それゆけ!ドーナツ盤万博

河崎実監督と語る『若大将ソング』の思い出

第16回 「河崎実監督と語る“若大将ソング”」(その1)

最近、ますます加熱するアナログ盤ブーム。そしてシングル盤が「ドーナツ盤」でリリースされていた時代=昭和の楽曲に注目する平成世代も増えています。
子供の頃から歌謡曲にどっぷり浸かって育ち、部屋がドーナツ盤で溢れている構成作家・チャッピー加藤(昭和42年生)と、昭和の歌謡曲にインスパイアされた活動で注目のアーティスト・相澤瞬(昭和62年生)が、ターンテーブルでドーナツ盤を聴きながら、昭和の歌謡曲の妖しい魅力について語り合いますが……今回はスペシャルゲストが登場!

チャ:幸せだなァ……僕は、レコードを聴いているときがいちばん幸せなんだ。僕は死ぬまでターンテーブルを離さないゾ。いいだろう?……こんにちは、チャッピー加藤です。

相澤:チャッピーさん、いきなり若大将モードじゃないですか!……こんにちは、相澤瞬です。

チャ:しかし、上には上がいるよね。前回は「ジュリーが70歳で全国ツアーやってるって、すげえよなあ」なんて言ってたけど、加山さんは81歳で、全国廻ってんだから!

相澤:80代の若大将って、スゴすぎます…! 全てを超越してますね!

チャ:てなわけで、今回また再び高円寺「彦六」にお邪魔しているわけですが、今回はなんと、スペシャルゲストが登場! 若大将フリークのこの方にお越しいただきました。人呼んで「日本のB級映画の巨匠」こと、映画監督の河崎実さんです!(拍手!)

河崎:(若大将風に、右手上げてポーズ)どうも! 河崎です!

チャ:きょうはご足労、ありがとうございます!! きょうはホントに「幸せだなァ……」ですよ。河崎カントクと呑みながら語れるなんて! 瞬くん、ブッキングありがとう!…… てか、そもそもカントクとは、どういうつながりなの?

相澤:僕の友人が河崎さんと大の仲良しでして、河崎監督の仕事を手伝ったりしてるんです。その縁で、僕も河崎監督に良くして頂いていております! 本当にありがたいご縁です…。

河崎:僕の映画にも出てもらったんですよ。『干支天使チアラット』のスピンオフ作品で、姫乃たま主演の『シャノワールの復讐』っていうのを撮ったんですけどね。チョイ役で申し訳ないけども!

相澤:いやいや……恥ずかしながら、まさかの役者デビューすることになっちゃいました(笑)。一瞬ですが、ぜひ観てください(笑)。

チャ:いやー、楽しみ! 実は私、昔っから河崎カントクのファンでして、『いかレスラー』『コアラ課長』『かにゴールキーパー』『日本以外全部沈没』『ヅラ刑事』……ぜんぶ封切りで観てます!

河崎:それはどうも! 嬉しいなあ。

チャ:だってね、瞬くん、『かにゴールキーパー』って、タイトルまんまで、カニがGKやってんだよ!「ヨコに動くから、ゴール守るの得意だろう」って(笑)。しかもカニをスカウトするJリーグの監督役が、藤岡弘、さんなの!

相澤:どうかしてますねー、その設定!(笑)

河崎:カニが巨大化して、海から上がってくるんだけど、人間社会で生きてくためにバイトするんだよね。バーのカウンターで。

チャ:すばやくヨコ移動できるからですよね(笑)。くだらないー!

河崎:で、それを藤岡弘、が見て「キミ、イイ動きしてるね!ウチでゴールキーパーやらないか?」って誘うわけよ。

相澤:最高ですね! ホントくだらない!(笑)

チャ:アレって確か、ワールドカップの年に公開してましたよね?(※2006年、ドイツW杯)カントク、乗っかりますねー。

河崎:まあ、そういうのは、やったモン勝ちだから(笑)。

チャ:乗っかるといえば、『日本沈没』のリメイクを東宝がやったとき、筒井康隆の『日本以外全部沈没』をすぐ映画化しましたよね?(※これも2006年)

河崎:アレは儲かったんだよ。本家が大ヒットしたおかげで(笑)。

チャ:カントクの映画って、キャスティングも素晴らしいですよね。4年前の『地球防衛未亡人』なんて、大雪の中、封切り初日に新宿まで行きましたよ。主演の壇蜜に逢いたくて(笑)。

