森永卓郎が提言~外国人労働者が日本経済に与える深刻な影響

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これまで日本は外国人には日本人と競合する単純労働を認めてこなかったが、安倍政権では今後、外国人単純労働に門戸を開く方針を打ち出している。そうなると、近い将来どんなことが起きるのか? 「垣花正 あなたとハッピー!」(6月27日放送)に経済アナリストの森永卓郎が出演し、外国人労働者の現状と今後について解説した。

外国人単純労働に門戸を開く日本~骨太の方針に明記

5月30日の日本経済新聞の一面トップは「外国人単純労働に門戸を開く」という記事でした。
これまで日本は、日本人と競合する単純労働においては外国人は受け入れないという方針を貫いてきましたが、それを大転換するということです。先月末の骨太の方針の中にも書かれています。何をやるかというと、技能実習の修了生に特定技能評価試験を作り、合格した外国人に対しては建設、農業、介護、宿泊、造船の人手不足が深刻な5業種で、最長5年の修了資格を与えるという新しい在留資格を作ることを決めました。2025年までに50万人以上の労働力を確保するという方針です。
人手不足だから、外国人で穴埋めをしましょうということです。

9年前49万人だった外国人労働者が現在は128万人

これまでなし崩しにやってきたものを、合法化するという方針なのです。とてつもない勢いで外国人労働者が増えていて、9年前は49万人だったものが、現在は128万人です。因みに四半世紀前は10万人でしたので、25年間で13倍に増えている。

単純労働は認めないはずなのになぜ外国人労働者が増えているのか

単純労働者を入れないって言っているのに何で増えているのか。増加の要因は2つあります。1つは技能実習生。この技能実習というのは本来は国際貢献の一環でした。発展途上国から日本にやって来て、鋳造だとか溶接だとか技術を覚えて帰って、「国の発展のために貢献してください」という制度だったのですが、現状はまったく違うことになっています。例えば建設現場で、ずっと鉄筋運んでいるだけとか。それでは技能が身に付かないですよ。北海道で3年間ずっとスケトウダラ捌いているだけで、周りはパートのおばちゃんがやっているとか。それは違うだろと思いますが、増えているのが実情です。
制度上、最長でも5年で帰らなくてはいけないのですが、それをさらに延長して後5年働けるようにしようとしています。

居酒屋やコンビニで働く外国人は技能実習生ではなく留学生のアルバイト

居酒屋やコンビニでの外国人労働者は実技能実習ではなく留学生です。留学生には特別枠があって、週28時間はアルバイトして良いとされています。夏休みなど学校が休みの期間は週40時間。普通のサラリーマンの所定労働時間も週40時間なので、フルタイムで働けちゃうわけです。そんなフルタイムで働いて勉強できるわけがない。

こういう形でなし崩し的に外国人労働者を増やして、さらに今回試験を通れば、先ほど述べた5業種で就業資格を与えるのですが、こういうことをして外国人労働者を増やすと大変なことが起こると私は思っています。

高度成長期に外国人労働者を増やしたヨーロッパ~労働需要が落ちると真っ先に切られる外国人

高度成長期にヨーロッパは旧植民地から外国人労働者をどんどん受け入れました。ドイツはトルコから、イギリスはインド、フランスは北アフリカ諸国から。高度成長期はそれでよかった。ところが高度成長が終わった瞬間、労働需要が落ちました。そうすると、真っ先に切られたのは外国人でした。
リーマンショックのあと、日本でも同じことが起こりました。派遣切りも起きましたが、外国人がバッサバッサ切られたんですね。私は反則だとは思いますが、現実には景気の調整弁なので、「日本人の社員の首を切るぐらいだったら、外国人切ってしまえ」という行動が現に起こったわけです。
いまは日本も景気が良くて人手不足ですが、景気は循環しますから、駄目になった時にバサッと切る。

マリーヌ ル ペン ルペン

マリーヌ・ル・ペン – Wikipediaより

失業した外国人労働者による問題が噴出~その結果生まれる深刻な差別

そうなると治安の問題や、失業対策の問題、住宅の問題などいろいろな問題が噴出します。ドイツでは何をしたかというと、ドイツでは高度成長期が長く続いたものですから、子供が生まれたわけです。トルコ人の子供はドイツ語環境の中で育っているので、完璧なトルコ語は喋れない。どうするかと言うと、わざわざドイツ政府はトルコ人の子供の為のトルコ語教室を作って、別途教育をして、トルコに帰すために、トルコの家の建設資金をドイツ政府が出すという凄いことまでしました。結局それでも返しきれずに、ずっと残ってしまった。残ってしまうと何が起こったかというと、そこに猛烈な差別が起こっているのです。いま、フランスでもドイツでも、イギリスでも、極右勢力がどんどん出てきています。例えばフランスのルペンという国民戦線党首が「すべての諸悪の根源は外国人だ、あいつらを排除しろ」と言ってすごい支持を受けています。

外国人を差別する人間は存在する

99%以上の方は、外国人を差別しようなんて夢にも思ってないと思いますがいるのです、世の中には。そういう人を完全に排除しないと、外国人労働者を増やすという選択をしてはいけないと私は思います。

もし外国に雇用機会を与えるのであれば、日本の工場がアジアなどに出て行って、そこで現地の人を雇ってあげるという方が、私はずっといいと思います。

垣花正 あなたとハッピー!
FM93AM1242 ニッポン放送 月-金 8:00-11:30

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