JR九州が誇る豪華スイーツ列車!~JR九州・或る列車「大分コース」(30,000円) 【ライター望月の駅弁膝栗毛】

今、話題の列車といえば「食」がテーマの観光列車。
全国各地どの列車も人気で、なかなか予約が取れないのが悩ましいところです。
そんな人気列車の1つがJR九州の「或る列車」・・・なのですが、4月の熊本地震直後は空席が続々と発生。
このためJR九州の「或る列車」の公式サイトでは、急きょ追加発売が行われました。
「これは『或る列車』に乗れるチャンス!」ということで、6月下旬に大分県内で「或る列車」に乗車してまいりました。

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「或る列車」は、JR九州が平成27(2015)年夏から走らせている「スイーツ」をメインにした豪華観光列車です。
去年夏と今年春は大分~日田(ひた)間の「大分コース」、去年の秋・冬と今年夏以降は長崎~佐世保間の「長崎コース」で運行されています。
名前の由来となった「或る列車」とは、明治39(1906)年に当時の「九州鉄道」がアメリカのブリル社に豪華客車を発注したものの、国有化で活躍する機会がなかった”幻の客車”のこと。
当時の日本で最も豪華な設備を備えていた列車といわれ、現存していたのは世界的な鉄道模型愛好家・故・原信太郎氏が作った模型のみでした。
この「模型」を元に水戸岡鋭治さんがデザイン・設計、「ななつ星 in 九州」に次ぐ豪華列車として運行を始めたのが「JR KYUSHU SWEET TRAIN 或る列車」なのです。

*以前の記事にて「或る列車」の模型についてご紹介しております。↓↓
日本最大級の鉄道イベント「グランシップトレインフェスタ2016」①~浜松駅「三ケ日牛&遠州しらす弁当」(1,030円) 【ライター望月の駅弁膝栗毛】

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「或る列車」は全席が「旅行商品」として販売されます。
JR九州販売分の席を購入、乗車するには、大まかに以下のようなステップがあります。

①「或る列車」のウェブサイトで「先行予約」する。

②先行予約の抽選に外れたら「或る列車ツアーデスク(092-289-1537)」に電話して「一般発売分」を押さえる。

③ツアーデスクから電話があり、申し込み内容の確認、クレジットの決済などが行われる。

④ツアーの概要やパンフレットなどが宅配便で送付される。

⑤乗車10~14日前に小さいクリアファイルに入った「最終日程表」が送付されてくる。(乗車日の前日10日前からキャンセル料発生)

⑥この「最終日程表」(画像)を乗車駅の有人改札で見せて乗車する。

今回のように「空き」がある場合は、JR九州では乗車日3日前まで販売を行っているそう。
他に旅行会社持ちの席もあるので、JR九州分が完売でも各旅行会社の「或る列車」を含むツアーをチェックしてみるのがイイと思います。

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「大分コース」の午前便は大分を9:46に発車し、久大本線を経由して終点・日田に12:07着、午後便はこの折り返しとなります。
列車は大分駅7番のりばに入線、9:18頃から乗車可能になるのですが、実はこの日、大雨のために久大本線が運転見合わせに・・・。
こういった時は「ツアーデスク」から携帯に運行状況の電話があり、当初は午後まで運休、その後雨量規制の無い「向之原(むかいのはる)駅・折り返し」と連絡がありました。
そんなこんなで今回はバタバタしながら「或る列車」に乗車・・・てことで、画像は去年秋に撮影した「長崎コース」の乗車風景を。
実は望月「或る列車」は2回目でして、赤じゅうたんを踏みしめて1号車から乗り込むのは長崎とほぼ同じでした。

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1号車に乗り込むと「ななつ星in九州」と同じ作りの格(ごう)天井が目を引きます。
四つ葉のクローバーがあしらわれており、何か所か3つ葉や5つ葉が隠れているとのこと。
この車両にはハートマークが至る所にあしらわれ、ロマンチックで明るい雰囲気の車内です。
メープル材を使ったシートは2人席と4人席があって、共にメープル材を使用しています。

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1号車の車端部には厨房があって、発車前ですが早くもスイーツの準備が始まっていました。
一方、2号車の車端部にはドリンクカウンターがあり、コチラもウェルカムドリンクの準備が・・・。
「食」をテーマにした観光列車の旅は、この「調理過程」を見られることがイチバンのスパイス!
乗車した瞬間から「見せる仕込み」が行われていると、一気に気持ちが高まってきますよね!

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今回、座席指定を受けた2号車は落ち着いたウォールナットの格子で組まれた2人個室が4部屋ずつ左右に並んでいました。
この格子の技術も「ななつ星in九州」で使われたものと同じ!
うち21・22番の個室は窓割りの関係か「1人用」になっていて、1人利用では最安の基本プラン「30,000円」で販売されています。
ツアータイプの観光列車ですと「2人から」という商品が多い中で、「或る列車」は1人でも乗れるのがホントに嬉しい!!
私の座席には、既に食事のオープニングを飾る「bento」が置かれていました。

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さあ、鐘を持ったアテンダントさんがホームに登場。
この鐘を鳴らして「或る列車」、いよいよ発車です!

