しゃベルシネマ

ちょっとした言動に後悔ばかりしてませんか?『正しい日 間違えた日』

【しゃベルシネマ by 八雲ふみね 第438回】

さぁ、開演のベルが鳴りました。
支配人の八雲ふみねです。
シネマアナリストの八雲ふみねが、観ると誰かにしゃベリたくなるような映画たちをご紹介する「しゃベルシネマ」。

今回は、6月30日公開の『正しい日 間違えた日』を掘り起こします。


ホン・サンス×キム・ミニ、初タッグ作品がついに日本上陸!


自作の上映会で講演するために水原の街へとやって来た映画監督のハム・チュンスだったが、スタッフのミスにより一日早く現地に到着してしまった。時間を潰すために立ち寄った観光名所で出会ったのが、ヒジョンという魅力的な女性。一緒にコーヒーを飲み、美術家である彼女のアトリエを訪れ、寿司屋やカフェで人生を語り合う二人。甘い雰囲気に包まれるチュンスとヒジョンだったが…。


偶然訪れた旅先で、運命的な出会いをした男女のラブストーリー。そう聞くと、ありがちな映画というイメージを持つかもしれませんが、本作の面白いところは、二通りの展開が用意されているということ。大筋は同じでも、ちょっとしたタイミングのズレや些細な言葉のやり取りで、恋の結末は大きく変化してしまう。

「あの時は正しく 今は間違い」と「今は正しく あの時は間違いだった」というタイトルをつけて映画を前半と後半に分け、同じシチュエーションを同じ俳優に演じさせた異色のラブストーリーなのです。


なんとも画期的な作品を手がけたのは、ヨーロッパの批評家や観客に、“韓国のウディ・アレン”、“韓国のゴダール”とも評される名匠ホン・サンス監督。ヒロインのヒジョンを演じたのは、ホン・サンス監督のミューズ、キム・ミニ。縁台にちょこんと腰をかける姿、お酒に酔った様子、ちょっとしたしぐさのひとつひとつが愛らしい限り。

そしてサンス監督自身をも彷彿させるような映画監督のハム・チュンス役にはホン・サンス作品の常連といっても過言ではない実力派俳優チョン・ジェヨン。二人が織りなす会話の端々からは男と女の本音と建て前や男の下心、女のプライドが垣間見え、思わず笑みがこぼれてしまいます。


もしもあの時、こう言っていれば。あの時、右に曲がらずまっすぐ歩いて行ったならば…。恋愛に限らず、人生には“たられば”はつきもの。そんな“たられば”心理につきまとう“どうしようもない後悔”を、軽やかに美しく描いた本作。

私たちの身の回りに起こる“良いコト”も“悪いコト”も、その人の一部。この映画に映し出されているのは、私たちの人生のほんの“一瞬”なのかもしれません。


正しい日 間違えた日
2018年6月30日からヒューマントラストシネマ有楽町、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次ロードショー
監督・脚本:ホン・サンス
出演:チョン・ジェヨン、キム・ミニ、コ・アソン、チェ・ファジョン、ソ・ヨンファ、ユン・ヨジョン ほか
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公式サイト http://crest-inter.co.jp/tadashiihi/

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