トランプ大統領の発言から現実的に~中朝「在韓米軍撤退促進計画」

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(7月6日放送)に外交評論家の宮家邦彦が出演。在韓米軍の今後について解説した。

中国と北朝鮮が在韓米軍撤退を促す方向で一致か

北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長が6月中旬に中国の習近平国家主席と会談した際、将来的に在韓アメリカ軍の撤退を促すため、両国が戦略的に協力する方針で一致したことがわかったと朝日新聞が報じている。アメリカのポンペオ国務長官は、今日にも北朝鮮を訪れる予定だが、中国と北朝鮮は米朝交渉を急がない方針でも一致したという。

飯田)戦略的に協力と言っても、前からやっていることだと思いますが、これが出てきたというのは?

宮家)中国にとっては、長い夢ですよね。1840年にアヘン戦争に負けて、香港も取られてめちゃくちゃになったでしょう。それで太平天国の乱や義和団事件、革命を2回やって、ずっと西洋からやられてきた屈辱の歴史をどうやって晴らすかということは。アジア大陸で米軍が駐留しているところは韓国だけですから。日本はその外なので。目の上のたん瘤だったと思いますよ。ですから米軍に退いて欲しいのは当然のことで、北朝鮮と利害は一致しています。
中朝の仲が良くて信頼し合っているとは思わないけれど、少なくとも米軍を撤退させるという戦略的な方針については、共通していますよね。こんなことは昔から言われていることで、現実になるとは思っていなかったのだけれど、トランプさんが勝手に判断して在韓米軍の撤退のことまで喋っちゃった。中国からしたら「馬鹿じゃないか」と思っていると思いますよ。アメリカはこのままだと何もせずに不戦敗になりますから、ポンペオさんは頑張ってね、ということです。

米国には守ってほしいが、北朝鮮とも仲良くしたい韓国

飯田)在韓米軍の撤退。いまは、韓国軍を含めて有事の指揮権というのはアメリカにありますけれど、そこをまずは返上というところですよね。

宮家)これには韓国にもずるいところがあって、アメリカには守ってもらいたいけれど、北とも仲良くしたいというかなり難しいことを言っている。わからないではないのですが。もう一つの問題は、トランプさんが在韓米軍のことについて喋ったときに、在韓米軍の関係者は勿論、韓国政府も知らなかったわけです。そういうところが、安全保障に関する敏感な感覚がないなとつくづく思います。

飯田)一言発すると、取り返しがつかなくなるのに。

宮家)国内的にはかっこいいことを言っているつもりなのでしょうが、対外的にどれだけ影響があるかを考えてもらわないと困りますよね。

飯田)朝鮮半島で言うとかつて国務長官が「このライン」と言ったら、刺激されて北朝鮮が攻めてきたということがありました。

宮家)アチソン・ラインですね。そういう状況を繰り返してはならないと思います。

飯田)コストの面にまで言及してしまいましたね。「金がかかるから撤退するんだ」と。

宮家)金はかかりますよ。安全保障は。でも短期的なお金と比べて、中長期に得られる利益をどうしてわからないのか、とアメリカの学者は言っていますよ。決して我々だけが言っているだけじゃなく、アメリカの国内でもいろいろな議論があるわけだけれども、トランプさんは気にも留めない。自分の支持層だけ見ているから、これでどうなるのか心配です。

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