日本一の「おんせん県・大分」で食べる九州一の駅弁!~大分駅「山海三昧」(1,296円) 【ライター望月の駅弁膝栗毛】

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福岡・久留米と大分を結ぶ「JR久大本線(きゅうだいほんせん)」の特急「ゆふ」。
博多~大分・別府間で1日3往復、JR九州のコーポレートカラー「赤色」に包まれた3両編成のキハ185系気動車によって運行されている特急列車です。
「ゆふ」は久大本線の看板観光特急「ゆふいんの森」が走らない時間帯をカバー、由布院周辺の観光輸送を支えます。
乗車したのは6月の平日ということもあって、指定席が外国人観光客によって概ね埋まっていた程度。
7月に入って割安な旅行券も出てきましたので、時間と余裕と温かい気持ちのある方は、ぜひ熊本・大分に足を運んで欲しいものです。

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久大本線は、様々な個性的な駅舎が目を引く路線でもあります。
特急「ゆふ」も停まる「豊後中村(ぶんご・なかむら)駅」(大分・九重町)は、珍しい「茅葺き」の駅舎を持つ駅。
平成22(2010)年の改築によって生まれた新しい駅舎ではありますが、この地域には茅葺きの職人さんが健在なんだとか。
職人さん、普段は吉野ケ里遺跡の復元作業など、各地で活躍されているといいます。
この豊後中村は日本一高い歩行者用の吊橋として知られる「九重”夢”大吊橋」の玄関口で、筋湯温泉方面への路線バスも出ています。

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そして何より黒い駅舎と高い吹き抜けが印象的な、由布院温泉の玄関口「由布院駅」。
4月に起きた熊本地震の余震で駅舎の一部が被害を受けましたが、既に修復も完了しました。
地元・大分の建築家の方の設計で「改札口」を設けず、ギャラリーとなっている駅舎からホームまでフラットに繋がっています。
1番のりばには「足湯」(入場券160円が必要)も設置されていて、ローカル線の列車をのんびり待つにはピッタリ!
今後、由布院駅舎は増築工事が行われると伝えられており、来年以降は駅の周辺がまた違った雰囲気になるかもしれませんね。

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由布院・別府をはじめ、日本一のおんせん県を自称する大分ですが、実は食も日本トップクラス!
関サバ、関アジ、豊後牛、椎茸などはもちろん、唐揚げ・とり天に代表される鶏肉文化も有名。
長年の一村一品運動もあって、全国に広く知られた食材が多いのも強みと言えましょう。
そんな大分のグルメが「寿司」という形で、1つの折詰にギュッと詰まった大分駅弁が「山海三昧」(1,296円)。
平成27(2015)年に行われた「第11回九州駅弁グランプリ」で、大分勢としては初めて1位に輝いた駅弁です。

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掛け紙を外すと、特注の経木の折詰に、大分の”食材オールスターズ”が登場!
大分県の誇る食材を「玉手箱」のように詰め込んだという栞、「山海三昧」という名前に恥じないラインナップです。
センターには、炙りさば、鯛、海老、椎茸のバター焼きが1カンずつ。
さらに湯布院牛の炙り焼きが3カン、とり天にぎりが1カン入って、おかずが脇を固めます。
調製は元々大分市内の公設市場で営業していた「寿し由」で、JR九州リテールが販売を担い、大分駅改札外の「にわさき市場」などで販売されています。

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「大分県を握る」をテーマに作られ、特にこだわったと伝えられているのが「湯布院牛」。
「湯布院牛」とは豊後牛の中でも湯布院の指定された牧場で肥育されたA4ランク以上のもの。
「寿し由」では生産農家に直談判して協力を取り付け、駅弁の食材として使うことが可能になりました。
付添えの柚子胡椒はお好みで使うことが出来ますが、そのまま頬張っても口の中でトロ~んとなっちゃいそう・・・。
駅弁で”寿し”というと押寿しが多い中での「にぎり」、ネタの美味しさはもちろん、シャリもキュッと大き過ぎず上品で好印象です。
これを1,300円弱でいただくことが出来るのは有難い限り!!

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そんな由布院の知る人ぞ知る食材「湯布院牛」にちなんで、今回は知る人ぞ知る由布院の温泉も紹介!
由布院駅から1駅大分よりの「南由布(みなみ・ゆふ)駅」にやってきました。
訪れた日は熊本・大分周辺が豪雨だったのですが、ホームに降り立つと止み間に由布岳が姿を見せてくれました。
天気が良ければ、大分方面行の列車は由布岳をバックに入線してくるので、なかなかいい雰囲気の写真が撮れそう。
お洒落な駅あり、レトロな雰囲気な駅あり、こういった素朴な駅ありと、バラエティに富んだ駅舎も魅力な「久大本線」です。

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お世話になったのは、南由布駅からクルマで10分少々山間に入った所にある一軒宿「奥湯の郷(おくゆのさと)」。
前日までの予約で由布院駅から送迎していただくことが出来ます。
今回は到着が遅くなってしまったため、一番の最寄り駅・南由布に迎えに来ていただきました。
玄関脇には近くの源泉から引かれたお湯が湯けむりと共にジャンジャン溢れ、温泉情緒を感じさせます。
ココに注がれているお湯は、無色透明のお湯なのですが・・・ひと晩明けて、お風呂に行ってみますと?

