のもとで再生、『失楽園』(1997)や『リング』 (1998)など数々の話題作の中心となり、盛んな映画作りは今も続いています。

11.『幻魔大戦』(1983年、りんたろう監督)ポスター(w500)

『幻魔大戦』(1983年、りんたろう監督)ポスターⓒKADOKAWA

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『リング』(1998年、中田秀夫監督)ポスターⓒKADOKAWA

…こんな角川映画の歴史を資料で辿ることができるのです。
ポスターやチラシに名セリフ。
一言でいうと「懐かしかった」です。とっても。

見たことがある映画、見たことはなくてもCMで見聞きしているセリフや名場面。
『蒲田行進曲』や『天と地と』『ぼくらの七日間戦争』…あ~、この作品も角川映画だったんだと改めて感心するものばかりでした。
特にアイドル映画の時代には心引かれました。
薬師丸ひろこさん、今も綺麗ですが、ホントに可愛かったんですよね~。
ふっくら丸顔に凛とした深い瞳。ポスター1枚1枚に釘付けです。
原田知世さんの透明感は、汚してはいけない神聖さを感じさせます。

6-B.『天国にいちばん近い島』1984年(w500)

『天国にいちばん近い島』1984年ⓒKADOKAWA

会場では、当時の映画の予告編を見ることができるのですが、『時をかける少女』の歌声が耳から離れなくなってしまいました。
そうそう、薬師丸ひろ子さんの「カ・イ・カ・ン」のシーンも見ることができますよ。

展示品の中には、カメラマンの仙元誠三さん所蔵の撮影台本が何冊もありました。
シーンごとにとても丁寧に書き込みがされているんです。
その鉛筆書きの文字から、より良い映画を撮ろうとする気迫が伝わってきます。
緻密なカット表や香盤表には、映画の裏側の大変さもうかがえました。

映画は常に時代とともにあります。映画の思い出はその人の人生の一端でもあるのです。
この展覧会は、そんな思い出深い作品に再会できるだけでなく、日本の映画作りの奥深さにも触れることができます。
期間中、トークイベントや上映会も予定されています。
映画が見たくなってしまった方には、角川シネマ新宿で、48作品が上映される角川映画祭も開かれていますよ。9/2までです。

【角川映画の40年】
中央区京橋の東京国立近代美術館フィルムセンター展示室で、10/30まで開催中。
(月曜日・9/5~9は休室)

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ⓒKADOKAWA

「ひろたみゆ紀・空を仰いで」

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たったひとつ眩しく輝く大きな太陽、おぼろげに優しい光を放つ月、一つ一つは小さいけれど幾千幾万という圧倒的な数でキラキラ輝く星たち…空の主人公たちです。
晴れの日もあれば曇りや雨の日、そして嵐の日もあり、毎日刻々と表情を変え、一つとして同じだったことがない空。
その空に輝く太陽・月・星も毎日姿を変えています。空には果てしないドラマがあるのです。

そして、私たちの世界もまた同じ。同じような毎日でも一日たりとも同じ日はありません。ひとりひとりに果てしないドラマがあります。
ここでは、人一倍空から遠いちっちゃいひろたが、空を見上げるように、低いところからいろんなものを見上げてひとつひとつドラマを探しにいきます。

プロフィール:栃木県出身。NHK宇都宮放送局のキャスター、レディオベリー(エフエム栃木)のパーソナリティを経てフリーへ。
以降ニッポン放送のパーソナリティやリポーターを務めるなどフリーアナウンサーとして活動。
2009年には韓国に語学留学。両国の文化を身につけパワーアップして活動中。

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