メディアの一斉批判もトランプ政権には効かない~これだけの理由

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(8月17日放送)に外交評論家の宮家邦彦が出演。アメリカの新聞社がトランプ大統領へ抗議したことに触れ、アメリカの言論の両極化について解説した。

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ニューハンプシャー州の支持者集会で演説するトランプ(2016年2月)(ドナルド・トランプ – Wikipediaより)

350社を超えるアメリカの新聞社が、社説でトランプ大統領へ一斉に抗議

全米の350を超える新聞社が16日、メディア批判を続けるトランプ大統領に抗議して、報道の自由を訴える社説を一斉に掲載した。これは「ボストン・グローブ」紙が社説の掲載を呼び掛けたもので、大手新聞から小さな地元紙までリベラル、保守その立場を問わず賛同した。社説では「メディアは国民の敵ではない。トランプ大統領のジャーナリストへの攻撃はアメリカ全体を駄目にする」などと主張している。
これに対しトランプ大統領はTwitterのなかで「フェイクニュースを報じるメディアは反対派であり、偉大な国にとって害だ」と反論している。

飯田)この社説ですけれども、トマス・ジェファーソンの言葉を引いてというところから入っております。

宮家)私も報道の端くれで仕事をさせてもらっていますが、それは彼らの言う通りですよね。政府に対して批判ができなくなったときには、その政府は腐りますから。おっしゃる通りなのですが……問題は、トランプさんには効かないこと。

飯田)効かない。

宮家)なぜかというと、彼にとってはフェイクニュースと言えれば良いので、大騒ぎになればなるほど「フェイクニュースだ!」と言えるわけなのです。トランプさんを支持している人たちの9割は、まだトランプさんに温かい感情を持っているという世論調査もあるのです。一斉に社説を出そうが、ずっとトランプさんの批判をやろうが効かないのですよ。

飯田)むしろそれを糧とすると。

宮家)糧として追い風にして、また頑張るという。言っていることは正しいし、大賛成だと思います。だけどもトランプさんのやり方はある意味で革命的で、メディアを敵に回した追い風で沖から岸へ上がってくるサーファーみたいなもので、一種の天才なのですよ。自分で波を作る人ってなかなかいないのです。メディアが騒げば騒ぐほど、トランプさんは安泰なのです。確かにCNNなんかを見ていて「ちょっと酷いな」と思うときはある。とにかくトランプさんに関することなら何でもネガティブに報道することは事実です。それがFOXニュースになるとまた逆なので、もう水と油なのですよ。水がどんなに増えても油である9割の支持者がしっかりとしている限り、トランプさんはまだ戦う気でいると思う。

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アトランタにあるCNNセンター(CNN – Wikipediaより)

未だにトランプ支持者の層は厚い

飯田)中間選挙に向けての調査を見ても、共和党の候補がかなり健闘している。普通、大統領与党は負けるのが中間選挙だと言われますが。

宮家)そうなのですよ。いままでの力とは違う力が動いている可能性があって、これを私は「ダークサイド」と呼ぶのだけれど、白人男性ブルーカラー低学歴の怒り、不満。そしてワシントンに対する、外国人に対する、別の宗教に対する、もしくは別の性に対する反感。これはどこの国でもあることなのだけれども、それがエネルギーとなって残っている。だからこそトランプさんは生き残っている。彼は原因ではなく、結果なのです。仮にトランプさんが弾劾されていなくなったって、そのエネルギーは残って、誰かがそれをまた利用しようとするだけだと思いますから、ちょっと難しい時期にきている。メディアには頑張って欲しいのだけれど、相当相手も手強いことを考えなくてはいけないと思います。

飯田)戦い方を変える必要があると?

宮家)でもこれ以外にやることがないですからね。言論でやるしかない。あとは政治の世界ですよね。

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メディアとトランプ大統領の対決で、二極化する国内

飯田)先程宮家さんが指摘された、どちらの陣営も極端に走るようなところがあると。アメリカであってもいまは右と左で分裂するような形になってしまっている。

宮家)さらにトランプさんみたいな人が出てきたお陰で、と言ったらいいのかわからないけれど、民主党の方でもいままで以上に左に行く人たちが出てきていて、そうすると両極化はますます拡大する。これは決して良いことではないですよね。健全な中間層が悩んで、適度に政権が交代することによってチェック&バランスが効く。それが民主主義の基本だと思うのです。しかしアメリカの民主主義が相当極端になっていることは事実で、試練の時期だと思います。必ず元に戻ることだとは思いますけれどね。

飯田)本来のメディアの1つの役割としては、論点を示して真ん中を探るというのがあるわけですが。

宮家)あれだけ広い国で人口も均一に住んでいるわけではないですから、選挙区だって「ゲリマンダリング」というのだけれど。

飯田)結果のわかっているところが多いと。

宮家)昔のように悩むことが少なくなっていることは事実です。固定化しちゃったのかなと。それはアメリカの変化の一部かなと思います。

飯田浩司のOK! Cozy up!
FM93AM1242ニッポン放送 月-金 6:00-8:00

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