建築模型と天体望遠鏡、捨てるのやめて飾ってみました! 【ひでたけのやじうま好奇心】

一味違って面白い「不用品を集めて今年オープンした博物館」をご存じですか?

先月、上野の国立西洋美術館が、建築作品として後世に残すべきと世界遺産に選ばれたのは記憶に新しい所です。
ル・コルビュジエという建築家の作品でしたが、負けず劣らず日本には世界に名だたる建築家が大勢いるのをご存知でしょうか?

建築界のノーベル賞と言われる「プリツカー賞」の受賞者は、1位はアメリカ人の8人、2位は日本の6組7人。
この両者が圧倒的に多いのです。
ですから、クールジャパンと言えば「マンガ」「アニメ」ばかり言われるのですが、とんでもない!
日本の建築家が作る建造物はキメ細かい!斬新!と『建築』も世界から認められた大きなコンテンツになっているのです。

その建築設計において大変重要だとされるのが「建築模型」
“こんな建物を作る”という青写真を描くとき2Dの図面や今のご時世コンピューターソフトを使ってパソコン画面上での模型もありますが、昔から変わらず100分の1や200分の1の大きさの「建築模型」を必ず作ります。

この「建築模型」は場所を取ったり、保管場所に困ったりするので、捨てられることも多かったのですが…建築模型は設計者の思考プロセスを伝える重要な資料です。
しかも、完成度の高い美術品として、彫刻作品としても通用する!
そういった様々な理由で、世界で初めて、建築模型だけを集めた博物館が先月、品川の天王洲アイルにオープンしました。

名前はそのものズバリ!「建築倉庫」

建築倉庫-1

運営は、その価値に注目した大手倉庫業の寺田倉庫が行っています。
本社1階に設けられた「建築倉庫」の中に入りますと…
立体的な建築模型の大きさを考えて、それが積み重ねられるようにと、天井高は5.2メートルと大変高い。
そこにズラ―と巨大なラックが並ぶ。

g_9

展示された建築模型が映えるようにと、ラックは真っ白の特注品。
そこに、ビルや公園、図書館、街並み、といった様々な大きさ、様々なカタチの模型がスポットライトに照らされて浮かび上がっています。

DSC_0549
DSC_0557

そもそも建築模型は1種類だけではありません。
まず、どんな建物の形がいいのか、建築事務所社内で考えるための「検討模型」をいくつもつくる。そのあと、発注主に「こんなのを提案する」とプレゼンするときの「プレゼン模型」。
そして形が手直しされ予算が決定し、最終的にコレを目指すという形の「完成模型」。
最後に、建物がすべて完成した後にそっくりに作る「竣工模型」。
つまり、「建築は模型に始まり、模型に終わる」。
場合によっては、一つの建物が建つまでに500個も模型を作ります。
『建築倉庫』では、こうした最終形になるまでの、“ああでもない”“こうでもない”という思考回路がわかるように、原型から完成形まで模型がズラリと並べられています。

g_1
g_6

また、目を引くのが、圧倒的な“模型の精密さ”です。
建物だけの味気ない模型があるだけでなく、その建物の周りに緑の木々があって、「ミニチュアの人」が歩いていたり走っていたり、木陰で休んでいたり、犬と散歩していたり。
人の大きさは1センチとか2センチ位という、ミニチュアです。

g_7

これは、建物だけではなく、建物や空間を利用する人々のライフスタイルまで表現するために作られていて、海外では人はあまり配置しない。
「建物だけ」、なのです。
1センチや2センチの人型の模型というのは売ってないので、建築事務所の模型担当者が必死で何百体も何千体も作る。
なんという芸の細かさ!これが、世界から“芸術的な模型”だと評価される所以です。

ところで、2020年東京オリンピックの「新国立競技場」の設計を手掛けた隈研吾さんも模型が大好きで、模型作りを最重要視するデザイン方法。
その隈さんいわく「日本人は模型民族」
考えてみれば、子供の頃からプラモデルが大好きじゃありませんか。

その模型民族の元に、今、世界の建築デザイン業界から「模型作りを教えてくれ」と、日本の建築事務所に弟子入り志願する外国人が大勢やってきているそうです。
こうした世界的な建築模型の評価に合わせて出来たのが、品川の世界初の建築模型の博物館「建築倉庫」
その趣旨に賛同して、隈健吾さんや、被災地の仮設住宅や仮設の教会を手掛ける坂茂さんなど、日本を代表する世界的建築家が大勢、模型を置いています。

最後におカネの話をすると、寺田倉庫はしっかりとした温度湿度管理をするかわりに建築家にラック一つ“いくら”という値段で借りてもらい、入場者からは1,000円という入場料を徴収することでビジネスとして成立させています。

「建築倉庫」はまだオープンして1か月ちょっと。
学生、建築関係者、外国人、一般の人と、評判が大変よく、客足を伸ばし続けています。
関東地区の建物ですと、東京スカイツリーや海老名市立図書館、流山市おおたかの森小中学校、2021年に完成予定の府中市庁舎のプレゼン模型などがありますから、地元の方には大変面白く、それを見るだけでも価値があるのではないかと思います。

fb7eb821714ebdb519a30b1343aae41f

そしてもうひとつ、こうした不用品を集めて作ったものの、大変人気になっている博物館が四国にあります。
香川県高松市の南、さぬき市に今年3月オープンした「天体望遠鏡博物館」
4年前に閉校になった小学校の校舎を埋め尽くしたのは、日本全国から集められた200台以上の天体望遠鏡。
高度経済成長時に天文台がたくさん建てられ、地方自治体も天体望遠鏡を高いおカネでたくさん購入していましたが、コンピューターの発達や、市町村の統廃合で天体望遠鏡はお役御免。
こうした天文台にある天体望遠鏡は何トンもある立派なものが多いだけに個人では引き取り手がなく、ほとんどは建物とともに廃棄される運命にありました。
歴史的にみても保存されてしかるべき文化的価値の高いものが多いのに、とても残念なことです。
これに心を痛めていた一人の天文ファンの男性が、古い天体望遠鏡を集めて、街明かりから離れて星がよく見える、山の中の使われなくなった小学校に「天体望遠鏡博物館」をオープンしたのです。
特に圧巻なのは、屋内プールを改修した大型望遠鏡の展示室。

1753730333e7f58d5ac6d33103390020-(1)
d1d2c950c5d7e49e8be1ae5d6aa8e1fc

何十万も何百万円もする巨大なものがズラーと並んでいます。
さらには月に1回「夜の観察会」を行っていますが、この間の土曜日に行われた際は、募集をかけたとたん150人の枠が満杯に。
毎月心待ちにしているファンがついているそうです。

ef4c25588115d4ac1d7450151946f7d5
c01e700d3d4426e2aa4e0581611fac6c

入場料は300円。
運営は他の仕事を持つボランティアだけでやりくりしています。
まず初めは天体望遠鏡の聖地として有名にするために、さぬき市が全面的にバックアップしていて、お金儲けに関しては今後考えていくようです。

「建築模型」と「天体望遠鏡」。
捨てられる運命だったものが、新たに人を呼び込む道具となっている。
身の回りを見渡してみると、まだまだ使えて人の役に立つものがあるのかもしれません。

8月2日(火) 高嶋ひでたけのあさラジ!三菱電機プレゼンツ・ひでたけのやじうま好奇心」より