花言葉は「清らかな心」。朝は不忍池の蓮! 【ひろたみゆ紀・空を仰いで】

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ハスアップ2(w680])

ポンと音を立てて咲くとも言われる蓮の花。
大きくて凛としたピンクがとても華やかです。

何年か前、このポンという音をどうしても聴いてみたくて、蓮が見頃の1週間ほど、毎日朝早く不忍池に通ったことがありました。
今にも咲きそうなほころんだつぼみをチェックして1時間以上もひたすらじっと見ていたのですが、結局、ポンどころか花が開く瞬間にも遭遇することができませんでした、残念!!
本当にポンと音を立てて咲くのか、そのポンがどんな音なのか…今でもわからずじまいです。

ハスと弁天堂(w680)

そして今回、久しぶりに訪れた蓮の季節の不忍池。
うわ~!すごいっ!!息をのむほど鮮やかな光景が目の前に広がっています。
子どもの傘になりそうなほどの濃い緑の葉っぱで大きな池の水面が埋め尽くされています。
その背の高い葉っぱの間から玉のように輝くピンクが、私はここよと言わんばかりにキラキラと咲き誇って、思わず深呼吸したくなる早朝の空気がさらに雰囲気を盛り上げてくれます。

もっと近くで蓮の花をみてみたい!
その願いを叶えてくれるのが、以前はなかったハス観察ゾーンです。
池に入り込んだ橋のような歩道、その上を歩きながら間近で蓮を見ることができます。
一昨年できました。
蓮畑に紛れ込んだ気分、ここが池の上だなんて信じられません。

ハス観察ゾーン2(w680)

もともとこの辺りは縄文時代には東京湾の入り江でした。
その後海岸線の後退とともに水の部分が取り残されて池になったと考えられています。
江戸時代は今より大きな池で周りには民家も並んでいたそうで、今とはずいぶん様子が違ったのでしょうね。

その後、明治になって上野の山が公園に指定され不忍池も公園に編入され、やがて上野不忍池競馬が行われるようになり、今の形に整備されたようです。

この競馬は文字通り不忍池を周回するコースで行なわれ、馬券は発売されず、屋外の鹿鳴館ともいうべき上流階級の方々の社交場だったらしいです。
明治天皇をはじめ華族、政府高官や財界人など多くの人々が集まりそれは華やかだったとか。

もちろんその頃にも不忍池には蓮の花が咲いていたらしく、江戸時代1677年に出版された本には不忍池の蓮の記述があったそうです。
浮世絵にも描かれており、既にその頃から蓮の名所でした。

しかし戦時中には食糧難のため池は埋め立てられ水田にもなりました。
戦後復旧作業が始まり、昭和30年代頃に池として復活したということです。

今や満々と水をたたえ都会の人を和ませているオアシスである不忍池にも、こんなに深い歴史の変遷があったのですね。

ハス中景2(w680)

不忍池の蓮は毎年7月中旬から開花し、夏の風物詩として親しまれています。
今年は花の咲き始めが早く、今がまさに見頃!これから8月中旬、下旬まで楽しめます。

ビンクの美しい花を見るためには、是非午前中にお出かけ下さい。
蓮の花は、早朝から開き始め午後には閉じてしまいます。
規則正しいその変化から「休養」や、蓮は泥より出でて泥に染まらずと言いますが、泥水が濃いほど大輪の花を咲かせるというところから「清らかな心」と言った花言葉がついています。
蓮はその姿でいろんなことを「雄弁」に語ってくれます。

ハスつぼみ-(1)(w680)

夏の早朝は、思いのほか清々しく気分がいいものです。
是非、早起きして蓮の花とのおしゃべりを楽しんで下さいね。
もちろん公園ですから入場無料です!

「ひろたみゆ紀・空を仰いで」

photo_an_hirota
たったひとつ眩しく輝く大きな太陽、おぼろげに優しい光を放つ月、一つ一つは小さいけれど幾千幾万という圧倒的な数でキラキラ輝く星たち…空の主人公たちです。
晴れの日もあれば曇りや雨の日、そして嵐の日もあり、毎日刻々と表情を変え、一つとして同じだったことがない空。
その空に輝く太陽・月・星も毎日姿を変えています。空には果てしないドラマがあるのです。

そして、私たちの世界もまた同じ。同じような毎日でも一日たりとも同じ日はありません。ひとりひとりに果てしないドラマがあります。
ここでは、人一倍空から遠いちっちゃいひろたが、空を見上げるように、低いところからいろんなものを見上げてひとつひとつドラマを探しにいきます。

プロフィール

栃木県出身。NHK宇都宮放送局のキャスター、レディオベリー(エフエム栃木)のパーソナリティを経てフリーへ。
以降ニッポン放送のパーソナリティやリポーターを務めるなどフリーアナウンサーとして活動。
2009年には韓国に語学留学。両国の文化を身につけパワーアップして活動中。

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