日米新貿易協議~詰め切れない日米それぞれの事情

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ニッポン放送「飯田浩司のOK!Çozy up!」(8月13日放送)にジャーナリストの末延吉正が出演。日米新貿易協議について解説した。

日米新貿易協議、自動車、農業で折り合わず、来月に持ち越し

日米の閣僚級による新たな貿易協議の初会合でFTA(自由貿易協定)の念頭に2国間交渉を求めたアメリカに対し、日本は多国間の自由貿易、TPP重視を主張。この結果、自動車関税の引き上げや日本農産品の市場開放を巡る議論が折り合わず、結論は9月の次回会合に持ち越しとなった。

飯田)アメリカ側はライトハイザー(アメリカ通商代表部USTR)代表、そして日本側は茂木経済財政担当大臣、という2人で顔合わせですが、7月にやると言っていたのが、8月に延びて、また今度9月に持ち越しになると、延び延びになっています。

末延)元々ペンス副大統領と麻生副総理でやるということでしたが、麻生さんの失言があったりして変わりました。
とにかく、いまのトランプ政権は全て11月の中間選挙を睨んでいますから。

飯田)ここをなんとかしなくちゃいけない。

日米共に事情があって詰め切れない新貿易協議

末延)日本も総裁選が終わって来年7月に参議院選。その前の4月には統一地方選。特に参議院選で3分の2落とすと憲法改正発議ができなくなります。そういう意味では、国内事情がそれぞれある。なかなか急ぐと言いつつ難しい。時間的には、9月の下旬の国連総会、もし安倍さんが参戦したとして20日に、そこで日米首脳会談になります。日米首脳会談で両方傷を負うわけにはいきません。この辺りまでにどういう詰めができるか。アメリカはやはり自動車と農業について言ってくるでしょうし、難しいですよね。TPPを発行しちゃうと、アメリカの農産物は関税が30数%かかっているでしょ、オーストラリア産は9%になりますよ。

飯田)牛肉とかがね。

末延)本当は、TPPに戻ればいいんだけど、公約で反対のことを言っているからトランプ大統領は言えない。北朝鮮問題も中身を詰めていないから、これもなかなか。

飯田)前に進まない。

末延)一番大きいのは中国とガチでやっている。この米中の激突は本気ですから。これがベースにあっての話なのでね。

飯田)そこを第一正面と考えると、アメリカも二正面でやるわけにはいかない。

末延)そうです。

飯田)しかも同盟国日本と。

米としては中国との貿易摩擦問題が先決

末延)そういうこと。だから、どういう形で折り合いをつけていくかが、智恵の出し合いになるのでしょう。日本はどうしても弱いのは、安全保障をアメリカにぶら下がっていますから。いままで繊維から自動車から鉄鋼から大体は。

飯田)牛肉、オレンジ。

末延)でも逆に、それで国内産業の構造を転換するとか変革が進んだ部分もあります。ただ参議院選前はね。業界団体多いでしょ。

飯田)そうですね。

末延)やりにくいことは事実でしょうね。逆に来年になるよりは、今年にある程度目処を付けて、国内保護の予算を少し大盤振る舞いする方がいいという説もありますね。

飯田)そうすると、結論を急いだほうがいいけど、下手な妥協もできないと。

末延)でも米中の激突よりはまだ。ここがどうなるかで、ヨーロッパも含めて全体の構図が変わってきますから。それと合わせて見ていく必要がありますね。

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