米が「宇宙軍」創設へ~取り残される日本の宇宙軍事開発

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(6月21日放送)に元航空自衛官・軍事評論家の潮匡人が出演。アメリカでトランプ大統領が創設を指示した「宇宙軍」について解説した。

トランプ大統領が「宇宙軍」を創設するよう国防総省に指示

アメリカのトランプ大統領は、アメリカ軍に新たに「宇宙軍」を創設するよう、国防総省に指示した。軍の機構改革や予算は、連邦議会の承認が必要だが、実現すれば陸海空各軍や海兵隊、沿岸警備隊に並ぶ6つ目の軍となる。

飯田)沿岸警備隊(Coast Guard)もアメリカでは軍扱いなのですね。それで、宇宙軍が6つ目。スターウォーズや、機動戦士ガンダム。宇宙戦艦ヤマトの世界を思い浮かべてしまいます。実際はどうですか?

潮)当面は、おそらく空軍の弟分のような形で運用が始まっていくと思います。海軍と海兵隊のような関係にとりあえずなるでしょうけれど、今後は宇宙の軍事的意義も高まっているので、兄弟関係が逆転することも含め、さまざまな展開になっていくと思います。
いずれにせよ日本は、そもそも海兵隊もなければ、沿岸警備隊もない。近いものとして海上保安庁はありますが、あくまで警察機関となっています。英語に訳すると両方「Coast Guard」ですが、実は似て非なるものですし、そもそも「宇宙自衛隊」などないわけです。「どうするのだろう?」という問題です。

日本も専守防衛の範囲内で抜本的に考え直す必要がある

潮)日本の場合、宇宙の軍事利用を禁ずる国会決議があったり、関連法規でもさまざまな制約が課されているので、「アメリカを見習ってただちに」はしたくてもできない。
ただ、北朝鮮の弾道ミサイルに対処することを考えても、発射の兆候がなぜ分かるのかと言えば、アメリカ軍の偵察衛星が宇宙空間を周回しているからです。あるいは発射したのがすぐに分かるのは、軌道上を、赤外線探知する早期警戒衛星が常に回っているからです。しかし、自衛隊はそうした早期警戒衛星は保有していない。偵察衛星のようなものは持っていますが、そうは言えないので、「情報収集衛星」と呼んでいます。解像度がアメリカに比べて低いという課題もあります。
他方で、日本独自の準天頂衛星。日本の上をずっと回っている独自システムの運用がすでに始まっているわけですが、これもさまざまな事情があり、軍事利用に至っていません。「今後もこれでいいのか?」と考えていかないとならないという時期に来ています。

従来の憲法解釈や国会答弁では通用しない時代が近付いている

潮)中国などはアメリカ軍のそうした衛星を撃墜する実験に成功しているわけで、良くも悪くも、中国もロシアも、宇宙の軍事利用に突き進んでいるわけですから、専守防衛の範囲内においてでも、対策は必要だし、そもそも宇宙なのだから国境はないわけです。領空は一定の高度を超えて宇宙になると、範囲内ではないのです。だから、宇宙空間であれば日本の上を堂々と弾道ミサイルが飛んだりするわけですので、いままでの「集団的自衛権が~」のような、日本国内でしか通用しない議論をしていても仕方ないのです。それも含めて抜本的に考え直すきっかけになればと思います。地球の裏側でスターウォーズみたいなことが始まっているような受け止め方で終わってはいけないと思います。

飯田)基本的には「下から衛星を撃墜する」とか、「衛星から偵察する」とか。まだ、「衛星から地上へ攻撃」とか、「衛星同士の攻撃」とかまでは、達していない?

潮)至っていませんが、確実にそういう時代がいずれ訪れるのは間違いない。そうしたことも含め、いままでの対領空侵犯措置のように、今後もし技術が発達したら、撃墜していいのかどうかいろいろ問題になっている。現に、尖閣上空周辺に、無人の中国機などが来ているわけですから、これまでと同じ憲法解釈、関連法令、国会答弁では済まない時代になっているということだけは、確実に言えると思います。

飯田浩司のOK! Cozy up!
FM93AM1242ニッポン放送 月-金 6:00-8:00

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