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席に着くと、アテンダントさんがウェルカムドリンクとスープを持ってきてくれました。
「或る列車」では1両に3名のアテンダントさんが付いていて、そのうち1人がほぼ専属的にもてなしをしてくれます。
食事~スイーツ中は程よい距離感で料理の解説などをしてくれるほか、フリードリンクのおかわりなどにも対応。
食事が済むとお客さんに積極的に話しかけて下さるので、1人で乗ってもまず退屈することがありません。
九州の観光列車(D&S列車)のアテンダントさんは、このお客さんとの”間の取り方”が非常に洗練されているように思います。

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スイーツ列車として知られる「或る列車」ですが、実は「軽食」から始まりスイーツ3品、お茶菓子などのコース料理が提供されます。
このコースのプロデュースを務めるのは、東京・南青山のレストラン「NARISAWA」のオーナーシェフ・成澤由浩(なりさわ・よしひろ)氏。
レシピの考案、調理クルーへの指導、実際に九州各地を歩き生産者と会った上での食材チョイス、食器の選定も行っています。
料理は毎月変わるため、まず乗る度に「違う料理」が食べられると言っても過言ではありません。
なお「軽食」と謳われてはいますが、それなりに量があり、事前案内では「乗車前の食事は軽めに・・・」という注意書きもあるほどです。

【ドリンクメニュー】
スパークリングワイン(宮崎・都農ワイン)
白ワイン(宮崎・都農ワイン)
赤ワイン(宮崎・都城ワイナリー)

コーヒー(東京・堀口珈琲)
紅茶(福岡・星野製茶園)
緑茶(長崎・北村製茶)

日向夏ジュース(宮崎・サンA)
ミネラルウォーター(大分・MYMウォーター)

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「熊本の豊かな畑と海」(NARISAWA”bento”)
・熊本県 ナスの煮浸し、熊本県 車エビと大分県 アジの餡かけ、新生姜とともに(真ん中)
・大分県 おおいた冠地どりの麹漬け蒸し鶏と鹿児島県 胡麻豆腐、味噌ドレッシング(右)
・熊本県 煮アナゴご飯、木の芽の香り(左)
・熊本県 阿蘇牛乳のクリームシチュー、いろいろな野菜と一緒に

乗車した6月のメニュー全体のテーマは「熊本とともに」・・・。
由布院の木材を使った「或る列車」オリジナルの弁当箱を開けると、地震で大きな被害を受けた熊本の山海の幸を中心に、多彩な食材が溢れてきました。
地震翌週に2人目のお子さんが生まれたばかりという宇土市の堀川さんが作った旬の「ナス」が入って、生姜味でサッパリ仕上げているのが「夏っぽく」ていい感じ。
煮アナゴは、天草・丸健水産の希少なものが使われています。
そういや”熊本の食材でクリームシチュー”って・・・「くりぃむしちゅー」と掛けてますよね、きっと!

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「青梅雨」(カクテルスイーツ)
・みつ豆のカクテル(鹿児島県 黒糖、長崎県 ビワ、佐賀県 甘夏)

軽食が済むと、いよいよ「スイーツ」へ入ります。
最初の「みつ豆のカクテル」はテーブルの上で「肥前びーどろ」のカクテルグラスにアテンダントさんが黒蜜をかけてくれます。
鹿児島の黒糖は、喜界島の朝日酒造が栽培した無農薬のサトウキビを自社工場で精製したもの。
果物そのものの味をきちんと引き出してくれる”自然の甘さ”が何とも心地イイ。
大分・由布院の天然水を寒天で固めたものも入って、とても爽やかです!

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「初夏」(スープスイーツ) 
・熊本県 桃、大分県 ベルベーヌのジュレ

乗車時に厨房で調理が行われていたのは、コチラのスイーツでした。
桃は熊本・玉名の「橋本果樹園」のものが「長崎ガラス」の器に入ってひと足早く登場。
ご主人のお父様が植えた桃の木が橋本果樹園の原点で、今ではすもも、デコポン、柿、マスカットなども手掛けているそう。
また果樹園は、平成7(1995)年に果物部門で農林水産大臣賞を受賞した腕前の持ち主。
ちなみに「ベルベーヌ」とはハーブの一種ということです。

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「五月晴れ」(メインスイーツ) 
・熊本県 メロンのショートケーキ

福岡・糸島の「風唄窯」の白い器に映える主役・メロンの緑。
熊本産のメロンの脇を熊本・阿蘇「阿部牧場」の牛乳アイスとヨーグルトが固めます。
最近はとかく”濃厚”な乳製品をウリしていることが多い中、アイスもヨーグルトもサッパリと仕上げているのが好印象。
強烈な個性を持った食材のはずなのに、牛乳をメロンの自然な甘みの引き立て役に落ち着かせたのは、成澤シェフの腕前ということなのでしょう。

