イギリスはEUから「穏健な離脱『ソフトブレグジット』に軌道修正」と言うが、そうはいかない?

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(7月13日放送)に外交評論家の宮家邦彦が出演。イギリスのEUからの離脱をソフトブレグジットに軌道修正したことに関して解説した。

イギリスが「ハードブレグジット」から「ソフトブレグジット」へ軌道修正

イギリスのメイ政権は12日、EU(ヨーロッパ連合)離脱の交渉方針をまとめた白書を発表した。6月の内閣合意に基づいて、EUからの独立を重視するこれまでの強硬な離脱「ハードブレグジット路線」を軌道修正し、協調を優先した穏健な離脱「ソフトブレグジット」の傾向を明確にしている。

飯田)なんでもかんでも離脱というわけではなく、一部関税同盟のようなものを残すとかそういうことなのですか?

宮家)残すといってもイギリスがそう言っているだけで、EUの他の国は「何を言っているんだ」という感じですよ。ソフトもハードも離脱は離脱なので、本来は関係無いだろうと。いままでの手当てや保証なんてないというのがハードブレグジット派で、それに対してソフト派は「いままで一緒にやってきたのだから仲良くやりましょうよ」と。だけどそれは虫のいい話ですよね。

飯田)EU側はそう思っていますよね。

宮家)イギリスは連合王国で一枚岩に見えるけれども、中身は全くバラバラですよね。だってFIFA ワールドカップにしたってバラバラでしょう。だからこの国というのは良い意味で分権がしっかりしていて、いろいろな意見があるわけです。2016年の国民投票でも、スコットランドはEU離脱に反対だったのですよね。それくらい割れているので、こうなるのは当たり前の話です。それはメイさんからすればなんでもかんでもハードにやるのは良くない、そうおっしゃるのもわかるけれど、そんな簡単にやらせてもらえるとは思わない。だから彼女は大変だと思います。

飯田)ハードブレグジット派のジョンソン外相が辞めてしまったりなんかして、ガタガタしていますよね。そこへトランプ大統領が今度来る。

テリーザ・メイ メイ首相 メイ トランプ大統領 トランプ ドナルド・トランプ

テリーザ・メイ首相(中央)、ボリス・ジョンソン(左、辞任した英外相)、トランプ米大統領(右)=2017(平成29)年5月25日、ベルギー・ブリュッセル(ロイター=共同) 写真提供:共同通信社

イギリス人には嫌われ者のトランプ大統領

宮家)この人もまたイギリスでは評判が悪いのでね。ロンドンに少し寄って郊外に出るらしいのですが、どこへ行ってもデモがあると思います。どうしてあんなに嫌われるのでしょうね。

飯田)ザ・アメリカな感じがイギリス人には良くないのですか?

宮家)イギリスだってアメリカを作ったから人のことは言えないと思うのだけれど、ああいう型破りな人はイギリスでは受けないみたいです。

飯田)EUからすると、ここで甘い顔を見せると他の国も独立してしまいますよね。

宮家)そうです。EUのなかだってバラバラですから、イギリスを許したら次から次へとなるわけなので、そこはしっかりけじめをつけるべきと思っている国は多いと思います。

飯田)いずれにせよ、あまり良い方向にはいかないような。

宮家)元々イギリスはEECのメンバーではないですから。その後苦渋の選択として大陸に入ってきたわけだけれど、やはり無理だったというわけですね。

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