河崎:あれはねー、まだ壇蜜がブレイクする前にオファーしたんだよね。アイドルには軒並み断られたんだけど、彼女は受けてくれたんだよ。で、壇蜜だから、設定を「未亡人」に変えたの。

チャ:あ、そうなんですか! てっきり「ダン隊員!」って森次晃嗣さん(=『ウルトラセブン』モロボシ・ダン役)に言わせたいがためのキャスティングかと……

河崎:あ、逆、逆。壇蜜の出演が決まったから、森次さんに声を掛けたの。あの人とはツーカーの仲だから(笑)。

相澤:いやー、チャッピーさん、映画の話、止まりませんね!

チャ:いやだって、こんな機会、滅多にないもん(笑)。瞬くん、つないでくれてホントにありがとう!……で、本題なんだったっけ?

相澤:「若大将」です!(笑)

チャ:あ、そうだった!……カントクすみません、じゃ新作の情報は、後ほど改めてということで、加山さんの話にいってイイですか?

河崎:イイですよ、なんでも聞いてよ!

■すべては1966年に始まった

(♪若大将ソング、ターンテーブルで回しつつ)

チャ:カントクは、加山さんのベスト盤を監修されたり、楽曲の解説本も共著で出されてますけど、自主映画時代に、自分主演で「若大将映画」も撮ってますよね?

河崎:『イキナリ若大将』ね。田沼雄一ならぬ「南郷勇一」と名乗って、若大将になりきって撮りましたよ。相手役に、聖心女子大のコをキャスティングしてね。

相澤:やりたい放題じゃないですか!(笑)

チャ:資料見ると、かなりの美女なのよ。いいなー(笑)。そもそもカントクが、若大将に惹かれたきっかけは?

河崎:すべては、1966年(昭和41年)に始まるわけよ。東宝の正月映画は『エレキの若大将』。併映が、特撮を円谷英二監督が担当した『怪獣大戦争』。映画史上、最強のタッグですよ。

チャ:河崎監督は58年生まれだから、当時8歳、小学生ですね。

河崎:そう、TVでは『ウルトラマン』の放送が始まって、マンガは『オバケのQ太郎』に『おそ松くん』。野球はONの全盛期で、さらにこの年、ビートルズが来日するわけ。

チャ:考えてみれば、いま我々が享受してる文化のルーツって、全部この1966年に生まれてるんですよね。自分はまだお腹の中にいたんで、ぜんぶ後追いなんですけど、カントクはぜんぶリアルタイムだもんなー。羨ましい……。

相澤:カントクって、若大将を地で行くお坊ちゃまだったんですよね?

河崎:そう、若大将は、実家が明治から続くすき焼き屋「田能久」の息子っていう設定だけど、僕はふぐ料理屋の息子だったから、親近感があったねー。

チャ:瞬くんは「若大将シリーズ」って、なんか観たことあるの?

相澤:僕、ちゃんと観たことないんですよ。カントク、どれから観たらいいですか?

河崎:まず初期の3本=『大学の若大将』(61)『銀座の若大将』(62)『日本一の若大将』(62)を観てほしいね。本来はこの3本で終わるはずだったんだけど、好評で終われなくなったんだよ。なので第4弾以降は設定が変わるだけで、ストーリーは基本同じ(笑)。

相澤:そうなんですか(笑)。1本だけということなら?

河崎:さっきも言った、66年の『エレキの若大将』かな。

チャ:自分も『エレキの若大将』、大好きなんですよ! 加山さんの演奏はもちろんだけど、「エレキの神様」寺内タケシさんがそば屋の息子役で出てるし、若き日の内田裕也さんが『勝ち抜きエレキ合戦』の司会者役で出てくるし……

相澤:えー、あの「シェキナベイベー」の内田裕也さんですか? 観たい!(笑)どんなストーリーなんですか?

河崎:若大将がアメラグ部(=アメフト部)の次期キャプテンに決まって宴会をするんだけど、その帰りに、田中邦衛演じる青大将が飲酒運転で事故起こすんだよ。で、若大将は青大将に泣きつかれて、身代わりになるんだな。

相澤:えー! 今だったら、ありえない設定ですねー。

河崎:で、賠償金を払うために、勝ち抜きエレキ合戦に出て、賞金10万円をゲットしようって話になるんだけど、なぜか楽器の上手いメンバーがホイホイ集まってきて、スイスイ勝ち抜いちゃうという……

相澤:なんて強引なんだ(笑)。

チャ:こういう「話が早い」ストーリー展開って、個人的に大好きなんですけど、カントクも影響受けてますよね?

