フランスの美しい風景とともに描く、極上の人間ドラマ『ミモザの島に消えた母』 しゃベルシネマ【第41回】

さぁ、開演のベルが鳴りました。
支配人の八雲ふみねです。
シネマアナリストの八雲ふみねが、観ると誰かにしゃベリたくなるような映画たちをご紹介する「しゃベルシネマ」。

毎年、有楽町朝日ホールやTOHOシネマズ日劇で開催されているフランス映画祭。
最新のフランス映画と共にフランスを代表する映画スターたちが来日し、賑やかに開催されています。
そこで今回の「しゃベルシネマ」では、今年のフランス映画祭で注目を集めた極上の人間ドラマ『ミモザの島に消えた母』を掘り起こします。

美しいミモザの島に封印された、家族の真実

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先日、江ノ島に行きました。
この季節の海岸沿いは海の家がズラリと並び、国内外からの観光客で大賑わい。
しかし海でひとしきり遊んだ人々が家路に着く夕刻には、それまでの喧噪が嘘のように静かになり、ジリジリと照りつけていた太陽がストンと海の向こうに姿を隠してしまう、どこかセンチメンタルな瞬間が私はたまらなく好きです。
片瀬江ノ島駅前から江ノ島へと伸びる橋は、現世から神の領域へとつながるようで、それまで内に秘めていた神秘性にあふれ、そんな光景を腰越海岸から眺めていると、なんとも穏やかな気持ちになれるものです。

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なぜ江ノ島の話をするかと言うと、映画『ミモザの島に消えた母』に登場する島が、あまりにも風光明媚で神秘的だったから。
それはフランス西部の海岸にある、ノアールムーティエという離れ島。
満潮時には橋がかかってないために道路が水没し、その数時間は車両が通行禁止となってしまって本土とは隔離されてしまう不思議な島。
潮の満ち引きに関係なく島と本土を往来できるように橋を架ければいいのに…と思うのは、“便利であること”に麻痺した日本人の浅はかな考えなのでしょうか。
「ひょっとしたら決して橋を架けてはならないという言い伝えが、この島にはあるのだろうか…」などと、映画のストーリーを追いながら一人勝手な妄想を巡らせてしまったほど、ノアールムーティエへと続く海の上の一本道からは創造力がかき立てられ、どことなく不気味でミステリアスなロケーションでした。
こんなコトを言うと「まぁ、ノアールムーティエと江ノ島を一緒にするなんて…」と、フランス大好きマダムからも江ノ島フリークからもお叱りを受けそうですが、そのあたりはどうか寛容に受け止めていただきたく…。

幾重にも折り重なる家族の物語を、ミステリー・タッチで描き出す上質なドラマ

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西フランスの大西洋に浮かぶノアールムーティエ島。
冬に咲くミモザの花から『ミモザの島』と呼ばれているこの島で30年前、ひとりの若い女性が謎の死を遂げた。
40歳になったいまでも愛する母を失った喪失感から抜け出せずにいるアントワンは、その真相を突き止めようと独自に調査。
しかし父も周囲の人々も、母の死について頑なに口を閉ざすばかり。
果たして当時、何があったのか?
妹アガッタや恋人のアンジェルの協力を得てミモザの島を訪れたアントワンは、彼が知らなかった母のもう一つの顔、そして家族が隠し続けてきた衝撃の真実に辿り着く…。

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『サラの鍵』の原作者タチアナ・ド・ロネによるベストセラー小説を『彼女の人生の役割』のフランソワ・ファヴラ監督が映画化した人間ドラマ。
出演はローラン・ラフィット、メラニー・ロラン、オドレイ・ダナといった、フランスを代表する俳優陣が顔を揃えています。
『サラの鍵』と言えば、現代を生きる女性がアウシュビッツの過去を探ることを発端に家族の秘密に触れていく…という社会派ドラマで、映画としてのクオリティの高さから、私の周囲の映画製作者の中でも大絶賛する人が多い一作。
同じ原作者だけあって本作も、離婚や失業といった主人公を取り巻く家族の問題を、過去にまつわる推理やミステリータッチで描き出し、その巧みなストーリー構成には舌を巻くばかり。
舌を巻くと言えば、ストーリーの結末にも驚愕の一言。
すべての謎が解けたときに見える愛のカタチ、あなたの目にはどう映るでしょうか?
是非、映画館の暗闇に身を置いて体感してみて。

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監督:フランソワ・ファヴラ
原作:タチアナ・ド・ロネ
出演:ローラン・ラフィット、メラニー・ロラン、オドレイ・ダナ、ウラディミール・ヨルダノフ、ビュル・オジエ ほか
©2015 LES FILMS DU KIOSQUE FRANCE 2 CINÉMA TF1 DROITS AUDIOVISUELS UGC IMAGES
公式サイト http://mimosa-movie.com/

八雲さんキャプション