しゃベル編集部

大阪北部地震 現地記者が取材を通して気づいたこと

6月18日(月)朝に大阪府北部でマグニチュード6.1の地震が発生。「安心・安全報道」を災害報道の基本姿勢としているニッポン放送では、この地震の発生直後から記者と電話を繋ぎ、現地の被害状況や街の様子を関東のリスナーに伝えた。

取材を行ったのは、普段はニッポン放送 関西支社の営業職として勤務する田口真也記者。ニッポン放送では、災害発生時に社員が記者として現場や周辺の様子をリポートするための体制を整えており、先日の地震では田口記者が各地の被害状況や交通機関への影響について取材、数回にわたり生放送中に電話リポートを行った。

今回は、この緊迫の一日を振り返った田口記者によるレポートをお届けする。

また一週間が始まる……そう思いながら出社の準備をしていた6月18日の朝、突然下から突き上げるような衝撃が身体を襲いました。「地震だ!」と認識するのとほぼ同時に、緊急地震速報で携帯電話が鳴り出しました。物が落ちてくる程の揺れではなかった為、比較的冷静にそれが収まるのを待っていたように思います。その間、5秒~10秒程だったでしょうか。

私がいた大阪市中央区は震源地から南に離れており、震度は4でしたが、それでも大阪に来てからの5年間では感じたことがない程の強い揺れでした。

その後、出社をするために家を出ましたが最寄りの駅はすでに封鎖されており、タクシーも全く捕まらないので、仕方なく歩いて会社に向かいました。同じように梅田方面に向けて歩くサラリーマンの姿で四ツ橋筋の歩道は埋め尽くされていましたが、混乱した様子は特に見られず、皆黙々と歩を進めていました。「働き方改革」の推進が叫ばれる昨今ですが、地震が起きた直後でも迷うことなく会社に向かう姿に、日本のサラリーマンの悲哀を感じたのも事実です。

2駅分を約40分かけて歩き、ようやく勤務先のビルにたどり着きましたが、ニッポン放送の関西支社はこのビルの10階にあります。エレベーターが停止している為、そこまで非常階段で向かわなければなりません。自分のデスクに着く頃には、すでにYシャツは汗だくで足もパンパンになっていました。

出社してからは、この日入っていたスケジュールを調整する為、電話を何度か使用しましたが、回線が混み合っている影響で、繋がり辛い状況が午前中いっぱい続きました。

寿栄 小学校 前

寿栄小学校前

その後私は9歳の女子児童が壁の倒壊に巻き込まれて犠牲になった現場『高槻市立寿栄小学校』に取材の為向かいました。寿栄小学校の最寄駅「富田」まで普段であれば電車で30分程度ですが、この日は道が混雑していたこともあり、タクシーで2時間を要しました。

私が到着したのは午後3時頃でしたが、この時点でも警察による現場検証が続いていました。規制線が張られていて近づくことはできませんでしたが、倒壊した壁が歩道を覆っている様子は目視することができました。このあたり一帯は揺れが強かったようで、何人か住民の方に話を聞いてみましたが、家の中は食器が落ちてくる等かなり物が散乱していたようです。ただ、壁が倒壊したり、屋根が崩れたりといった被害は私が調べた限りでは確認することはできませんでした。

そういったことからも、やはり倒壊したプールの壁は構造的な問題があったのだと思います。

寿栄 小学校 前

寿栄小学校前

現場上空ではヘリコプターが旋回し、大勢の報道陣が規制線の前で取材を続けていましたが、少し離れたところでは住民同士が歩道に出てお互いの家の状況などを確認しあう様子が見られました。住民の方から悲壮感はほとんど感じられず、明るく「ようやく片付けが終わったのよ」などと言い合っている姿が印象的でした。

摂津 富田 駅

摂津富田駅

取材を終えた私は、午後6時頃にバスで富田駅(摂津富田駅)に向かいましたが、阪急京都線もJR京都線もまだ安全確認を続けており、駅周辺は運転再開を待つ人で溢れていました。タクシー乗り場にも行列が出来ており、皆一様に疲れた表情をしていましたが、駅係員に詰め寄るような姿は見られませんでした。結局運転が再開したのは午後8時過ぎで、梅田に着いたのは9時近くだったと思います。

摂津 富田駅

摂津富田駅

今回大阪地震を経験して感じた事は、正確な情報をなるべく素早く入手すること、そして共有することの重要性です。例えば私がタクシーで寿栄小学校に向かう際には、地元のラジオ局が伝える「阪神守口線は先程通行止めが解除されました」という放送を聴きルートを変更したおかげで、予想していたよりも早く現場に到着することができました。電車やバスの運行状況については、Twitterで情報を入手することが役に立ちました。

災害が起きた時に、周囲の状況を正確に把握することは安全や安心につながります。逆に誤った情報は混乱を生む一因になります。今回も残念ながら、SNS上に誤った情報が投稿されていた事例も確認されました。

今後、例えばラジオ局各局が連携して、確認できた正確な情報のみをアップしていくWebサイトを作ることはできないか。災害時にはそこにアクセスすれば被害の状況や公共交通機関の運行状況が一目でわかるような仕組みを作り上げることができないか……など色々な事を改めて考える機会になりました。

これを読んでくださった方も、災害が起きた時に備えて、もう一度家族と避難場所を確認したり、防災用品を用意する機会にしていただければと思います。

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