しゃベルシネマ

終わりなき“伝説”のはじまり『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ アディオス』

【しゃベルシネマ by 八雲ふみね 第449回】

さぁ、開演のベルが鳴りました。
支配人の八雲ふみねです。
シネマアナリストの八雲ふみねが、観ると誰かにしゃベリたくなるような映画たちをご紹介する「しゃベルシネマ」。

今回は、7月20日に公開された『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ★アディオス』を掘り起こします。


あれから18年、世界中を熱狂させた彼らが帰ってきた!


ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブは、キューバのベテラン歌手や音楽家たちで結成されたビッグバンド。当時90代のギタリストを筆頭に、平均年齢78歳の彼らが1997年に発表したアルバム「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」は、ワールドミュージックのジャンルとしては異例の400万枚を売り上げ、グラミー賞も受賞。さらに、巨匠ヴィム・ヴェンダース監督が彼らの姿を追いかけた、同名の音楽ドキュメンタリー映画も公開され、世界中を熱狂させました。日本でも2000年に公開され、ミニシアターの枠を超える大ヒットを記録したことを記憶している方も多いことでしょう。

この映画がきっかけで、キューバ音楽が注目を集めてサルサダンスのブームが席巻し、ハバナクラブ(ラム酒)の売り上げが伸び、果てにはキューバへの直行便がスタートするなど、日本でも社会現象を巻き起こしたものです。そんな伝説的ドキュメンタリー映画の続編が18年の時を経て完成しました。


グループによるステージでの活動に終止符を打つことに決めた現メンバーは、2016年に“アディオス(さよなら)”世界ツアーを決行。ライブシーンはもちろんのこと、前作ではカットされた秘蔵映像を交えながら、メンバーたちの音楽的ルーツやキューバ音楽の歴史とカルチャーの魅力に迫ります。

監督は『ヴィック・ムニーズ ごみアートの奇跡』でアカデミー賞長編ドキュメンタリー賞に、『津波そして桜』で同賞短編ドキュメンタリー賞にノミネートされたルーシー・ウォーカー。前作でメガホンを取ったヴィム・ヴェンダースは制作総指揮に回り、才能あふれるドキュメンタリー作家を力強くバックアップしています。


キューバの激動の歴史とともに歩んできたメンバーたちの波乱万丈の人生。高齢になってから世界的に大ブレイクしたことへの戸惑いと心情。そして人生の年輪を重ねた彼らだからこそ奏でられる、芳醇な演奏。

前作を観た時に「世の中には、こんなスゴイおじいちゃんたちがいるんだ!」と驚いたものですが、今作でも老ミュージシャンたちのパワフルさは健在。彼らがいかに音楽を愛し、音楽の神に愛されたかがスクリーンから伝わってきます。


華やかな栄光の日々を追いかける一方で、メンバーの“老い”や“死”にも斬り込んでいる本作。死の数日前までステージに立ち続けた人、認知症を抱えているのにピアノの前に座ると完璧な演奏を披露する人、惜しまれながらも天寿を全うした人。彼らには常に音楽があり、待っている観客がいる限り、命を削ってでもステージに立ち続ける。

私たちが持つ人生観さえも覆すようなカッコいい生き様に触れてみて。


ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ★アディオス
2018年7月20日からTOHOシネマズ シャンテほか全国順次公開
監督:ルーシー・ウォーカー
制作総指揮:ヴィム・ヴェンダース
出演:オマーラ・ポルトゥオンド(ヴォーカル)、マヌエル・“エル・グアヒーロ”・ミラバール(トランペット)、バルバリート・トーレス(ラウー)、エリアデス・オチョア(ギター、ヴォーカル)、イブライム・フェレール(ヴォーカル) ほか
©2017 Broad Green Pictures LLC
公式サイト http://gaga.ne.jp/buenavista-adios/

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