軍事行動に発展しかねない米中の深刻な対立

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(7月24日放送)にジャーナリストの有本香が出演。麻生財務大臣が米・ムニューシン財務長官と会談したことを受け、緊迫する米中関係について解説した。

G20でムニューシン長官は中国と会談せず

麻生財務大臣はG20、財務大臣中央銀行総裁会議の閉幕後の会見の中で、アメリカのムニューシン財務長官と会談を行い、アメリカが検討している自動車の輸入制限について、考え直すよう求めたことを明らかにした。

飯田)ムニューシン長官の反応について、麻生大臣はこれまでと同じだったと述べるにとどめて、詳細を明らかにしませんでした。車の輸入制限、関税をかけるといったことは、日本経済に大きな影響を及ぼすということになります。

有本)日本とアメリカとの自動車を中心とした関係性は非常に重要です。G20というのは、G7と違って、世界中の先進国とそうでない国々が一緒になって世界的な課題を解決していこうという会議です。でも今回は、現在、世界が抱える最も大きな問題、コンフリクト(=利害の衝突)になっていくはずの米中の会談が持たれなかったということです。

飯田)ムニューシン長官は日本の麻生大臣をはじめ10か国以上と会談を行ないましたが、中国とは会わなかった。

深刻化する米中の対立

有本)これは深刻化しそうです。現在、トランプ大統領の国内支持率は上がっています。中国に対するある種の強硬策というのが国内で支持を得ている。これについて、私はトランプさんが打ち出している方向を全く評価しないわけではないです。ずいぶん思い切ったことをやる大統領が出てきたなと。これは歴史の必然かなとも思います。アメリカにとってみれば安い製品が中国からどっと入ってくる。そのことによってアメリカ人の雇用が中国に流れてしまったということですから、それを取り返そうとするのは当たり前の流れです。これを保護主義だと一方的に非難することはできません。もう一度経済の主導権を取り戻すというのは、ひとつの方向だと思うんです。しかし一方で思い出さなければならないのは、先の第二次世界大戦。当時は列強によるブロック経済が行われ、それぞれが抗争しあったわけです。これへの反省から、戦後はそういうことをやめようと自由貿易の流れが加速していきましたが、暑さの話ではないですけど、何事も過ぎたるは及ばざるがごとしで、あまりにも自由貿易化が進んでしまうと、アメリカでいま起きているような問題が起こってしまう。

飯田)国内で格差が広がってしまうことですね。

有本)世界レベルでも格差は国境を越えて広がっていきます。富裕層と呼ばれる層が得していく方向ですよ。だけどそれは多くの人にとって必ずしも幸せではありません。ですから、もう一度国境というものを認識して取り戻そういう流れができるのは当然です。でも今回のことはこのままどんどん進んでしまうと、経済というのは戦争を引き起こします。経済的な軋轢が実際の戦争に発展するというのは、先の大戦からの学びでもあるわけです。ですからトランプさんの今後の舵取りとして、どこで寸止めとするのか。

飯田)落としどころとでもいうべきか。

有本)中国はこのままいくと、相当困ります。

飯田)実際には外需頼みなところもありますから、こうやって真綿で首を絞めるようなことをやられると苦しくなってしまう。その時に暴発という形になる可能性も。

有本)軍事行動に打って出る可能性はどんどん高くなるわけです。
それから今回の米中間のことは間違いなく太平洋覇権の争奪。そういう流れで見ていく方がいいと思います。

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