EUとの対立緩和~今回はうまく修正したトランプ大統領

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(7月27日放送)に外交評論家の宮家邦彦が出演。アメリカとEUの対立緩和に向けた協議と日米の貿易交渉について解説した。

トランプ大統領とEUのユンケル委員長が、対立緩和に向けて協議を開始

貿易問題をめぐって対立が続くなか、アメリカのトランプ大統領は25日EU(ヨーロッパ連合)のユンケル委員長と会談し、対立緩和に向け協議を始めることで一致した。両者の記者会見によると、自動車を除く工業製品について関税撤廃に向けて協議することや、EU側が歩み寄ってアメリカ産の大豆や液化天然ガスの輸入を増やすなどで合意したものとみられている。一方、焦点のアメリカへの輸入車の関税の上乗せは、当面EUは対象とせずに棚上げすることを匂わせた。

飯田)会談が行われて、その後会見は予定されていなかったそうですが、急遽セットされたということです。トランプさんはTwitterで「大豆も輸入するし、液化天然ガスも勝ち取ったぞ」とツイートしていたようです。

宮家)相変わらずね。でも、よくやったのではないですかね。NATOの首脳会議の頃は、アメリカとヨーロッパは無茶苦茶になるんじゃないかと思いましたが、一応修復したということなのでしょうかね。自動車問題については棚上げと言うけれど、まだ完全に終わったわけじゃないですよね。だけど全体としてはうまくいっているのではないでしょうか。
いちばん驚いたのは、ロシア疑惑についてトランプさんがワシントンにプーチンさんを呼んだのですよね。それを魔女狩りが終わるのを待って行うということで、会談を延期する? だけど魔女狩りってずっとやっていないといけないじゃないですか。トランプさんは魔女狩りがなくなったら困るでしょう。
これはうまくやったと思うのですよ。なんだかんだ無しにしてしまったのでしょう。

飯田)プーチン大統領の訪米は最短で9月にもなんて話があったけれども。

宮家)あれだけ無茶苦茶なことをやられているのにプーチンをワシントンに招待はないだろうというのが大きな声だったので、それにうまく配慮して先延ばしにしたということでしょうね。今回は珍しくうまくいっているじゃないですか。これが普通なのですがね。

飯田)貿易の問題で言うと、日本もライトハイザーさんと茂木さんのFFRという新たな枠組み。7月にもスタート可能と言われていましたが、もう7月は終わってしまいます。

宮家)手強いですよね、あの人は。だけど日本は昔のように狙い撃ちされているわけではないし、アメリカとの関係、ヨーロッパとの関係とはまた違うわけですから、独自のやり方でうまくやっているのではないでしょうか。でも、いずれは来ますよ。

日米安保は、貿易と切り離してうまくやっている

飯田)よく日米交渉で言われるのが、結局最後は安全保障が出てくるから日本は強く言えないんだ、と言う人もいます。

宮家)それは一概には言えないですね。安保の関係者は、とにかく日米の貿易摩擦を安全保障の根幹の部分に、絶対に悪影響を及ぼしてはいけないというのがあって守っていましたし。

飯田)日米共に、そういうコンセンサスみたいなものがあるわけですね。

宮家)少なくとも、安全保障、防衛省、外務省のなかではね。貿易は貿易屋でやれと。でもここは入って来るなよというのはちゃんと守っていたつもりですけれどね。

飯田)貿易屋の方は「使える物は使ったれ」と匂わせてくるわけですか。

宮家)彼らは安保のことは言えませんから。権限はないので、そこは守りやすかったと思います。

飯田)全て日米1対1でやるとアメリカに主導権を取られるんだという風に書く新聞もありますけれど、そこは一線を引く部分があるわけですね。

宮家)いまの中国とアメリカはその一線がないのだけれど、日米はあるのですよ。その意味ではやりやすかったですね。国防省と話していて貿易の問題が出てくることは一切ありませんから。

飯田)ただ、手強い相手なのは間違いないですね。

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