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なんと、青みがかったお湯に変わっているのです!!
訪れた日は曇天で気温条件も悪かったのですが、条件が揃えばもっと美しい「ブルーハワイの青」が見られることもあるそう。
「奥湯の郷」の温泉は、99℃、ph8.8、成分総計1,798mg/kgのナトリウムー塩化物泉が毎分451リットル自噴。
メタ珪酸と呼ばれるガラスの成分が比較的多めに含まれているのが、「青く」見える理由と言われています。
分析表上では”塩系”の温泉ということになるのですが、海辺の温泉ような塩辛さはなくややトロッとした肌触り。
ただ、入浴後に汗がなかなか引かないところで、やっぱり「塩の温泉」なんだと実感出来ます。

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温泉棟の脇には「湯雨竹(ゆめたけ)」と呼ばれる、大分・別府発祥の装置がありました。
これは温泉を上から流し、竹を通じて流れ落ちる間に温度を下げる装置で、最近は各地の「高温」の温泉地でも見られるようになりました。
熱い温泉の場合、加水して温度を下げることも多いのですが、それでは効能豊かな温泉の成分は薄まってしまいます。
そこで100%源泉かけ流しにこだわる宿などは、「湯雨竹」や熱交換装置などを使って、温泉を入りやすい湯温に下げているんです。
訪れた日は気温も低く、夜中に大雨が降ったりしたため稼働していませんでしたが、状況に合わせて使用しているとのこと。
ちなみに、毎分451リットル湧いている温泉の多くは食事で出されるきくらげ、椎茸などの自家栽培に使い、合わせてお風呂に使う程度。
そのまま捨ててしまうお湯も多いのだそう・・・「おんせん県」ならではのなんとも贅沢な悩み!!

秘湯とも言える山中なのに、館内には無料Wi-fiも飛んでいて、素朴ながらも快適な「奥湯の郷」。
由布院中心部の高級宿とはひと味違った雰囲気とお湯、1人でも1万円台前半でリーズナブルにユニークなお湯を楽しめる宿です。

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再び特急「ゆふ」に揺られて大分へ・・・。
次回は豊肥本線に乗って。世界有数の「炭酸」の温泉を目指します。

「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
「ライター望月の駅弁膝栗毛」
(取材・文:望月崇史)

【ごあいさつ】
はじめまして、放送作家の望月崇史(もちづき・たかふみ)と申します。
ニッポン放送には、昔の有楽町の社屋の頃から、かれこれ20年お世話になっています。
最近では、月~木・深夜24時からの「ミュ~コミ+プラス」で放送された、
ルートハンター」のコーナーに、5年ほど出演させていただきました。

そんな私がライフワークとしているのが「駅弁」の食べ歩き。
1年間に食べる「駅弁」の数は多い年でのべ500個。
通算でも4500個を超えているものと思います。
きっかけとなったのも、実はニッポン放送の番組。
2002年~05年に放送された「井筒和幸の土曜ニュースアドベンチャー」の
番組ウェブサイトで「ライター望月の駅弁膝栗毛」を連載することになり、
本格的に「全国の駅弁をひたすら食べまくる生活」に入りました。
以来、私自身のサイトや、近年は「ライター望月の駅弁いい気分」というブログで
「1日1駅弁」を基本に「駅弁」の紹介を続けています。
”駅弁生活15年目”、縁あってニッポン放送のサイトで連載させていただくことになりました。
3つの原則で「駅弁」の紹介をしていきたいと思います。

①1日1駅弁
②駅弁は現地購入
③駅弁のある「旅」も紹介

「1日1駅弁」ですので、日によって情報の濃淡はありますが、
出来るだけ旬の駅弁と鉄道旅の魅力をアップしていきますので、
ゆるりとお付き合い下さい。

【プロフィール】

望月崇史(もちづき・たかふみ)望月

1975年12月8日静岡県生まれ。
早稲田大学在学中から、ニッポン放送で放送作家に。
卒業後の2002年「井筒和幸の土曜ニュースアドベンチャー」の番組サイトで始めた
ライター望月の駅弁膝栗毛」をきっかけに、全国の駅弁食べ歩きをスタート。
以来およそ15年、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。
1日1駅弁のウェブ紹介を日課とし、これまでに食べた駅弁は4500個以上。
ニッポン放送「ミュ~コミ・プラス」ルートハンター、鉄道特番などにも出演。
丸の内朝大学・温泉クラスの講師も務める。