河崎:受けてるね。若大将映画ってだいたい本編が90分なんだけど、僕の映画もそんなもんで、2時間ないんだよ。なんせレイトショー公開が多いから、あんまり長いと、遠くから来てるお客さんが終電なくなるんだよね(笑)。

チャ:でも、映画ってそのくらいがちょうどいいですよねー。リアルタイム世代の目には、加山さんってどんなふうに映ってたんですか?

河崎:加山がすごかったのは、まだシンガーソングライターがほとんどいなかった時代に、自分で曲作って、モズライト弾いて、映画の中で歌って、しかもイイ男……そんなすべて揃った人物、他にいないわけだよ。まさに驚異の存在だったし、憧れたねー。

チャ:カントク、いま「加山」っておっしゃいましたけど……いつもそうやって呼ぶんですか?

河崎:ああ、我々コアなファンの間では、「加山」って呼ぶのがクールなんですよ。

チャ:なんか「若大将=自分の身内」っていう感じがして、イイですねー。ステキだー。

相澤:この映画観て、エレキギター始めた人も多いと思うんですけど、カントクは楽器やらなかったんですか?

河崎:あ、僕はやらなかったね。楽器より、映画撮ってる方が楽しかったから。

チャ・相澤:カッコイイ!

河崎:あと、忘れちゃいけないのは、『エレキの若大将』は『君といつまでも』を生んだ作品だから。

チャ:それに尽きますよねー。いやー、全然話し足りないんで、カントク、また来週もお願いします!

河崎:OK! じゃ、ビールもう一杯!(笑)

……次回もスペシャルゲスト・河崎実さんとともに、若大将ソングについてあれこれ語ります! お楽しみに!

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今回お邪魔したお店:「大陸バー 彦六」
東京都杉並区高円寺北2-22-11-2F
JR中央線・総武線高円寺駅北口より徒歩4分
営業時間:金・土 18:00~26:00 日・月・水・木 18:00~24:00
火曜定休 地図・ライブ予定などはホームページにて
http://www.ukuleleafternoon.com/hiko6/

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▼相澤瞬 おすすめライブ情報はこちら!▼
7月22日(日) 吉祥寺シルバーエレファント
◆プラグラムハッチ レコ発&改名10周年記念企画
「TOKYOトレンディナイト」
open 17:30 / start 18:00
前売券 ¥2,500(1D別) /当日券 ¥2,800(1D別)
■前売券のメール予約はプラグラムハッチ official HPにて
http://plugramhatchi.com
■シルバーエレファント店頭でも販売しております。
【出演】
プラグラムハッチ、姫乃たま、弱虫倶楽部、かなまる、オワリズム弁慶、テジナ

8月12日(日)吉祥寺シルバーエレファント (ニュー昭和万博)

◆ニュー昭和万博 レコ発ディナーショウ
レコ発 ワンマンディナーショウ
「新人類の進歩と調和 2018」
開場18:00/開演19:00
前売券 ¥2,500(1D別) / 当日券 ¥10,000(5D別)

■前売券のご予約はnewshowa@gmail.com、吉祥寺シルバーエレファント店頭、Twitterで受付中!

【チャッピー加藤/Chappy Kato】

昭和42年(1967)生まれ。名古屋市出身。歌謡曲をこよなく愛する構成作家。好きな曲を発売当時のドーナツ盤で聴こうとコツコツ買い集めているうちに、いつの間にか部屋が中古レコード店状態に。みんなにも聴いてもらおうと、本業のかたわら、ターンテーブル片手に出張。歌謡DJ活動にも勤しむ。
好きなものは、ドラゴンズ、バカ映画、プリン、つけ麺、キジトラ猫。

【相澤瞬/Shun Aizawa】

昭和62年(1987)生まれ。千葉県出身。懐かしさと新しさを兼ね備えた中毒性のある楽曲を、類い稀なる唄声で届けるシンガーソングライター。どこまでもポップなソロ活動、ニューウェーヴな歌謡曲を奏でる「プラグラムハッチ」、 昭和歌謡曲のカバーバンド「ニュー昭和万博」など幅広く活動。
好きなものは、昭和歌謡、特撮、温泉、うどん、ポメラニアン。

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