しゃベルシネマ

忘れ去られた人たち、忘れてはいけないアメリカの闇「ウインド・リバー」

【しゃベルシネマ by 八雲ふみね 第452回】

さぁ、開演のベルが鳴りました。
支配人の八雲ふみねです。
シネマアナリストの八雲ふみねが、観ると誰かにしゃベリたくなるような映画たちをご紹介する「しゃベルシネマ」。

今回は、7月27日から公開の「ウインド・リバー」を掘り起こします。


新鋭テイラー・シェリダン、待望の監督デビュー作!


タイトルとなっているウインド・リバーとは、アメリカの中西部ワイオミング州に位置するアメリカ先住民の保留地のこと。
1830年、時の大統領アンドリュー・ジャクソンが「インディアン強制移住法」を定め、先住民であるネイティブアメリカンを西部へと移住させ、彼らのいなくなった南部の広大な土地は綿花地帯となりました。本作は雪深いネイティブアメリカンの保留地を舞台に、少女の殺人事件の真相に迫ったクライム・サスペンス。第70回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門で監督賞に輝いた、新鋭テイラー・シェリダン監督による緊迫感あふれる傑作です。


深い雪に閉ざされた山岳地帯ウインド・リバーで、ネイティブアメリカンの少女の死体が見つかった。第一発見者は、野生生物局の白人ハンター、コリー・ランバート。FBIから単身派遣された新人捜査官のジェーン・バナーは地元のベテランハンターでもあるコリーに協力を求めるが、不安定な気候と雪山という慣れない土地条件により捜査は難航する。
やがてジェーンは不審な死の糸口を掴み、コリーとともに謎を追うが、そこには思いもよらぬ結末が待ち受けていた…。


ウインド・リバーの大地に根ざして生きる凄腕ハンター コリー・ランバートを演じるのは、ジェレミー・レナー。そして殺人捜査の経験が皆無に等しい新人捜査官ジェーン・バナー役に、エリザベス・オルセン。『アベンジャーズ』シリーズのホークアイとスカーレット・ウィッチとしてもお馴染みの二人が、難解な殺人事件の捜査に挑みます。
メガホンを取ったテイラー・シェリダン監督は、アメリカ麻薬戦争の知られざる実態に迫った『ボーダーライン』や、家族の土地を守るために銀行強盗を繰り返す兄弟と年老いたテキサス・レンジャーの攻防を描いた『最後の追跡』の脚本家として世界中にその名を轟かせ、ハリウッドでいま最も注目を集めるクリエイターと言っても過言ではない人物。満を持しての監督デビュー作となった本作は、濃密で息苦しさを覚えるほどのドラマを展開。極上の謎解きサスペンスとして見応えある作品となっています。


その一方で、現代アメリカに渦巻く闇をあぶり出していることでも高い評価を受けている本作。荒れ果てた大地での生活を強いられ、貧困やドラッグなど慢性的な問題に苦しむ人々の姿を浮き彫りにすることで、その信じがたい現状に驚きを覚える人も多いのではないでしょうか。時代からも社会からも取り残され“忘れ去られた人たち”に向けるシェリダン監督の真摯な眼差しは、観客の心を揺さぶってやまないことでしょう。


ウインド・リバー
2018年7月27日(金)から角川シネマ有楽町ほか全国ロードショー
監督・脚本:テイラー・シェリダン
出演:ジェレミー・レナー、エリザベス・オルセン、ジョン・バーンサル、ギル・バーミンガム、ケルシー・アスビル、グラハム・グリーン ほか
©2016 WIND RIVER PRODUCTIONS, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.
公式サイト http://wind-river.jp/

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