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「水無月」(ミニャルディーズ) 
・水無月(熊本県 小豆、右)
・ハチミツ&レモン(福岡県 ハチミツ、熊本県 レモン、真ん中)
・苔(福岡県 八女抹茶、左)

早いものであっという間に、最後のスイーツになってしまいました。
彩り豊か、可愛らしい盛り付けです。
中でも「ハチミツ&レモン」のレモンは、熊本・水俣「Mr.Orange」のものを使用。
果樹園内の草取りを担当するのは七面鳥たちで有機肥料や剪定、収穫のタイミングに至るまで、こだわり抜いた栽培を行っているそうです。

このほかにも熊本産をはじめとした九州の食材がたっぷり使われた、6月の「或る列車」のスイーツ。
美味しさの中に「熊本を応援していこう!」という強い意思を感じるコースでした。
今回は大分エリアを紹介していますが、「駅弁膝栗毛」でも今後、熊本エリアの美味しい駅弁を紹介していきたいと思います。

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当初「向之原駅で折り返し」で出発したこの日の「或る列車」ですが、天候が回復してきて「日田まで運行」となりました。
この「或る列車」(大分コース)が走る久大本線は、日豊本線の大分から由布院、日田を通って、鹿児島本線の久留米を結ぶ路線。
途中の豊後森(ぶんご・もり)駅近くに見えるのは、国の登録有形文化財、近代化産業遺産にも指定された「旧豊後森機関庫」です。
昭和9(1934)年に作られ、九州に唯一残る”扇形機関庫”で老朽化で立入は出来ませんが転車台も残っていて、玖珠町による保存活動が行われています。
近年は、蒸気機関車の時代を彷彿とさせる「9600形」蒸気機関車も設置され「鉄道の町」となってきています。

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7月15日からは「長崎コース」での運行となっている「JR KYUSHU SWEET TRAIN 或る列車」。
由布岳をはじめとした山の車窓が中心の「大分コース」に対し、大村湾沿いの海の景色が楽しめるのが「長崎コース」です。
「ななつ星in九州」には手が出なくても、2~3万円台でプチ「ななつ星」気分が味わえると思えばお得な「或る列車」。
「或る列車」は予約がかなり早めに始まるので、席が取れたらスグ飛行機の早割を押さえれば、「或る列車」より安く羽田~福岡を往復出来ることも・・・。
上手に東京~九州間の移動費を抑え、ぜひ一度「或る列車」で豪華スイーツを体感してみてはいかがでしょうか?
きっと降りる頃には、また「或る列車」に乗りたくなっている自分がいるハズです。

「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
「ライター望月の駅弁膝栗毛」
(取材・文:望月崇史)

【ごあいさつ】
はじめまして、放送作家の望月崇史(もちづき・たかふみ)と申します。
ニッポン放送には、昔の有楽町の社屋の頃から、かれこれ20年お世話になっています。
最近では、月~木・深夜24時からの「ミュ~コミ+プラス」で放送された、
ルートハンター」のコーナーに、5年ほど出演させていただきました。

そんな私がライフワークとしているのが「駅弁」の食べ歩き。
1年間に食べる「駅弁」の数は多い年でのべ500個。
通算でも4500個を超えているものと思います。
きっかけとなったのも、実はニッポン放送の番組。
2002年~05年に放送された「井筒和幸の土曜ニュースアドベンチャー」の
番組ウェブサイトで「ライター望月の駅弁膝栗毛」を連載することになり、
本格的に「全国の駅弁をひたすら食べまくる生活」に入りました。
以来、私自身のサイトや、近年は「ライター望月の駅弁いい気分」というブログで
「1日1駅弁」を基本に「駅弁」の紹介を続けています。
”駅弁生活15年目”、縁あってニッポン放送のサイトで連載させていただくことになりました。
3つの原則で「駅弁」の紹介をしていきたいと思います。

①1日1駅弁
②駅弁は現地購入
③駅弁のある「旅」も紹介

「1日1駅弁」ですので、日によって情報の濃淡はありますが、
出来るだけ旬の駅弁と鉄道旅の魅力をアップしていきますので、
ゆるりとお付き合い下さい。

【プロフィール】

望月崇史(もちづき・たかふみ)望月

1975年12月8日静岡県生まれ。
早稲田大学在学中から、ニッポン放送で放送作家に。
卒業後の2002年「井筒和幸の土曜ニュースアドベンチャー」の番組サイトで始めた
ライター望月の駅弁膝栗毛」をきっかけに、全国の駅弁食べ歩きをスタート。
以来およそ15年、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。
1日1駅弁のウェブ紹介を日課とし、これまでに食べた駅弁は4500個以上。
ニッポン放送「ミュ~コミ・プラス」ルートハンター、鉄道特番などにも出演。
丸の内朝大学・温泉クラスの講師も務める。