日米貿易協議「FFR」が日本にもたらす嫌な影響

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(8月10日放送)に外交評論家の宮家邦彦が出演。日米の新たな貿易会議FFRに関して解説した。

新たな貿易協議FFRは80年代日米貿易摩擦の再来?

日米両政府による閣僚級の新たな貿易会議FFRの初会合がワシントンで日本時間今日未明に始まり、先ほどその討議を終えた。日本からは茂木経済産業大臣、アメリカからはUSTRアメリカ通商代表部のライトハイザー代表が出席している。日米の貿易や投資のあり方を話し合う協議で今年4月の首脳会談で創設が決まった。FFRは、Free(自由)、Fair(公正)、Reciprocal(相互的)の頭文字を取ってFFRだそうですが、これは一体どういう影響をもたらすのか。

飯田)フリー、フェア、レシプロカル、だから別に日米貿易協議の頭文字を取ったわけじゃないのですね、これは。

宮家)FFRだか何だか知らないけど、腹立つんですよ。フリーはいいです、自由は。公正? フェア? んーなんか嫌な予感するなと思うわけです。次がね、相互的? レシプロカルっていうのはフリーと違うんですよ。フリーだったら自由にやればいいわけでしょう。レシプロカルっていうのは昔、互恵的とか訳した人がいますが、互恵的っていうのはmutually beneficialという言葉が別には作れるわけですね。でもレシプロカルというのは、「向こうがオッケーならこっちもオッケー」、「お前がやるんだったらこっちもやるぜ」という、そういう相互的ですからね。「ネガティブなものに対してはネガティブでやる」、「お前は自由じゃねえって言ったらこっちは不自由で行くぜ」という話だから、自由とは全然違うんですよ。なぜ腹が立つかと言うと、これ80年代にさんざ言われたのですよ。アメリカと貿易摩擦があったときに。
平等な土台でやらなきゃいけないとかね、初めから我々が悪いようなことを、言いがかりをつけてですよ、で、レシプロカルって言ってこっちもちゃんと結果出さなきゃいかんと。「お前が黒字ならこっちもちゃんと黒字にしろ」と。それ自由じゃないじゃないかって言いたいんだけど、これをさんざ言われたんですよ。だからもうアメリカと交渉する人達はね、大嫌いになるわけです。それが90年代以降はやっと収まってアメリカもまともになったと思ったら、また言い出して来た。

飯田)30年ぶりに亡霊がよみがえっている。

日本はTPPに戻る交渉をするしかない

宮家)中国と喧嘩するのはけっこうだけれど、中国は当時の日本とはまるで違いますから、そして相当技術の問題などについても、自由以前に中国がある意味で市場を閉じている、もしくは統制を進めているわけなので、それは喧嘩してくださってもけっこうだけれど、日本に対してレシプロカルなんて言うのはね、ちょっと嫌な予感がするんだよね。ですから、茂木さん頑張ってやっていると思うけれども、これはね、どう考えたって、TPPでやって、結果出たでしょう。勝手に出てくのは良いけども、あれしかないのよと。ですからTPPに戻る交渉をこれから永遠とやるわけです。不愉快かもしれないけど、やるしかないですよ。

飯田)なるほど。まあそれは当然長くかかるわけですね?

宮家)もちろん真面目にやるのだけれど、結果は見えてる。それはTPP以上でも以下でもないですよ。

飯田)日本としてはそこを落としどころにしておくということですか?

宮家)まあそんな感じですね。

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